鮮血の美学(1972)
- ラーチャえだまめ
- 2020年12月27日
- 読了時間: 6分

【原題】The Last House on the Left
【監督】ウェス・クレイヴン
【出演】デヴィッド・ヘス ルーシー・グランサム サンドラ・カッセルほか
【あらすじ】
少女マリーと友人は凶悪な殺人犯によって強姦された末、殺害されてしまう。マリーの両親であるコリンウッド夫妻は娘の帰りが遅いことを心配し、警察に捜索願を出すが、相手にされない。やがて夫妻は、たまたま家に泊めた男たちがマリーを殺害したことを知り……。
【感想】

『年末年始はホラー見よ?No1』
どーもどーも販売中止になってから自宅にあったミロの美味しさに気づきましたラーチャえだまめです。と言うわけで今年も残す所あと僅かとなりました、令和2年はとにかくコロナコロナ……な毎日でもうゴータマ・クッタークタになってしまった、そんな方も多いのではないでしょうか。今年公開予定の映画も軒並み公開延期と映画界も大きな打撃を受けた1年、さてそんな今年最後をナニで締めくくろう、年末外出を控えるそこのアナタにオヌヌメな映画はないか、そこで思いついたのがコチラ

年末ホラージャンボ1億スクリーム特集!!!!
…色々と掻い摘んでおりますやっぱり最後はホラー映画っしょ!!今年2月のホルガ村の恐怖に始まり今年はホラーで始まりホラーで終わる!?…と私がただホラー映画を見たくなっただけのこの企画、出来れば新作ではなく旧作が観たい……そして私が独断と偏見と恋しさとせつなさと心強さとで選ばせて頂いた4本の珠玉の名作(迷作?)ホラーを今週からドドドっと連日連投致しちゃおうと、そんな話なんですねー。
そして今宵ご紹介する1本目はコチラ【鮮血の美学】…!!!こころなしかずっと“さんけつ”だと勝手に思っておりましたいくら検索しても出てこないそりゃそうだ“酸欠”の美学ってなんだよ!!ただのデブじゃねえか!!いやいやしかしずっと観てみたかった1本、大人気子役がCMをつとめる某中古店でタイトル不明の輸入版DVDを購入しいざ観てみたらアーロン・ポールの鼻がひん曲がるくらいに思いのほか面白かった、さてそれが2009年に作られた本作のリメイク版だったわけなんでありますがそのオリジナルは「エルム街の悪夢」「スクリーム」等これまで大ヒットシリーズを生み出したホラー界のレジェンドウェス・クレイヴン監督のデビュー作……となればこれは夜中ナイトメアでうなされる暇があるなら見なくては、、、、というわけで今回拝見させて頂いたわけなんでありますが

“胸糞”映画の金字塔
リメイク版も充分「胸糞MAX怒りのデスペアレンツ」で個人的にかなり印象に残るほどの衝撃作だったのですが胸糞に賞味期限はもはや存在しない本作が作られたのは1972年、実に「50年越しの胸糞悪さ」を体験出来てしまうと言っても過言ではない!?いやーこれは凄い。凄すぎる。個人的にはクレイヴン監督と言えば「エルム街〜」とか魑魅魍魎映画のイメージが強かったのでちょっと人間の内面をエグるようなラース・フォン・トリアー監督みたいな作風がデビュー作だとは知りもしませんでした。まさに「“胸糞”映画の金字塔」に相応しいとんでもクライシスな映画、だったんですねー。
「これは実際の事件を元に……」と早くも“警告”とも取れるテロップが表示されこれは刺激が強そうだ……なんて思っていたらOPが「すりガラス越しの美女のシャワーシーン」という違う意味で刺激が強すぎるひっきりなしに娘の胸の話題で盛り上がる父親が娘に向かって「ノーブラか?」というセリフはコンプライアンス的に大丈夫なのでしょうk……てそんな余裕ぶっこんでると後々痛い目に合うかもしれない??本作の一体ナニがそんなに胸糞悪いのか??17歳になったばかりの美しい娘とその友人がハッパ欲しさに夜の街を歩いていたら何の因果か全くカンケーのない若い犯罪者集団と偶然遭遇、その後拉致され恐喝セクハラそしてレイプ……散々な目にあった挙げ句に“殺されてしまう”

コレですよコレ“助かった”ではなく“殺されちゃう”のですよ!!最後までそのまま落ちる所まで落ちて……なんたる悲劇!なんたる暴君!!今すぐ藤田まことを召喚して奴らを成敗したい出所ホヤホヤのリーダー格のアンちゃんにカエルの真似が得意なその息子、SM好きの男に女さんの姿まで……見た目はほんま“フツーの若者”なんですよ。ところが一度その“本性”がむき出しになる時、躊躇なく平然と人を殺める彼らのそのあまりに“人間離れ”した姿カタチに恐怖乱舞してしまうかもしれません。そして彼らの行いをまるで“正当化”するかの如くあまりに不釣り合いな終始流れる“愉快すぎるBGM”が逆に作品全体の“サイコパス度”をグンと押し上げている!?娘の捜索に協力する警察もまるで役に立たないポ◯コツっぷりを発揮し怒りすら覚えるやっと見せ場があるかと思いきやこれまた“最悪のタイミング”で登場……しかし胸糞っぷりはこれだけでは終わらないのであります

両親が娘を殺した犯人とは知らず家に迎え入れてしまうのです
お父さーーーーーん!!!!いるよいるよいるよここにいるよぉーー!!!!ベイビィーボォーイ!!わたしはそこにいーるーよ!!どこもいかずに待ってい……と思わず歌わずにはいられないたった今愛する娘を無惨にも殺害した犯人が!?我が食卓で!?優雅にワインなんかたしなみながら!?メシ食ってるわけですからね!?こーれーは流石に………親切心がアダとなり道に迷った旅人に扮した犯人たちを自宅に迎え入れ温かい食事にフカフカのベッドまで提供してしまう両親。はぁ……何故神はこうも試練を与えたもうたのか!?……て神はウェス・クレイヴンかじゃあ駄目だ
しかーし!!気づいたのは母親の方だった!!犯人の1人が身につけていたネックレス……それこそ愛した娘がつけていたものだったのだあー!?そしてようやく事の真相を把握した両親。しかし悲しみにくれる暇さえありませんでした………

そっからが早い。「両親の復讐劇」。もう考えている暇さえなかったのだろう「とにかく◯す」「何がなんでも◯ろす」……両親は目の前にいる犯人たちにキバを向く。容赦なし、問答無用、情状酌量の余地なし……とにかく◯す。このそれまで娘の安否を心配するごくごくフツーの両親がその娘が殺されたと知るや一瞬にして「殺人マシーン」と化す「恐怖」。ニンゲンの「真の恐ろしさ」。犯人たちとはまた違う冷たい凶器と化した心臓の中で真っ赤に燃える復讐と言う名の炎……無表情でチェーンソーを振り回す父、犯人のアソコをメリーも首ったけ過ぎる「ソーセージとマメ」状態から噛みちぎる母……ラスト10分あまりの短時間で豹変する2人にこれまた違った恐怖を覚えてしまいます。
しかし虚しいのはこの2人が永遠に「救われることがない」という事実なんですよね。犯人に復讐しても失った娘は決して帰ってはこない。悲しい。悲し過ぎる。ラストの2人のやり遂げた、しかし「生きた心地がしない」ようにグッタリとその場で固まる姿は実に目に焼き付けられる思いでありました。心えぐられるような80分。50年経った今なおその胸糞悪さを後世に伝えるかのような、本当に恐ろしいのはモンスターでもエイリアンでもない「生のニンゲン」という生き物なのかもしれません。。。。。。
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