【原題】夜を越える旅
【監督】萱野孝幸
【出演】高橋佳成 中村祐美子 青山貴史ほかほか
【あらすじ】
漫画家を目指す春利は大学卒業後も夢を諦めることができず、恋人のヒモ同然の暮らしを送っていた。後ろめたさから逃げ出すかのように学生時代の仲間たちと1泊2日の小旅行へ出かけた彼は、応募していた漫画賞に落選したことを旅先で知り、自暴自棄に陥ってしまう。そこへ、かつて春利が想いを寄せていた小夜が遅れて合流。かすかな高揚感と淡い下心を抱く春利だったが、事態は思わぬ方向へと転がっていく。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】
“和製”超絶低予算版「サイレントヒル2」
どーもどーも最近よっちゃんイカのスティックソーメンを口に咥えるのが趣味のラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました
【夜を越える旅】__。インディーズ映画です。うーん聞いたことない?たぶんメディアなんかじゃ殆ど宣伝されてないのではないでしょうか。いやーもうコレ先に言っていいよね
「番狂わせ」キターーーーーーーーーー
いや最近“インディーズ邦画”っていうのにハマってまして、どっかの劇場で予告をチョロっとだけ見てフィルマレビューですこぶる評判良くて気になっていたんですよッ!!「“低予算”でも“面白い映画”は作れる」……またしてのその“典型例”が爆誕してるじゃあないですか!?全ッ然ノーマーク過ぎだったよチックショおおおお!!!!いやもっと観てほしい!!色んな人に届けユーフォニア……間違えた届けーたい♪届けーたい♪この想いWOW〜
大学卒業後も一流漫画家を目指し今日もカノジョのヒモ……バイトをしながら夢を諦めずにいる青年。今日は大学のゼミ仲間たちとお決まりの“LODGE”の夜会に参加するためカノジョから3万円ほどお小遣いをもらって「バイトは増やさない絶対に!!」を捨てゼリフに(キマった…!!)集合場所に向かうおい鬼太郎!…違ったおいクソ野郎!!のっけからダメンズすぎて玉ねぎも食えない青年“春利”が学生時代の仲間たちと和気あいあいと旅行に出かける、学生ノリを忘れられない大人たちの“あの頃の青春をラブ・フォーエバーMOVIE”が展開されるのであります!途中笑いありアクティビティありナシありな楽しい「コメディ」映画かと思って観ていたら、そこへ「かつての恋人」“小夜”なる美女が現れおま、、、こんな美人さんと付き合ってたのかよぉー!!と鬼太郎に若干の嫉妬心、否「失恋“拗らせ”中」の全国のダメンズ諸君には妙に感情移入してしまいそうになる
そっから地獄のデッドコースターあああああああ!!!!!!!
「ヒメアノ~ル」の衝撃再び!?前半と後半とでガラリと映画が変わる衝撃の展開。お見事過ぎてもう鼻毛が生えてきて草超えて森いやいや“夜を越える旅”が意味するSEKAIとは_??大学時代の友人たちとの若干シラケた旅の“日常”から“非日常”に突然「飲み込まれる」瞬間の「つなぎ目」が全くわからない!!いやーこれは本当に上手く作っておりますね〜。違和感なくそして我々が“勘づくスキすら与えぬ”流れで物語を反転させる、しかも“ロードムービー”から“絶叫ホラー”にですよ?全く相反するこの2つの世界観をよくここまで“同一線上”で混ぜ合わせたなー。いやーこの演出の上手さだけでも高評価すぎる所以だと思うのですが
後半のホラー展開はこれはこれで「しっかりホラーしてる」決してオマケレベルではなく“本格派”ホラー映画として、こちらもとても凝った作りをしている。長椅子に腰掛けながら金縛りで身動きが取れない様子はまさしく「ゲット・アウト」の如く“違和感”なる恐怖に包まれ、ただでさえ低予算なのに“使い所を見極めて”CGも上手く取り入れている。うんうんだから全然観ていて“安っぽくない”ぞー?そのくせ妙に笑える“シュールさ”は“全編”にわたり散りばめられているという、、、、世界観は変われど笑いは変わらぬということ…??
監督は福岡を中心に活動する超新星、萱野孝幸。今作はオールS・A・G・A佐賀ロケで九州町おこしっぽいナリすら潜めておりますがもっと公開場所増やしてくれて全然構いません!?
“取り憑かれる恐怖”途中変な霊媒師なんかも登場していよいよクライマックスかー?なんて思ったらラストで“もう一捻り”効いた___あ〜そういうことだったのか。ちょっと「サイレントヒル2」要素も入ってます。つまり「静岡2」に「沼」なら確実に本作も「池」くらいにハマる可能性もある_??
警官役の“にこにこぷんぷん”さんがすげえー気になっちまうじゃねえかああ!!!
どんなカタチであれ「“失恋”を拗らせると“狂気”にハマる」ってことか……
別れた元カノの写真全部消去しよっと……
【感想(ネタバレ)】
いやー小夜の女優さん(中村祐美子さん)おめめパッチリすぎていざ化けて出てきたら真っ黒に塗りつぶされた瞳がさらに恐怖を倍増させる……春利が突然異空間に連れ去られるシーンで前に座っていた観客がビクッ!!と……あれは完全に私も油断してました(汗)小夜が自殺した理由はわかりませんが、おそらく春利は小夜が自殺していなかったらほぼ間違いなく今も付き合っていたことでしょう。その“想い”を霊媒師も言っていましたが“小夜ではない別の何か”が利用して?春利をあの世へと誘おうとした(ついでにゼミの同期の沢村も同じカマをかけられていた模様)その沢村と最後“どちらが生贄になるか”で、何故かじゃんけんで勝ったはずの春利が最終的に“立候補”したのは、「お人好し」な性格からか、いや「小夜の想いは誰にも負けない」という一種の「執念」からか。ただその小夜への想い、今も消えぬ「恋心」という名の「呪い」に春利は「これからもずっと」苦しめられることになるという……。
いっこうに“完成しない漫画”それは小夜を主人公にした“彼女の物語”だから?それはつまり“本来訪れるはずだった未来”が、突然自殺という形で幕を閉じたから春利は彼女が死んだあとの物語が描けない=永遠に未完成だったとか?でもってラストで彼女の待つあの世へと向かう(実際は幻想?)過程で自分自身の“遺言”を付け足す=あの世のいる春利と自らが一体となったことを“同じ原稿”に書き足すことで表現していたとか……深堀すぎりか
いやしかし今カノのことなんて眼中にない春利。きっと今カノから付き合おうって言われて、なんとなく付き合ってたんじゃないかな。お金貸してくれたり漫画コンテストの結果をわざわざ報告してくれたりメチャクチャいい恋人じゃん。それを逆ギレして全く……いやこの映画って、言ってしまえば「昔の恋愛をいつまでも引きずって苦しむ話」だよね。失恋映画だよ。そこへ「ホラー要素」を上手く絡めた、その絡め具合が抜群に素晴らしかった。もう昔の恋は諦めよう。先に進もう。そうじゃないと永遠に……今まさにそんな状況の自分には、なんだかものすごく刺さるものもありましたねぇハイ……え、お前のことなんて興味ねえって?あっ、、、、、
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