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君たちはどう生きるか(2023)


【原題】君たちはどう生きるか

【監督】宮崎駿

【出演(声)】山時聡真 菅田将暉 柴咲コウほか

【あらすじ】















 
【感想(ネタバレなし)】

『「そうだよ、これが観たかったんだよ!!」』

 





どーもどーも鳥刺しと焼き鳥で3回食中毒になりましたラーチャえだまめです。本日はそんな“それでも鳥愛が止まらない”方には朗報以上の何物でもない



【君たちはどう生きるか】_____82歳宮崎駿の富士サファリパークのライオンも気になる“ホントに本当にHONTOにほんとに引退作”…??これまでずっと引退宣言を撤回し続けた宮崎駿の10年ぶりの新作。今回は製作委員会方式ではなくスタジオジブリの単独出資、しかも事前広告すべてゼロ。Cノーラン映画でさえ“最低限の予告動画”はあげてくれるのに今作はTVはおろかラジオネットSNS……劇場で上映開始されるコンマ0.1秒まで「一体全体どういう映画なのかわからない」___これはちょっと度肝を抜かれる言うかえ、何この賞味期限数秒のシュークリームみたいな(節子、それ例えちゃう)「こんなの“初日”に観るっきゃないじゃん??」え、てかもう今週だよ?本当に映画やるの?レベルの世間で全く話題にならない(させなかった)…しかしそれは今となっては“嵐の前の静けさ”だったのかもしれません。「一切内容わからずに映画のチケットを買う。」__このドキドキ感。そして公開初日、劇場は満員御礼。これぞまさに“宮崎駿の新作だから観に行く”のアンサーですよね。内容なんてもはやどうだっていい、“この人が作ったもの”だから無条件で見る。まさに“闇鍋”状態。否前置きが長くなりました、そんなまさに本作は季節外れの闇鍋ならぬ“ジブリ鍋”と言ってもいいであろう












これまでの“ジブリ映画”の集大成すぎる






個人的にですよ?これは2023年“とんでもない隠し玉”が隠されていたなと……確実に今年の“ダークホース”が決定致しました。私個人のしては「そうだよ!これが観たかったんだよ!!」が全て凝縮された1本と言ったところでしょうか。そもそも私は小さい頃から「ナウシカ」「ラピュタ」「もののけ」「千と千尋」……そして「平成狸合戦ぽんぽこ」(何故これだけフルネーム)を観てそだっ……そこまでVHSが擦り切れるほど観た、とは断言できませんが、逆に最近の喋る人面魚とかプロペラの音を声でやってるヤツとか……最近のジブリって全然興味なくって。そんな私みたいな「小さい頃“だけ”よく観てました」ライト層には?もう「刺さる要素しかない」と言いますか











これまでの“ジブリ映画”の集大成すぎる(2回目)





はじめ映画がはじまった時はですね、「あーやっぱりそっち系かー」って落胆したんです。「風立ちぬ」の“老”ハヤオが作った“大人向け”ジブリかなーっと。そんな感じで観ていたらポスターに写っている“アオサギ”が登場してきてからおや?おやおや…?となっていくんですねー。もうそっから先はもう「これジブリで観たことあるなぁー感」のオンパレード!?今回“セルフオマージュ”がかなり多いというか作っている張本人も「こういうのが観たいんでしょ」的なノリで、もうバンバン過去のジブリ映画の要素をぶっ込んでくるんですね!!私はこれがもうとにかく「懐かしい」の開いた口が塞がらねぇ状態に入ってしまいまして、「あ、アレって◯◯のあのシーンだよね!」みたいな?幼少期に観た数々のジブリ作品が脳内を駆け巡っていきました。そして世界観。












もう結局意味わかんねぇー!!!!!





どゆこと!?これはもう何周も輪廻転生“繰り返して観る用”に作られているんじゃないかと思うのですよ。何故かって?「すっげぇあっさりしたエンディング」だからです。で、今言ったこの「過去作の“どこかで観たな”感」「理解しずらいストーリー」「あっさりしたラスト」この3点が今作のレビューが「真っ二つに分かれている」理由だと思いました。



まず「過去作の“どこかで観たな”感」。ちょっと安っぽく観えちゃった?これまでの“威厳”はどこ吹く風の駿監督自ら過去作を、ちょっと言い方悪いですが“お菓子の付録”みたいな安っぽい扱いにしてしまってはいないか?という点。私のような「ビジュアル重視」の特に“あの頃のジブリ”が好きなだけのライト層には単純に観て楽しめても、これまで全てのジブリ作品に目を通し毎度駿監督の描くテーマ性だったり深いトコまで掘り下げて考察するコア層には、むしろ「引退作がこのレベルかよ…」と幻滅する可能性も…?



そして次の「理解しずらいストーリー」。これは私個人的に考察(ネタバレの方で)したり色んな考え方が出来るので良かったと思う反面「理解させる気が一切ない」という、あまりに説明不足あるいは作っている本人もわかってない説、まさに「夢の中の話」そんな終始宙ぶらりんなストーリーなんですよね。そこがちょっと「ナニを見せられてんだ」感が並行して付きまとってくる、そんな気も致しました。全編通して非常にテンポ感のバランスも丁度よく感じましたが、結構後半になっても重要な登場人物が加算されていくので、中には感情移入しずらいキャラクターもいたのは事実。



最後の「あっさりしたラスト」。これもコアなジブリ層には安っぽく見えてしまうかもしれません。しかし私は先に言った“何周も観ることを前提として作られている”と考えると、むしろ今作はジブリ作品の中でもダントツに「サクッと見れる」系なんですよね。これがめちゃくちゃ意外というか、堅苦しいタイトルとは真逆でビックリしました。後味も何も残らない、それが逆に「記憶に残りづらい?」……いやチョ・マテヨそうではありませんでした。













「君たちはどう生きるか」に込められたメッセージ






コレですよコレ!!ありますよ!!記憶に残り続けるとしたら私はズバリこのタイトルの持つ意味、公開前はネットで「“高齢者代表”宮崎駿が若者に終始お説教する映画」なんじゃないかとか噂されてましたが、いや実際“半分は正解”だと思いましたね。ただし“お説教”はしていない所がむしろ「おや?」という点と言うか……「若者よ、ミライを託すぞ」…まさにそんな感じの映画なんですよね。この「君たちはどう生きるか」の言葉が少しずつ心に染み出してくるというか、まぁ最終的にやっぱりこの映画が伝えたいのは「君たちはどう生きるか」……になっているなぁ、という印象です。



あとは「生と死」。これもテーマに入っていましたね。PGはついていませんが人によっては“嫌悪感”を抱くシーンがあるかも?(その辺も過去作のオマージュというか)もう今回は100%自社出資の自主製作映画なので「とことん好きなことやってんな〜」というのが逆に新鮮というか?観客にコビ売ってるような売ってないような……(つまりセルフオマージュは我々のファンサではないってこと?)













「宮崎駿のごった煮鍋」÷2=「君たちはどう生きるか」






 
【感想(ネタバレ)】





宮崎駿流「ブレイブ・ストーリー」?引退作になる最後の〆の作品で“超王道ファンタジー”を持ってくるのがまたスゴい。序盤の戦時下が舞台だとわかるシーンで嗚呼これはノンフィクション系かな、と思わせてからのどんでん返し。事前に内容を知らされていないから「こそ」できる仕掛けと言うか、観客に「あっと驚き」を与える素晴らしい展開だと思いましたね。ていうか序盤も序盤で主人公真人(マヒト)が階段をダダダダダってかけ上げっていったり火の中に飛び込む場面の周りの音が火でかき消されたり消防団と鉢合わせになったり、なんかもう映像また進化してね?今回ジブリ映画としては初の“IMAX上映”でありますが、従来の手書き感も残しつつ今回は“デジタル色”が非常に強い印象を受けましたねー。



でもって真人の父親は一発で「あ、キムタクだな。」とわかったものの、義理の母親(実母の姉と再婚するってアリなの?)の木村佳乃とか柴咲コウなんて“ばあちゃんVer”のボイスもやってたんでしょ?















国民的俳優「菅田将暉が鼻の上にブツブツ出来た気持ち悪いおじさんの役」とは





てっきり直人の声かと……そんでもってあ、あいみょん??演技経験のないクリエイターを起用したがる「風立ちぬ」を彷彿とさせるし……毎度お馴染み「飯テロ」描写にペリカンの死相や「ハラワタをぶちまけろ」等「生々しさ」は「もののけ姫」を連想させ、居酒屋もビックリ白い「わらわら」はまんまマックロクロスケだし?仕舞いには「ナウシカ」の世界から拝借したフライングフィッシュっぽいのいたよね!?最後の創造主ユパ様じゃね…!?至る所で発見されし「これまでのジブリ作品」の数々。そしてそれらの世界の「入口」が空から落下してきた小惑星だった?謎の屋敷、というその屋敷が初登場したシーンで不覚には「これまんまジブリ博物館じゃね?」と思った方もいるのではないでしょうか?



まさに今作はスタジオジブリの「ダイジェスト版」と言うところで、その「はじまり」がジブリ美術館〜だとしたら?だとしたらめっちゃエモくない?(使い方あってんのこれ?)



それにしても沢山の「鳥」が出てきますが何か意味があったのでしょうか?過去のジブリ作品には飛行船や「空をとぶもの」がほぼ必ずと言っていいほど登場している(「千と千尋」のハクや「トトロ」だって空を飛ぶ)「空」「飛ぶこと」に駿監督は並々ならぬ憧れや執着心がある?(「風立ちぬ」はまさにそんな人の話ですし)と考えると、鳥はまさに「空を飛ぶために生まれてきた」生き物ですし、「コウノトリ」や「不死鳥」など「生死感」を連想させる今作の象徴としてまさにピッタリだった、というわけですかね。さらにアオサギもエジプト神話では不死の鳥として登場しフェニックスのモデルになったとも言われているらしいですねー。



屋敷の中にある「下の世界」を長年たったひとりで管理していた創造主。しかし彼も年齢的にそろそろ限界が……そこで同じ血を引く家柄の人間が条件だった、つまり直人に「後継ぎ」になってほしい、という魂胆があって母親を誘拐した?その「下の世界」は創造主が絶妙なバランスで積み上げた「積み木」によって秩序が保たれているという設定ですが、まず創造主とはこれまで歴史を築き上げてきた年長者たちのことで、宮崎駿本人もその1人。そして「積み木」ですが大小四角かったり丸みがあったり様々なカタチをしている所から、この世の“多様性”を表している?人種、宗教、貧富、様々な“違い”を持った人々が一つの世界に存在しその全てを“丁度よいバランス”に積むことが=“世界平和”という設定?



そしてそれを真人という“若い世代”に受け継いでほしい、それが今まで積み木を積んできた=歴史を築いてきた年長者の願いだったわけです。しかし真人は「それを受け継がない」という選択をするんですよね。それはつまり真人=若い世代代表は、あなた方年長者が歩んできた堅苦しいやり方に囚われない、自由な発想で、自分たちのやり方で新しい世界を作り上げていく、という意志の表れともとれるような……。そして宮崎駿で言えば、その若い世代とは“クリエイター”をことを指しているようにも思えました。駿さんは若いクリエイターたちに“自分たちのようにはなるな”というメッセージも込めていたのではないか。本作に「下の世界」と真人がいる現実世界を繋ぐ“扉”が登場して、クライマックスには真人とヒミが2つの扉を同時に開けるシーンとかあったじゃないですか。あれがまんま新海誠の「すずめの戸締まり」をパクっt……意識しているんじゃないかと。つまり駿さんは次世代のクリエイターの作風をも吸収し82歳になった今でもむしろアップグレードし続けている!?頑固おやじのような姿で、しかし蓋を開けてみると意外にも次世代に寛容だった?あるいは“もう自分の出る幕ではない”と、これ以上“これまでのジブリ”を終わりにしたいのかな……とも思えてしまったり。



そこへインコ大王?の横槍が入り無惨にも積み木は崩壊。あのインコ大王はまんま“紛争”の象徴的存在で、つまり紛争とは創造主や真人たちの見ていない“全くカヤの外”から突然飛んできて、そしてこれまで創造主が築き上げた世界を一瞬にして破壊する。アオサギの後ろでずっと様子を伺いながらジリジリと近づいてくるインコ大王は、まさに“いつ戦争をはじめようか”頃合いを見計らう“戦争を仕掛ける者”のよう。



「下の世界」の崩壊で現世に戻ってきた真人。終戦後の世界、新しい家族の誕生、自分の身の周りで起こる変化は止まらない。それは“映画”という夢の国から出たきた我々視聴者も同じこと。我々が最後に問いかけられるのは、この映画を見て何かを感じて欲しいということと、「さあこれから“君たちはどう生きるか”。」___なのではないでしょうか。

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