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侍タイムスリッパー(2024)


【原題】侍タイムスリッパー

【監督】安田 淳一

【出演】山口馬木也 沙倉ゆうの 冨家ノリマサほか

【あらすじ】

幕末の京都。会津藩士の高坂新左衛門は家老から長州藩士を討つよう密命を受けるが、標的の男と刃を交えた瞬間、落雷によって気を失ってしまう。目を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所だった。新左衛門は行く先々で騒動を起こしながら、江戸幕府が140年前に滅んだことを知り、がく然とする。一度は死を覚悟する新左衛門だったが、心優しい人たちに助けられ、生きる気力を取り戻していく。やがて彼は磨き上げた剣の腕だけを頼りに撮影所の門を叩き、斬られ役として生きていくことを決意する。(映画.COMより)



 
【感想(ネタバレなし)】

『今って1185(いい箱作ろう)鎌倉幕府なのぉー!?』

 




どーもどーもアングラな立ち飲み屋で一人飲んでたら女装したET似のタバコふかした可愛いお婆ちゃんに1時間ずっと絡まれましたラーチャえだまめです。新宿で遊ぶ孫に金をせびられるって……知らんがな。そんなお婆ちゃんに「今チッタで時代劇やってるよ!」とオヌヌメしたのがコチラ



【侍タイムスリッパー】ぁぁぁあ!!!池袋シネマ・ロサの単館上映だったのが口コミで徐々に人気に火がつき今や川崎チネチッタ、そして9月13日より全国のTOHO系ほか全国拡大上映が決定済みという!?“第2のカメ止め”と既にシネマ界の話題を席巻中の令和の時代に“来まくっている”コチラ!?来たのは140年前の幕末のお侍さんで…??宿敵との殺陣の最中、落雷により“現代にタイムスリップ”……デロリアンも使わずこりゃコスパがいいですねッ!!なお話もそうですが、何を隠そう本作がドがつくほどの“インディーズ”作品という低予算映画、にも関わらずレビューサイトで軒並み高得点を取得、これは相当なバケモノ級に面白いに違いない……ということで気になって拝見させて頂きました。



いやーまずはじめに“インディーズ”という先入観を捨てたっていい、作品として「良くできている。」そりゃ確かに安っぽいカメラに音ズレ、役者のオーバーリアクション……“予算”的な壁は当然ございます。しかしそれを免罪符にする必要すらない、脚本がよくできてるんすよね。“現代に侍がタイムスリップ”なんてストーリーはものすごい単純。その中で全力で“やれることを全部やってやろう”という幕の内弁当的な欲張り感。おなじみのタイムスリップあるあるネタから、行って→帰るなんぞどこぞのデスロードばりの楽な道ではなく現代にやってきた、さあ“その後どうする??”現代で生きていくために“侍という職業”から要は転職しなきゃいけないわけです。まげ頭でコンビニの店員でもやりますか?(それはそれで見たい)刀を包丁に変えスーパーの鮮魚コーナーで働きますか?いいえ侍が選んだ第2の“天職”こそ












“時代劇の「斬られ役」”





このアイデア。撮影現場で誰よりも斬り合いを知っているのは間違いなくアナタ(だって本物だもの)殺陣のシーンは演じる役者さんたち皆ガチの殺陣アクション習得者っぽくてキレッキレのアクション。全然B級じゃない。侍として生きてきた男が京都太秦撮影所でなんちゃってチャンバラ“ごっこ”に興じる……これが意外とノリノリで演じ始める。死に様も楽しんでやってます。撮影で使う刀は“真剣”とは違い軽いニセモノだから勝手が違ったり、殺陣の師範からレクチャー受けるんだけどこれがなかなか面白い。「なんでお前が斬るねんアホ。」劇場は笑いに包まれる。全体的にゲスでブラックな笑いではなくどちらかと言えば“笑点みたいな笑い”で、わかりやすく誰にでもウケが良さそうなそんなコメディでした。特にシニアの方たちがゲラゲラ笑ってましたねハイ。でも物語中盤から“意外な展開”へシフトしていく。



今作の根底にあるのは「時代劇リスペクト」。劇中のセリフでこんなのがありました。「今や“サムライ”と言えばサッカー日本代表を指す……」確かになぁー。昔は地上波で何本も放送されていた時代劇も今でもせいぜい地上波で拝めるのは1年に1本スペシャルドラマがあるかないか(東山が俳優引退したからもうホントに見納め??)はっきり言います、私は時代劇は全然観ないです。せいぜい最近(でもないけど)三池監督の「13人の刺客」とか、「7人の侍」のリバイバル上映、あと大学の授業で見た「羅生門」、マッケンユーのお父さんの「里見八犬伝」はギリ時代劇ですか?「忠臣蔵外伝 四谷怪談」は決して高岡早紀の高い岡目当てじゃn……故に“時代劇”を語る筋合いはございませんが、でもわかるんですよね












タイムスリップした侍=「この映画そのもの」であると__。




現代に来た侍。時代に“取り残された”侍。でもこのままでいいのか?彼は“侍という生き方”は変えずに、“カタチ”を変えて生き残ろうとするのです。これも劇中あったシーンですが、時代劇で世界進出だって間違った選択じゃない。例えばヨーロッパなら派手な西洋の王宮の中で、フェイシングみたいな殺陣が合ってもいいのではないか。アメリカ風にするなら(荒野の7人はあるけど)ガンマンと侍の一騎打ちがあってもいいのではないか___



全くその通りだと思いました。時代と共に、それでも“変えないもの”とどんどん“変えるもの”、どちらか1つが優勢になってもダメ、この2つを上手く掛け合わせて手広くやっていくことが、未来永劫存続させる道である、本作はそんな時代劇の今後を示唆しているかのような映画なんですね。要は時代劇なんだけど「映画を作る人たちの話」でもある……



ちょっと、ちょっとちょっと〜!!なんなんですか「デットプール&ウルヴァリン」といい「フォールガイ」といい、2024年は「映画製作者達へのラブレターの年」なんですか!?今作も同じ時代劇を作る“裏方”たちの姿、映画製作の内部を映していて、時代劇を愛した作り手たちへの“最大限のラブコール映画”になっているんですね!!ラストはちょっぴり涙チョチョ切れ案件かもしれません!!そしてそのラブコールがねえ……実は本作の上映前



“新作の時代劇(それも3本立て続けに)予告が流れる”……もうそれじゃん!!劇場さん粋だね〜!!!(泣)まだまだ時代劇は消えませんってか?



欲を言えば若者キャラも出して欲しかったかな。今作では若者はただの害悪でしかない描かれ方だったから(汗)現代の若者たちへは、、、向けていないの所がちょっと残念でした。これ今やってる「ナノビアの砂漠」と凄い対照的だな〜と思っちゃって。いやあっちの方はまだ見てないんですが一部レビューで「思想が若すぎる」って釘刺されてない?まぁそれは見る人の“世代”によるんだろうけど、今作は映画ファンは勿論、時代劇ファン、並びに“リアタイ世代のシニア”の方には特に刺さりまくる映画なんじゃないですかねー。


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