ユー・アー・ノット・マイ・マザー(2021)
- ラーチャえだまめ
- 2023年2月7日
- 読了時間: 5分

【原題】You Are Not My Mother
【監督】ケイト・ドーラン
【出演】ヘーゼル・ドゥープ ポール・リード キャロリン・ブラッケンほか
【あらすじ】
ハロウィンの前週、少女チャーの母アンジェラが不可解な失踪をした。翌日の夜、アンジェラは何事もなかったかのように帰宅するが、失踪については何も話そうとしない。チャーと祖母リタは、そんなアンジェラの様子に違和感を抱く。アンジェラは見た目や声こそ変わらないが性格も立ち居振る舞いも失踪前と異なっており、まるで悪意ある何者かに取って代わられたかのようだった。やがてアンジェラは、常軌を逸した行動を取り始める。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『取り替えられなければどうということはない。』
どーもどーもラーチャえだまめです。未体験ゾーン!!…….も残すところあと僅かとなってしまいました。いやー今年も結局10本も届かなかったか……と言うことで残りあと2本に勝手に絞らせて頂いた所で今日ご紹介する未体験さん、いらっしゃぁ〜い
【ユー・アー・ノット・マイ・マザー】直訳すると「おめぇはワシの母ちゃんじゃねえ!!」……です。いやー「ある日帰ってきた母親が別人級に違和感アリストテレスなんですけど?」映画と言えば?ハリウッドリメイクもされた「グッドナイト・マミー」が真っ先に脳裏をよぎってしまいますが、、、、、今作のマザーは美容整形帰りではなく「もう、これ以上は無理…」の一言を最後に行方不明になるという、何か精神的な病気を患っている故に失踪するのも無理もない??しかしその後無事に帰宅した母親を見るなり「何かがおかしい」と察する娘ですが……

「何かがおかしい」って言ってもよ?すっかり顔色は良くなって夕飯作りだすわ外出するわ日常生活出来るくらいにまで「回復」してですよ、ちょっと気分転換に失踪しただけじゃね…?悪いどころか症状良くなってんじゃね?いやむしろ「おかしい」のは「生まれつき」だと家族に教えられてきた「額の火傷あと」を持つ娘を取り巻く叔父そして祖母の方なんじゃねえー!?とOPシーンからそっちの方を疑ってしまうという非常に変わった映画、なんですねぇーなんて思ったら

あ、やっぱり母ちゃんおかしいわ
スピークイングリッシュだけど景色があまりアメリカっぽくないなと思ったらアイルランド映画でしたか。そのアイルランドの民俗伝承をテーマにしていると言っても過言ではない本作はズバリ「取り替え子」ネタにしたホラー映画となっております!「取り替え子」とはヨーロッパに古くからある伝承の一つで、ほかにもスウェーデン、ウェールズ、スコットランドなどが有名らしい。ホラー映画の格好のネタとしても過去にも未体験で上映された「ザ・ハロウ/侵蝕」、あと「クワイエット・ボーイ」という(こちらはイタリア映画)作品を以前ブログでご紹介させて頂きましたが、これも「取り替え子」ネタにしたホラーでした。「精霊に子どもを取り替えられる」行方不明から再び帰ってきた我が子は実は精霊が化けた別人だった、という怖い昔話的な?しかし本作ではそれが子どもではなく母親、と言うことでしょうかー?
ある日学生のシャーは学校に遅刻しそうになりいつも寝込んでばかりいる母親のアンジェラに「遅刻しそうだから学校まで送って」と少々無茶なお願いをする。愛する娘のためならとベッドから重たい身体を起こしたアンジェラはシャーを車に乗せ車を出す。「ねぇ大丈夫?」ずっと前を向いて運転するのはいいがシャーの言葉にまるで反応を示さないアンジェラにシャーは少々不安を覚え始めた

っとここで偶然にも目の前に馬が!?

こっちがヒヒ〜ン(怖)だわッ!!!
このままでは命がいくつあっても足りないことを悟ったシャーは車から降りると徒歩で学校へと向かった。その帰り道、アンジェラの乗る車を発見するのだが車内にアンジェラの姿はなく……
非常に終始しずかーな映画でしたね。おっかなびっくりするようなシーンもありますが数は少なく、舞台が小さな田舎町オンリーな所もあって非常に地味な印象。ただそれが本作に独特な静けさを醸し出している。小さな田舎町ですから失踪した母や「家族の噂」も街に浸透しているようで、周りからシャーの家庭はご近所からは「異常な家族」として何故か白い目で見られている?

本作は赤い火傷の娘シャーの視点で描かれます。このシャーですが母が精神を病み始めた頃から自身も心を閉ざすようになり学校でも無口なことが多い。それ故にクラスではいじめの的にされてしまうのですが、いじめっ子の一人が途中から改心していいヤツになり(それに比べてガチいじめっ子ときたら…)シャーの塞ぎ込んだ心にも次第に変化が訪れるように……しかしそれをあまり快く思っていない祖母。うーんやっぱりシャーの“家族”に何か母親失踪の原因がありそうじゃないですね?
ハロウィンの日は人間と精霊の境界線が一番「弱まる」日だそう。ネタバレは控えますがそれらしい真相は語られるものの結局あまりよく分からなかったなーという印象。ラストも本当にこれで終演なのか、どっちとも取れるような終わり方というか。にしても仮に「もしかして全て娘の幻想だったら?」母ちゃんただエラい目に遭うだけやん……(それはないか)親のことが信じられなくなる……ことほど怖いことはありません。“身内家系ホラー”特有のジワジワとゆっくり恐怖が浸透していくような、そんな物静かなホラー映画ですねー。
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