【原題】Mad God
【監督】フィル・ティペット
【出演】アレックス・コックス ニキータ・ローマン
【あらすじ】
荒廃した未来世界。地下世界に潜り込んだ孤高の暗殺者が、老朽化した地下壕やそこにうごめく不気味なクリーチャーのあいだをくぐり抜け、やがて化け物たちの巣窟と化したこの世の終わりを目撃する。(映画.COMより)
【感想】
『月・火・水・木出勤時の社畜』
どーもどーも先日ワールドカップで徹夜して電車の中で立ったまま寝てそのあとひざカックンされたみたいに床に崩れ落ちましたラーチャえだまめです。一瞬何が起こったのかと思いましたよ、そう不意に闇の中にフラッと落ちたかと……なんていう錯覚に陥ってしまいそうな映画を拝見させて頂きました
【マッドゴッド】…!!!ゴッドたんは好きなんですけどね、地獄の黙示録映画ですか?数多多くのSF映画を大ヒットへと導いた立役者の一人と言っても過言ではない??特殊効果界の“ゴッド”フィル・ティペット。映画に登場する視覚特殊効果を担当して45年以上のキャリアを持つその道の元帥、「スターウォーズ」はじめ「ロボコップ」「スターシップ・トゥルーパーズ」……彼の生み出した「手作り」な奇想天外な愛すべきクリーチャーたち。しかし93年の「ジュラシック・パーク」で恐竜の模型を作成中「恐竜はCGにします」の世界のスピルバーグのプテラノドンの一声でCGにシフトチェンジ。それを知った彼は深く絶望し結局その後「ジュラシック〜」でCG恐竜の動きの指導などを行い皮肉にもその年のアカデミー賞特殊視覚効果賞を受賞するという快挙を遂げるのだが、その一件でハリウッドから己の才が「不必要」の烙印を押されたと感じ裏舞台から徐々にフェードアウトしていった…。前回ご紹介した「クリーチャーデザイナー」でもこの一連のジュラ紀に勃発した「アナログVSデジタル」論争を垣間見れましたが、その「ジュラシック〜」でのショックで企画が頓挫した、彼が仕事の合間を縫ってコツコツ自主制作してきたある企画が今作なのです!!
そしてそれから30年、ティペットスタジオの若手クリエイターたちがその企画を発見、未完成としてはあまりにも勿体ないと企画を再始動、彼がこれまで残してきた数々の“宝石”たちは今30年越しにスクリーンで脚光を浴びる機会を得たというのだ__!?
とまぁ今作は“ストップモーション”映画……ときて真っ先に比較対象の的になるであろう去年公開されたジャパニーズ・ストップモーションの革命分子「JUNK HEAD」ではないでしょうか??いや比較するのも正直どうなのよって話ですがアチラが制作期間8年に対してコチトラ苦節“30年”……な、長ぇ…!金魚のク◯より距離あるよ!!
…そんなク◯みたいな生き物達が何やらワンサカ生息する暗黒世界が舞台の?予告を観た感じはなんとなく、いやだってタイトルからして“狂った神”……厨ニでもそんなタイトルつけないわ!強烈な刺激に満ちた世界をさぞ堪能出来るだろうと思っていたらですよ、いやーこれまたとんでもねぇ代物に私手を付けてしまいました
「ナンナンジャー・シングス 何一つもわからん世界」って?
裏側のそのまた裏側のアンダーグラウンドをひたすら突き進む。糸を垂らしながら降りてくるマユみたいなポットに乗るガスマスクの男。彼はある目的の為に上界から下界に降りてきたのである!!!……えナンナン?この映画「まずセリフがない。」よってストップモーションで作られたキモカワいい住人たちの行動を読み解きながら「今この瞬間“何が”行われているのか?」を推測して観なければならないのです!!男が来た目的も男の素顔もそしてこの世界の理も、何もかもが説明皆無。いや一応OPで平野レピ記26章をズラズラ〜と流してくるあたりどうやら“聖書”に絡ませたシナリオなのかな?とも思ったがどうやら今作は元々“短編だったものを数珠繋ぎして1本の映画にした”ようで、どうりで物語の一貫性がないわけだと妙に納得…。ともあれ本作を見る前に公式サイトとかで“あらすじとキャラクター設定”くらいは事前予習することをオヌヌメします!ちなみにネタバレを読んでもなんら問題ありません!!いやむしろその方が映像にすんなり入れてストレスフリーかも?
只今ゲ◯を美味しく頂いております。
ちょっとアレだ、「KUSO」って映画覚えてます??アレに近い。「芸術だ!!」とか言ってゲ◯したク◯を飲ませるみたいなコレほんとに12禁なのかよぉー!?“独創性”を突き進むと人はどうして排泄物(またはおち◯ち◯)に手を染めたがるのか……そんな嫌悪感を抱かせるのがメインテーマの一つにありそうで、イヤな人はとことんイヤでしょう。当然“普通の人”にオヌヌメできるシロモノでもないし間違ってもデートで観ちゃ駄m……もし一緒に見れくれる女性いたら結婚してくださいお願いします
ク◯から生まれた屍の労働者。社畜の命の嗚呼なんたる軽さよ……私ならきっと飛んできたモノリスに潰される一人なんだろうな。あれまってこの地獄世界って超過激に変貌した現代労働者階級の縮図なんじゃないか?地獄にもちゃんと“弱肉強食”の縦社会があって、喰うもの喰われるもの、そのサイクルが逆転することは決してない。社畜は永遠に社畜。雑魚は永遠に雑魚……なんて救われない世界、いやそれは自然も社会も一緒か
…とまあ中盤まではなんとなく理解が追いつきはじめたのも束の間「実写パート」が突然はじまりそこからはもうわけがわからん、てかストップモーションに実写っているけ…??けどその実写パートで何故か「シド・アンド・ナンシー」のキテレツ監督アレックス・コックスが爪の長いマッドサイエンティスト役で登場、というサプライズ。とりあえず「2001年宇宙の旅」っぽいビッグバン起こしたいのはわかったけども……
とりあえずアレだ、「映像を楽しんで下さい」と言うほかない。先程からなんとなく察した方もおるやもしれませんフィル・ティペットの作り出したこの“地獄”は、彼の完全自己完結型世界のため、そもそも我々視聴者が理解する隙すらあるのか?と思うくらい(短編繋げたくらいだしね)ここは無理についていこうとはせず、彼の特撮技術に舌を唸らせ、ただ観て楽しめば良い、それが本作を観る上で一番しっくりくる鑑賞方法なのかなと…。
巨匠のセンスと変態度だけで突っ走ると、こうも荒唐無稽な意味不明映画が爆誕するのか……世界観から何まで色々と似ている「JUNK HEAD」が、わざわざ字幕を入れる手間をかけてまで万人に理解できるように“観る側”にいかに配慮されていた作品だったのかがわかりましたね。ちなみに日本公開記念として「JUNK HEAD」の堀貴秀監督とフィル・ティペットのリモート対談が実現したらしいですよー。
そういえば今日本では本作のほかにギレルモ・デル・トロの「ピノッキオ」教育TVの劇場版「ひつじのショーン」が上映中であります、ものづくり大国日本でストップモーション映画が3本も上映されるというその界隈ではなんとも嬉しい悲鳴が聞こえてきそうですね!!
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