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マザーズ(2016)


【原題】Shelley

【監督】アリ・アッバシ

【出演】エレン・ドリト・ピーターセン コスミナ・ストラタン ピーター・クリストファーソンほか

【あらすじ】

資産家のルイスとカスパー夫妻の住み込みの家政婦となったシングルマザーのエレナ。自給自足の生活を心がけ、電気も水道もない生活を送る夫妻と家族のように親しくなっていく中、彼女はルイスから代理出産を持ち掛けられる。実家に預けている幼い息子と暮らせるアパートを買ってやると言われ、申し出を引き受けるエレナだったが、妊娠直後から彼女の身に異変が起きる。(Yahoo!映画より)





 
【感想(ネタバレなし)】

『※スウェーデンの山奥でアンドレセンですがホルガ村とは一切関係ありません』

 





どーもどーもラーチャえだまめです。未体験ゾーン!!!今夜もやって参りました、本日は第4弾……個人的に今の所それといったアタリを引いていないような気がしないでもない、しかしココへきて“真打ち登場”と言っても過言ではない??今年の「未体験ゾーンの映画たち2022」の作品中、唯一ロングラン上映されていることからもそれが垣間見れる、本日私が拝見させて頂きましたのはコチラ



【マザーズ】___。いやー妊婦さんにはあまりオヌヌメしずらい“マタニティホラー”の最新作……否、こちらデンマーク・スウェーデン配給で2016年に制作された映画。未体験では過去にもゾンビヒツジが人を襲うトンデモシープな「ブラックシープ」なるジンギスカン映画を牧場から14年寝かせて輸入してきた確信犯ですがでは今回なぜこんな古い映画を今更センバツしたのか__?おそらく2019年ヒュートラさんでも上映されたゴブリンスレイヤーも度肝を抜く衝撃作「ボーダー ⼆つの世界」で日本凱旋したデンマークの新鋭アリ・アッバシ監督の記念すべきデビュー作……ということで?劇場には沢山の観客の姿が。「ボーダー ⼆つの世界」の監督のデビュー作、これはかなり期待してしまいますよねー。



まぁ私個人的には、前作はちょっと抽象的すぎたと言うか面白いのかそうじゃないのかさえ自分でもよくわからない(何いってんだコイツ)男女の境界線=ボーダー?人種の境界線=ボーダー??劇中せめてボーダー柄のシャツでも着てくれれb、、、、で本作ですよ。いやぶっちゃけその前作よりかは遥かに「純粋にホラー」。前作ばりのはっきりとしないシーンも多いのですが、それでも前作よりは「格段に見やすい」そんなイメージですね。手に取りやすい。北欧の寒々しい自然を堪能しながら“極上のホラー”を堪能できる……マタニティホラーというと一番代表的なものは、やはり「ローズマリーの赤ちゃん」でしょうか。もしかしたら知らず知らずのうちに“悪魔の子”を宿してしまったのかもしれない?と恐怖乱舞する“母親”が主人公……本作はその「ローズマリーの赤ちゃん」に匹敵する恐怖、しかし恐怖するのが血の繋がった“母親”ではなく















代理出産”する“他人”







という、「代理出産の恐怖」これを描いているわけなんですねー。ちなみに誤解を生むような言い方しましたがこの映画は“決して代理出産そのものを否定しているわけではありません”ので、そのへん気分を悪くなさらずにお楽しみただければと……。






 





物語は森の奥深くで自給自足生活を送る夫婦の元にシングルマザーが生活費を稼ぐためにお手伝いにやってくるところから始まります。シングルマザーのエレナは奥さんのルイスを白髪でスピリチュアルに骨の髄まで侵食され友人に同じく白髪でガンダルフってるビョルン・アンドレセンとかもはやカルト集団の一味にしか見えなかったわけですが、住み込みで共に生活していく内に徐々にルイスと親睦を深めていきます。ある時エレナはルイスに自然尾崎豊かすぎる最高の環境の中2人暮らしには勿体ないくらいのどデカい住居にステキな旦那さん……子どもは作ろうと思わなかったの?とふと質問します。するとルイスは過去に子どもを設けようとしたが死産して子宮も取り除いたため、今は子どもを産めないカラダになっていることを打ち明けます。そしてルイスはエレナに“自分の代わりに子どもを産んでくれないか”と思い切ったお願いをするのです。



当然イエスと即答することなど出来ない難しいお願いに戸惑うエレナでしたが、代理出産をすれば子どもを出産するまで一切の家事をしなくてもいい、将来の生活費も全額負担するという条件、そして何より雇い主といえども“マイベストフレンド”となったルイスの一生をかけたお願いということもありエレナはルイスの代わりに子どもを産むことを決意するのですが……



はじめに言います「ルイスは魔女ではありません」。ただの“人の子”…否「ただの“善人”」なのです…!!!タハァ〜これは一本取られた!だいたい森の中に住む得体のしれない住人に謎の病原菌移されたり悪魔の儀式に利用されたりするじゃん!?ルイス夫妻はそうではないのですエレナに対して非常に優しくそして面倒見もいい……それなのに!?妊娠したエレナの様子が次第におかしくなっていく恐怖。ココが怖いんですよねー!!



栄養つけているはずなのにいつも体調が優れない。いつも疲れている。夜も悪夢にうなされたり……顔色も徐々に悪化の一途を辿るエレナ。どうして?一体何がいけなかったの?……その“答え”は私は決してスピリチュアルなものではないと思うのです。















子どもを産むって、それだけ大変ってことが言いたいのでは?






私は♂なので正直“その痛み”はわかりません。確かにオカルト色が強い映画ですが、子どもを産む辛さ、そして恐怖、そういった妊婦さんが抱く“マイナスイメージ”をオカルトという過剰演出で見せているだけなのではないかと思うのです。そして先程から疑問に思う“なぜエレナは謎の現象に苦しめられるのか”そこにオカルト的答えは本作にはありません。そのへんが不親切と言うか、オカルトを期待している方には物足りなさを覚えてしまうかもしれません。ただその答えは“エレナはなぜ他人の子を産もうとしたのか”ここに直結しているのではないかと……(後半“ネタバレ”に続く…。)








 
【感想(ネタバレ)】





この映画はですねー、子どもを産むという人間だけではない「生命の神秘」への「冒涜」を描いた映画だと思うのです。



ルイスとの“友情の為”とは先程言いましたが、それってただエレナが自分の都合のいいように思考回路を転換させた“美談”にしたいだけだったんじゃないかな、とも思えてしまうのです。だって稼ぎに来たんですよね?人助けのためにルイス夫妻の元に来たわけじゃない。そしてそれが決定的なのがエレナが妊娠中に隠れてタバコを吸っていたという事実。当然妊娠中にタバコはご法度、そんなことシングルマザーのエレナは知っていたはず。しかしそれをやめなかった、お腹の赤ちゃんより自分の欲を優先した背景には結局は「自分の子じゃないからどうなってもいい」という無責任な態度があったからじゃないか?そしてたとえ自分の子じゃないとしても、そもそも子どもを産むのは母親→「母親としての器」が必要なわけで、エレナにはそれが“欠けていた”。つまり子ども=生命へ冒涜を意味している?



ただエレナが死に際まで苦しめらたのはわかる、けど“その後”も物語が続き今度はルイスの夫が、産まれたばかりの赤ちゃんに苦しめられるのはなぜなのか。“なぜルイスではなく夫だけなのか”これもつまり今言った生命の冒涜、夫に対する「父親の器」が十分に足りていなかったのでは、と私は推測しました。夫に関しては前半はあまり描かれていないので一見すると妻のことを想う無害で頼もしい良き夫のように映ります。



しかしそもそもルイスの子どもが死産した原因はルイス本人によるものなのか?ルイスはそのことでずっと心に深い穴を空けて生きていましたが。後半夫がルイスに淫らな行為をする→ルイスに対してそのような下心を持つ→ルイスを見下している?完璧な夫=完璧な父親とは限りませんよね?父親としての器が足りていなかった、だから夫もまたエレナと同じく生命から“罰”を受けたのかも?大自然の中で生きているから余計に彼らの犯した罪が自然の中であからさまに目立っていたのかもしれません…。



ただし厳しいなーと思うのは人間誰だって完璧な人間などいないということ。エレナにしろ夫にしろ、エレナに対してはちょっとダメな部分の方が強いかもしれませんがそれでも7割くらいで子どもを育てる能力は備わっていたんじゃないか(自分の子どものためにアパートを借りる資金を貯めていた等)夫だって同じだと思うのです。でもそれではきっと駄目って言われちゃうんでしょうね。7割で子育てしても。10割で子育てしないと。それだけ「子どもを作るって責任重大なんだよ」ちょっとでもそこに“不純な動機”が含まれているなら、子どもなんて作るんじゃないよ!と生命の神様に叱られているような、そんな気分にさせられてしまう、そんな映画だと思いましたねー。


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