ボーンズアンドオール(2022)
- ラーチャえだまめ
- 2023年2月26日
- 読了時間: 8分

【原題】Bones and All
【監督】ルカ・グァダニーノ
【出演】 テイラー・ラッセル ティモシー・シャラメ マーク・ライランスほか
【あらすじ】
人を食べてしまう衝動を抑えられない18歳の少女マレンは、同じ秘密を抱える青年リーと出会う。自らの存在を無条件で受け入れてくれる相手を初めて見つけた2人は次第にひかれ合うが、同族は絶対に食べないと語る謎の男サリーの出現をきっかけに、危険な逃避行へと身を投じていく。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『「お残しはゆるしまへんでぇ〜」』
きゅうりのキューちゃんのCMで笑福亭鶴瓶と清野菜名は刑務所にいるんですか?ラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました
【ボーンズアンドオール】__。監督は「君の名前で僕を読んで」のルカ・グァダニーノ。この人ねー、先に言うと「苦手」な監督です…。上からの命令でどーしても「リメイク作を撮れ」と脅されたとしても名作ホラーを春のパン祭りならぬ「自己満のオ◯ニー祭り」の道具にした「サスペリア」を観た時はちょっとですね、「さわんじゃねーよ」レベルの観客を見放す滅びのバーストストリーム砲に吐き気すら覚えた記憶が……

なのに今日何で観たんだよって、そりゃあ「カニバリズム映画」とは切っても切れない関係だからですよおおおお!!前方に座る上映中もお喋りの止まらぬカップルに「お前ら喰ってやろうかガハハ〜」って言えばよかっ……

砂糖入れなくてもあまーーーーーーーーーーーい!!!!!顔
平日の夜、ヒューマントラストシネマ渋谷。「未体験」期間中はおっさんの掃き溜め場も今日は客層はほぼ女性&カップル。シャラメ人気恐るべし…!?出演は「砂の惑星PART2」ジョニデの若かれし頃を演じる「ウォンカ」と注目作を控えるグァダニーノ監督とは2度目のタッグ、日本でも爆発的な人気を誇る今作では“プロデューサー”としても名を連ねるらしいよティモシー・シャラメ。今回そんなシャラメが元カレがリアル食人でハリウッドを追放されたからか“カニバル(食人)”役に挑戦と言うことで、ファン的には「キミの肝臓を食べたい」レベルの発狂ものなんですか?「人が人を喰う」ことに人は何故興奮を覚えるのでしょう……あ、少なくとも私はそうでs、過去ブラピやトムクルーズ、ジュードロウなどイケてるメンズが“ダンディ人喰い”を演じ黄色ならぬ赤い声援を受けたらしいですが……イケメンならむしろ喰われたい!!と身を捧げるファンの気持ちもわからなくはない。「愛しい人〜」なら“骨の髄まで”しゃぶられたい…?
だが待て監督はあのグァダニーノ監督だ!きっとまた“意味アッチョンブリケ”な意味不明なシーンとか盛り込んで“無理くり難しい映画”にしているんじゃないか…??と身構えて観ていたのですが

「ピュア」な恋模様に難攻不落の城も落城おおおおおおお!!??
いやぁー「抜群に観やすい」。“取っ掛かり”がまるでないのだがー?“賛美両論”とか“誰も観たことがない”とか宣伝打たれてますけど、いやこれはただの純粋無垢な「恋愛もの」じゃないですか??大地真央も絶句する「全ては“愛”故に……」映画として!?実に「難しくない」どストレートなロマンス映画として鑑賞出来るのではないか!?
ただコレがですよ、“恋愛”だけに囚われない、「カニバリズム」「ティーン」「純愛」「ロードムービー」……これら全てを余すことなく盛り込み、しかも互いにケンカすることなく調和させているのは流石としか言いようがないのです!?SFドラマ「ロスト・イン・スペース」の長女から「WAVES/ウェイブス」「エスケープ・ルーム」と徐々に主演作も増えてきたテイラー・ラッセル演じる10代の女の子マレンは時より例え相手が学校の仲の良いクラスメートであろうと自生の効かない“禁断症状”に襲われる特異体質の持ち主で___キャッキャウフフな楽しいパジャマパーティやってる最中に覚醒する、あの自然な流れねぇ〜。空気がキリッと突然“人ならざる行為”に走る衝撃。マレンは厳格な父親とすぐに家を出るのですが……

「これ以上お前を“かばいきれない”」と佐賀のがばいばあちゃんも絶句する父親から“突然のエンガチョ”を告げられたマレンは、父親が残した肉声付きカセットテープと自分の出生記録書から、自分を産みすぐ失踪した“母親”に会いに行こうと決意する。“母を訪ねて三千里”じゃないけど身寄りを失ったマレンがたった一人で唯一の肉親の元を訪れる「ロードムービー」が始まるわけですよ。そしてその道中奇遇にも自分と同じ“特異体質”の持つ「同族」たちにやたら出会うんですよね。類は友を呼ぶってやつでしょうか?マレンに近づく謎の男

「僕の名前で僕は呼んで」ますってか?
名優マーク・ライアンス……ここでは詳しくは語りませんが「色々と“痛い”役」がアタリすぎるというか、ピュアピュアなティーンの恋愛に割って入ろうとするオヤジの「痛さ」ときたら生きたまま喰われるより痛いわ!?マレンの“ニオイ”を嗅ぎつけ近づいてくる、まぁ言ってしまえば白ブリーフの“変なオジサン”です。当然10代の若い女の子からしたら知らないオヤジがやたら親しくなろうと近づいてきたら恐怖でしかない“警戒心120%”の塩対応!!エラい!!その通りだ!!一緒に暮らそうとか気色悪いこと言い出す前にスキをついて足早に逃走……そして次に出会うのが鼻高すぎだろ!!ク◯イケメン過ぎる“さすらいの世捨て人リー”演じるティモシー・シャラメだったから

そりゃ問答無用でホイホイ付いていくわな
この差よ…!!マーク・ライアンス残念!!!嗚呼オッサンは若い子には相手にされないのです近寄れば犯罪です!!この扱いの差に笑っちゃいました。マレンは一発でシャロメ演じる孤独な青年リーを“信用できる”と共に行動したいと打ち明け、母親を探す手伝いまでさせるのですが……
“親のいないカニバルカップルが純粋な心で逃避行”とはまさにこのこと。“カニバル”要素を除けば実にありきたり(と言うのは変ですが)なストーリー、これ原作があるらしくて原作の通りに描いているんだろうけど、変な“奇”を狙った展開もないし本当に観やすくて物語にすんなり入っていけてしまう。むしろ普段あまり映画を観ない人でも比較的“受け入れやすい”映画かもしれません。つまり逆に言えば冒頭にお伝えした謳い文句ほどの“衝撃”はありませんでした。特にカニバルに限定せず吸血鬼でも狼男でも人魚でもなんでもいいですが「“得体の知れない者”に進化する恐怖に怯える=成長期のティーンの心とカラダの悩みを描く」系青春ホラーMOVIEに少し近いような感覚も。「RAW 少女のめざめ」「テルマ」「ブルー・マインド」あたりがピーンと来ると言うか。

ただし今作はじゃあその運命に抗う話なのか……と言うより「“本能”に抗わない」むしろ“順応”していこうとする2人、という点で少し違います。さらにそこに恋愛要素やロードムービー要素をかけ合わせているから酷使している感がない。唯一無二まではないけど“すんなり観れてちょっとお得な気分になれる”そんな映画でしたねー。
気になる箇所と言えば“何故か18禁”に指定されている所くらいですが、単に見るに堪えないグロいシーンがあるというわけでもなくて、カニバルというテーマを扱ってるだけでどうやら成人向け映画の烙印を押されただけみたいですね。故に全くないわけではありませんが気持ち悪いシーンなんてほぼなかったですよ?(血が大丈夫なら)
エンドクレジット後にデンっと「THE END」___お久しぶりブリーフにこのパターン観たなー。こういう所も“いかにも”な演出、最後までティルダ・スウィントンがなんで男役なのかも不明な難攻不落な「サスペリア」を撮った人とは思えぬ実に映画らしい演出。タイトルの“Bones and All”の意味がラストに判明するのも(伏線もちゃんと用意されていたし)わかりやすいですね。
【感想(ネタバレ)】
マーク・ライアンス演じるサリーが同情できない徹底的なサイコパスというステレオタイプなキャラクターだったのが意外でしたね。最後も2人の仲を割く障害としての悪役っぷりも徹底していたし(もしここで彼にも“彼なりの致し方ない理由”があれば感想が違っていたけど)口からヨダレ垂らした変態親父やないか!!
彼のせいでリーが致命傷を負いラストに死んでしまうから「俺を食べろ!!」…うーんこれもなんか“悲劇的”だけど先が読めちゃいましたねー。
いやちょっとこの映画ホラーやサスペンスにある“不安要素がない”んですよね。たとえば私はずっとマレンとリーがキスしてる間「いつ舌を噛み砕くのか」待っていたんですよ。…いや待ってたっておかしいけど

性格の悪い(おいおい)監督ならこの2人の恋愛がサリーの有無に関わらず「上手くいかない」お話にすると思うんですよね。そこに「カニバリズム」という生まれながらにもった災難が強調されるというか、逃れられない「哀しき運命」みたいなものを背負ってしまった2人の恋の「儚さ」みたいな……しかしそこが良い、みたいな。イヤーな事言ってますよ私
カニバリズム以外にも未成年同士ですから当然色んな社会的な障害もあると思うのです。しかし職歴もお金もない2人がすぐに家を借り新しい仕事に就いたり、殺人を犯しているのに終始警察が全く登場しないなど……考えるととってもリアルな世界線じゃない、まるで夢物語の如く事がうまく運びすぎていることに気が付きます。
そんな2人の障害が「サリーだけなの?」というところが、優しい世界というかまるで邦画の若い人向けの恋愛映画みたいな?少し単純すぎるなぁと。いやそれをグァダニーノ監督が撮ったとなれば余計に不思議というか、だから本作はシャラメファンの“若い人向け”に撮られた映画なのかな、と思いましたー。
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