ドント・ストップ(2020)
- ラーチャえだまめ
- 2022年2月1日
- 読了時間: 6分

【原題】The Shift
【監督】アレッサンドロ・トンダ
【出演】クロティルド・エスム アダモ・ディオジーニ アダム・アマラほか
【あらすじ】
ブリュッセルの⾼校で、イスラム原理主義者によるテロが発⽣。犯⼈は学⽣を無差別銃撃し、爆弾で⾃爆。救急隊員のイザベルは、負傷し意識を失っている少年を救急⾞に収容するが―。
【感想】

『社会派×伊版「スピード」な件』
どーもどーも連チャン上映で軽い腰痛とエコノミー症候群になりかけたラーチャえだまめです未体験ゾーン!!!誰が呼んだかゲテとの浪漫飛行、今宵は第5夜……にして

アタリキタァーー!!!!!
いやーこれは!!勿論エントリーした作品全てを観たわけではありませんがこ・れ・は!!2022年はじまって以来の特大未体験!!あ、すみません勝手に一人で盛り上がってしまいました……いやいや何気ない作品群の中に埋もれているから、これだから未体験はやめられない!?___て、チョトマテチョトマテ、配給さ〜ん。まず一言いいですか

こんなジャケットにしてこっちが「どうする?」だよ
やる気あるのか!?本当にアントニオ売る気あるのかー!?本日拝見させて頂いたのはその名もノンストップ……間違えました【ドント・ストップ】!!タイトルからもまさにやめられない“止まらない”??私はクワトロフォルマッジよりロマーナ派のパンツェッタ〜イタリア〜ナ!!よりトンデモクライシスな“暴走救急車”がやってきてしまいました……と言いたい所ですがジャケットとタイトルから臭うB級感、否3流映画コーナーに紛れ込んでいるかのようなク◯ダサすぎる作品のようでして

“超社会派”×「スピード」のハラハラドキドキ感の融合
という!?いやーこれはよく出来た作品だと思いますねー。
学生の登校シーン。何気ない“日常”を一瞬で吹き飛ばす突然の“銃声”……。「ウトヤ島」に似た感覚。OPからもう悲惨たるや否や「無差別爆破テロ」で幕が上がる衝撃の展開。一方その頃、市街地で夜勤終わりの2人の中年救急隊員の元にも緊急の無線が入る。「高校で爆破テロだ。すぐに向かってくれ。」奇しくもそこは女性隊員イザベルの息子の通学路でだった。イザベルはすぐに息子に電話をかける。繋がらない電話。運転手の同僚も不安を覚える中2人は現場の高校に到着する。そこには目を背けたくなるような悲惨な光景が広がっていた___。
ここまでが「リアル」。いやー観ている内にどんどん心拍数が上がっていってしまいました。無差別テロ。日本では馴染みがありませんがヨーロッパではその危険と常に隣り合わせなんでしょうか、イザベルと同僚が必死に現場で倒れた一人の青年を担架で運び車内で治療しながら引受先の病院を探します。近くの病院はどこも満床。被害の大きさが伺える。空きのある病院を探すためブリュッセルの街をサイレンを鳴らしながら駆けずり回るイザベルたち。もうこの時点でですよ、なんというか、テロとコロナは全然関係ないんですけども

武器を持たずして闘う者(医療従事者)の奮闘に胸が熱くならずして観られない
うわー本当に凄いなー。イザベルたちが必死になって負傷書を助けようとする姿にまず感動を覚えてしまいました。それだけカメラは彼らを追従して映すような撮り方でまさにドキュメントに近い感覚でしたね。そしてイザベルは負傷した青年を治療するためハサミで服を切り始める

な、ナンジャタウン!!??
サンシャイン池崎も絶句するおゲェーーーー!!!!爆弾が青年のカラダに巻きつけられてんじゃねーかー!!!そしてイザベルは悟ってしまった、今この車両に横たわっている青年が、今自分が“救おうとしている命”が「無差別テロの犯人」のものであることを……。
しかもそこで運悪く目を覚ます青年。手には赤い爆弾のスイッチ。突如青年はイザベルたちを「脅迫」する。「言うことを聞かないと今すぐ爆弾のスイッチを押す」と
こうして爆誕してしまった暴走救急24時!?何度でも何度でも何度でも爆弾のスイッチ押すってよぉ〜♪な緊迫感??非常に興奮している青年。「アッラーがアッラがぁ……」と口走りながら今すぐにでもボタンを押したがる青年を!?なんとか冷静に止めようとするイザベル。しかし青年はイスラム過激派に完全に毒されてしまっている為、説得はおろか“まるで聞く耳を持とうとしない”さぁー困ったなー困ったなー♪題材が題材なだけに素直に手を叩いて喜べる内容ではないけれども、そこからノンストップで繰り広げられる超特急サスペンス。このハラハラドキドキ感は是非とも味わってほしいですねー。

水タバコなのか紙タバコなのかどっちかしろよぉー!!!テロ犯罪課の主任は険しい顔して役勃たず……あいや警察のシーンは正直あまり必要なかったかな?その分もっとイザベルたちに時間を割いても良かったかもしれません。しかし事件の“加害者を治療する医療従事者の気持ち”だったり、テロの首謀者の“その家族”を描いていたり、色々と考えさせられるシーンは多かったかなー。正直イスラムについて詳しくないのでこれ以上言えないんですけども。「自分の子に限ってそんなことは絶対にしない!」と言い張る両親が、次第に息子がテロの首謀者であるという現実を受け入れなければならない、という辛さがヒシヒシと伝わってきました。あのシーンは観ていて本当に辛かったかな……。イタリアにも沢山の移民がいてそんな彼らの中にはこういった過激派の影響を受けてしまう若者たちもいるという怖さ。自分を“戦士”と名乗る青年。イスラムを崇拝しない輩は全て悪。だから地獄行き、信じるもの(=自分)は闘って天国に行く……ホンキでそう信じ込んでいるんだから。宗教ってなんなんだろうねーって、馴染みのない日本人にはそう映るかもしれません。
ただそんな青年も、戦士である以前に結局は“16歳の一人の青年”に過ぎないということをこの映画では強調しているんですね。怪我でサッカー選手の夢を断たれた絶望感。親には「ごく普通の16歳の息子」としか見られていなかった。でもって青年はそのことが許せなかった、“どこにでもいる16歳”とひとくくりにされたくなかったのです。そこへたまたま過激派の思想と出会ってしまった。自分を大きく見せたかった。もっと認められたかった。自分にはもっと大きなチカラがあると。。。。。。だからテロの実行犯に自ら志願したのだろうか。そんな青年の心情も深堀したくなる。

彼を危険な思想から救うことは出来なかったのだろうか。サッカー選手の将来は絶たれたかもしれない、けどまだ人生をやり直すチャンスはいくらでもあったはず。そのことを青年にきちんと理解させなかった、両親がもっと青年の内なる声に耳を傾ければ良かったのか?思春期なんてそもそもまず親の話なんて聞かない方が普通じゃない?……このやるせ無さ。彼が過激派に染まってしまったことが何よりの悲劇だ。そんなことも考えさせられてしまいましたねー。
今週の木曜日まで上映しております、まだまだ間に合いますよ皆さん!!超特急で渋谷へヒュイGO〜!!
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