【原題】Don't Worry Darling
【監督】 オリヴィア・ワイルド
【出演】 フローレンス・ピュー ハリー・スタイルズ オリヴィア・ワイルドほか
【あらすじ】
完璧な生活が保証された街で夫ジャックと幸せな日々を送るアリスは、隣人が赤い服の男たちに連れ去られるところを目撃する。それ以降、彼女の周囲では不可解な出来事が続発。次第に精神が不安定となり周囲からも心配されるアリスだったが、あることをきっかけに、この街に疑問を抱くようになる。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】
『(ええなぁ……)』
どーもどーも先日三輪車に乗って足を捻挫したラーチャえだまめです。本日はこちらの映画を拝見させて頂きましたー
【ドント・ウォーリー・ダーリン】!!!……だぁ〜りんだぁあああああ〜りぃ〜ん!!!と桜井さんも熱唱したくなる「夫」にフォーカスした?けどその前にある「気にしないで」とは一体_?というタイトルの謎もさることながら、予告編で一見するとサンサンと照りつける太陽の下で明るくハッピーな世界がビックリするくらいむしろ浮いている“不気味なほどの違和感”にただならぬ“ミステリアス”な匂いをクンカクンカせずにはいられない??そんなまたしても“明るい世界のウラにある異世界”に飛び込んでしまった
我らが2代目ブラック・ウィドウ襲名もしたフローレンス・ピュー主演。そしてその不気味な映画を作り出したのが自らもアクターしながらデビュー作で女ティーンの友情と笑いを描いたコメディ映画「ブック・スマート」でいきなり監督としての才能を爆発させ批評家から大絶賛されたオリヴィア・ワイルド“監督”というのだから!?いやー前作は傑作コメディでしたが続く2作目は“ホラー”という……なんとも型に囚われない、そしてこれまた全く想像のつかない、しかし前作で見せた彼女の才に早くも「次はどんな映画を我々にギブしてくれるのか?」と期待せずにはいられず劇場に駆け込んだのですが……
幸せいっぱい新婚さんには素直に劇場に「いらっしゃ〜い」できない
ちゃんと「男はク◯」って断言してんのね
今作はヴェネツィア映画祭で上映され批評家から絶賛されたという“いい目立ち方”のウラで製作現場で当時オリヴィア監督と主演キャストの一人ハリー・スタイルズとの交際報道&撮影現場での2人の公私混同疑惑&フローレンス・ピューとオリヴィア監督がプレミア祭ですら二人一緒に並んで顔を合わせることがなかった2人の不仲説、ハリウッドの松岡修造シャイア・ラブーフの熱すぎる問題に嫌気がさしたのかは定かではありませんが降板話にハリーが出演者クリス・パインに唾を吐きかけたなんて(クリスがSNSできっぱり否定)いう噂がまたウワサを呼ぶ悪循環、“別の意味”でも話題になってしまった映画なんですよね。
舞台は1950年代のアメリカ。砂漠の中にあるオアシスとも言うべきか「THEその時代の上流階級の暮らしのテンプレ」のような、今にもみんな仲良く踊ってラ・ラ・ランドしそうな色彩豊かな誰もが裏山すぎる生活を送る若いご夫婦がいたんだとさ!?毎朝コーヒー注いでトーストにバター、ベーコンエッグに卵焼きの朝食を食べさせたあと家の前でお見送り芸人も凌駕する出社する夫をお見送るゾットするほど完璧すぎる妻たちの姿。夫の帰りを待つ間は家事にバレエ(エアロビ的な?)をしてあとは優雅に暮らし、夕飯前には必ず帰宅する夫のために今日も腕をふるったディナーでもてなすはずが思春期ばりの発情した夫の前にそれはいつも叶わぬものに……
何不自由なき幸せ。夫の仕事?なんか砂漠の先でドエラい仕事してるらしいけど砂漠は“この先立ち位置禁止”区域だし?毎日が幸せならちっちゃいことは気にするな、ほれワカチコワカチコの精神で生活するフローレンス演じる主人公アリス。ある日隣人の夫妻の“異変”に気づいたアリスはこの今いる日常の暮らしに“疑問”を抱くようになり……
序盤から差し込まれる謎のフラッシュバック。我々視聴者は早くもこの劇中世界には“何か裏がある”ことを悟る。自身2作目のオリヴィア監督の描く“ホラー”はフラッシュバックで“伏線”を散りばめ、突然悪夢に落ちたような感覚にさせる。最近見た「ノープ」のジョーダンピール、アリアスターっぽい演出。いやリメイク版「サスペリア」も入ってたぞ?そしてまた劇中流れる古き良きアメリカソングから一転、不気味な“ボイス”という……前作の幸福度はどこ行く風の非常にブキミーな演出を見せてくれました。
特に夫ハリー演じるジャックの職場の代表者、クリス演じるフランクの不気味さも良かったですね。てかクリス・パインちょっと老けメイクしてる?“勝者の余裕と威厳”の風格を持つ特権階級のまさにソレ、といったようなキャラクターで。そのフランクの妻にジェンマ・チャンとMCU俳優が3人も……いやそもそも多すぎるから
これぞ“女優魂”
「ミッドサマー」に続きフローレンス・ピューの女優魂がこんな“サランラップ芸”に集約されてしまうとは南無阿弥陀仏……いやいや楽園の異変にただ一人気づくもそのことを誰にも、夫にすら理解されずに一人苦しむ妻を見事に演じております。あ、そうそうオリヴィア監督も子持ちの隣人役で出演。アリスの憧れる“主婦の鏡”みたいな、これまたカンペキな妻を演じています。
いやーしかしオリヴィア監督の考える「働く女性像」っての?よぉーわかりましたわ。オリヴィア監督が本作でしたかったのは、夫は働きに妻は家事・趣味・お隣さんの会合に出席しながら夫の帰りを待つ“存在”。夫を支えるのが妻の勤めで夫の昇格を自分のことのように喜ぶのが当たり前。夫の幸せ=家庭の幸せ=自分の幸せ?そんな女性の仕事は“専業主婦”一択だって、いつから錯覚していた…?という現代社会への怒りの鉄拳をお見舞いしているんですねぇ。
個人的に本作を観て思い出したのが上半期に観た「アンテベラム」。アレは「黒人とは“こういうもの”」と勝手に決めつけて抑え込む暴力映画でした。今作は「妻とは“こういうもの”」「夫婦の幸せとは“こういうもの”」と他の選択肢をがんじがらめで抑え込んで勝手に決めつけてる、女性個人の意見が無視され続けてきた、そんな悪しき時代のアナログな思考から未だ切り離せない社会、人々に対してのアンチテーゼであり、ここまで“男”を極悪非道なサ◯コパスに描いている所がまた面白いんですよねー。男性監督ならたぶん描けなかったか、もっとマイルドな作風になっていたであろう。“女性”だからこそここまで非道に描けたかもしれません。
そんな“ミソジニー”(女性嫌悪)に対する“ミサンドリー”(男性嫌悪)映画のようでいて、けど今作の根底にあるのは「夫婦の愛」。そこまで観ていて嫌な気持ちにはなりませんでした。少なくともメンズの私はですが、、、、、、。まぁ要は
「夫はとりあえず一回妻に感謝しとけ」
勘の鋭い方ならば、もしかすれば“何系のオチ”なのか、くらいは予測できてしまうかも??
【感想(ネタバレ)】
夫「毎日お金のために長時間働くのイヤでしょ?」
妻「え、別に今の仕事キライじゃないけど?」
夫「いいや絶対イヤだね!!もう仕事なんてやめて裕福に暮らしたいでしょ!?そうだよな!!そう言えってええええええ!!!!!」
って?
いやーまさかマチョリックス系SFホラーだったとはですねー。いやユートピア系のオチ大体これだからn……これポイントなのが医療の現場で長時間シフトしてるアリスが“今の仕事にウンザリしてるわけじゃない”って所ですよね。それを夫のジャックが(1日中PC画面ばっか観てろくに家事もしやしない)勝手に「もうこんな生活送りたくないよね?」とか思っちゃって(それはお前の考えだろ!)自分の幸福=妻の幸福にすり替え、妻から仕事を奪い自由も奪いバーチャル上の楽園に「強制参加」させるという!?いやー現実世界のハリーバリクソ気色悪いやん…(あのイケフェイスをよくもここまでドイヒーな姿にするのも苦労したろうて…)
だいたい家にいんのに旦那のために毎日バッチバチにメイクキメて帰宅にいろっていうのがもう舐めてるよな!?そんなジャックとフランクを筆頭に、あの世界にいた男性陣は“全員”が仮想世界であることを知っていた、とみていいですか?というかあの世界に引き込んだのが夫なわけで、自分の妻を「理想の妻」にしたかっただけ。つまりあの世界は「理想の妻を製造する世界線」だったと。でも仮想現実なのに赤服の軍隊って必要なん…?(まぁわかりやすくする為かな)主人公アリスってまさか不思議の国のアリスから取ったネーミングだったりして?(だからどうした)
クライマックスの砂漠を爆走するカーチェイスシーンはとっても映画的迫力満点というか
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