ダークグラス(2022)
- ラーチャえだまめ
- 2023年4月12日
- 読了時間: 6分

【原題】Occhiali neri
【監督】ダリオ・アルジェント
【出演】イレニア・パストレッリ アーシア・アルジェント アンドレア・ゲルペーリほか
【あらすじ】
イタリア、ローマで娼婦ばかりを狙った猟奇的な連続殺人事件が発生する。殺人鬼の4人目のターゲットになってしまったコールガールのディアナは、ある夜、執拗に追いかけられた末に、車が衝突する大事故に遭う。一命はとりとめたものの両目の視力を失ってしまったディアナは、同じ事故に巻き込まれて両親を亡くした中国人少年のチンとの間に特別な絆が生まれ、2人は一緒に暮らすことになる。しかし、そんな彼女たちを殺人鬼が付け狙う。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『ぼっちは一生見れる日来ない説』
どーもどーもラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました
【ダークグラス】!!!私はダリオアルジェントぉ〜?……失礼しましたイタリアホラーの巨匠ダリオ・アルジェント(御年82才)、10年ぶりの新作……アルジェントと言えば当時日本で「流行語大賞」にもなった「決して一人では見ないで下さい…」のあまりにも有名すぎるキャッチコピーでお馴染みイタリアホラーの金字塔「サスペリア」を全世界に轟かせた張本人であり日本でもホラーファンの間で今なお神格化されているきょ、巨匠!?失礼しましたぁぁ……!!

そんな巨匠の新作が先日より公開されるとのことで早速観に行って参りました。今でこそ映画と言えば“ザ・ハリウッド”がまず最初にハンマカンマ!!するほどさも映画界の中心にあるようなイメージですが、今年のアカデミー賞でも話題となったインド映画が徐々にハリウッドにも浸透しているのと同様、昔は“イタリア映画”がハリウッドのみならず世界で多大なる影響を与えた(日本のクロサワ映画のように?)代表例としてなんでイタリア人が西部劇やんのよっていう「マカロニ・ウエスタン」そして「ジャッロ」という“ホラージャンル”の確立であります。この“ジャッロ映画”の登場により世界で“イタリアホラー”のムーブメントが起きたという……そしてダリオ・アルジェントもまたこの“ジャッロ映画”の立役者としても有名。まさに生きる伝説。てか“ジャッロ映画”って何?って話ですよねうーん説明しずらいのですが……イメージで言うと「エロ・グロッ!!流血ぶっしゃああああああ!!!」って感じです。で今回令和4年公開作ですよ?

劇中スマホが出るだけでも“違和感”アリストテレス
いやービックリですよ、2023年とは思えない「超絶昭和ロマンの再現」……今作はブルーボトルコーヒーではございません全席喫煙可の“純喫茶”風映画、だったんですねぇ……。
いい意味でも悪い意味でも「これっぽっちも進化していないじゃないか…!?」ダリオ・アルジェントが「そのまんま“ジャッロ映画”」を再び墓場から現代に蘇らせた!?と言いましょうか、デイビッドワシントンもビックリの“時代の逆行映画”とも見て取れる??「NOTアップグレード」ホラー、だったんですねー!!故に「あの頃はハッ!!」と当時付き合っていた彼女と「サスペリア」を劇場で見たその帰り道ホテルで彼女のお股に刺すペリ……失礼しましたその“世代”が観ると、もう涙チョチョギレグッショグショの当時を思い出しちゃうかもですねッ!!
物語は娼婦ばかりを狙う連続殺人鬼の次なるターゲットに選ばれてしまった娼婦のディアナがある晩車で仕事から帰宅中、見知らぬ白いバンに追われ交通事故を起こし命は助かったものの事故の後遺症で“全盲”になってしまい……

“今どき皆既日食をホラーアイコンに使う”と言う所からも、もはやわざとらしいくらい70年〜80年代ホラーのオマージュ、否“再現”に徹していると言いますか、まずストーリー。「めちゃくちゃ単純」理由もなく連続殺人鬼に命を狙われる、ただそれだけ!!いやその不条理さが怖いって話ではあるのですが……主演は「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」のイレニア・パストレッリに監督の実娘で女優のアーシア・アルジェントも参戦。ディアナの事故に巻き込まれ家族を失い身寄りのなくなった少年とディアナが徐々に“被害者”同士絆を深めていく。昔の映画って「いや都合良すぎだろ!!」ってツッコミどころ多かったじゃん?それすら今作は“再現”しているのですから……もう確信犯です。原題にもなっている「ダークグラス」も、なんかそこまでタイトルにかかってないような……?(“盲目”という意味も含まれているのかな?)
ただ“ジャッロ映画”として名の恥じないエロ×グロの境地、主演女優の無駄なトップレス姿からの「素晴らしい殺戮」も当時の頃と寸分変わらずに拝めてしまうわけです!!タケモト製かは定かではないピアノ線で後ろから娼婦の首をギギギいいい……うぎゃあああああー!!!と首から血を流しながらもだえ苦しむ×4そして絶・命…!!なんと残酷な、いやしかし人の死に際をしっかりと目に焼き付けさせるのも“ジャッロ映画”の醍醐味?御年82才でもその鮮血の美学は全く衰えることを知らず!!

そして流血シーンや“迫りくる恐怖”と連動して流れ出す“ビート”!?これまたヒュートラさんのサウンドがすこぶるいいスクリーンで観たもんだからダンダンダンダン見事に劇場がクラブと化しましたですねハイ。いやぁ〜この音楽の差し込み方の上手さ。今でも脳裏に焼き付いて離れない「サスペリア」のゴブリンの“あの不気味な音楽”と同様、今作でも(怖くはないが)とってもBGMが印象に残りましたねー。
とにかく何度も何度も流れるので絶対観た人は印象に残るはず!?ちなみに当初はダフトパンクが音楽を担当する予定だったんだとか!(2021年に解散し実現ならず)

「動物」が何よりも最強です。
なんか海外では盲導犬の演技が下手すぎるって不評らしいですが(犬なんだから許してワン!?)主人公が全盲で盲導犬連れて……て姿が同じイタリア映画の「ビヨンド」にそっくりなのは単なる偶然でしょうかー?その監督ルチオ・フルチとダリオ・アルジェントは映画界きっての“犬猿の仲”。現役時代はバッチバチに互いの作品を酷評しまくっていた(パクったパクられた論争)らしいのですが、ルチオ・フルチが亡くなるちょっと前にアルジェントと和解した?らしく、将来2人で映画を撮ろう、という約束までしていたんだと。結局その撮影に入る前にフルチが亡くなりそれは実現しなかったわけですが、これはもう明らかに天国のフルチに向けられた映画なんじゃないかと思うわけですよ。ライバルであり戦友とも言えるフルチへ敬意を込めて……そんなメッセージも感じることが出来ました。「古臭い」と一言で言ってしまえばそれまでですが、今の時代だからこそ「古き良き時代を再認識」させる、そう考えると、まさに劇場で昭和にタイムスリップしたかのような気分にさせてくれる??映画かもしれません。
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