【原題】Songbird
【監督】アダム・メイソン
【出演】 KJ・アパ ソフィア・カーソンクレイグ・ロビンソンほか
【あらすじ】
2024年、新たな感染症の世界的拡大により外出禁止令が徹底され、ゴーストタウンと化した街。人々は日々検温を義務づけられ、発熱すると自動で通報、感染者は「Qゾーン」と呼ばれる隔離施設に収容される。ウイルスに免疫を持つ配達員ニコはパンデミック下で恋に落ち、ドアやスマートフォン越しに愛を育んできた恋人サラといつか触れ合うことを夢見ていた。ところがある日、サラが感染を疑われ「Qゾーン」に収容されそうになってしまう。恐ろしい陰謀が渦巻く中、サラを救うべく奔走するニコだったが……。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】
『結果この世は免疫者しか勝たん』
どーもどーもラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの作品を拝見させて頂きましたー
【ソングバード】!!!ハリウッドが生んだ破壊兵器マイケル・ベイ制作の“いつものパンデミック終末系”SFホラーですかー?なーんて思ったら今なお続く新型コロナウイルスがまだ出現したばかりのUSAを舞台に、コロナに対して今よりも具体的な感染対策のルールブックもないワクチンもないわで“未知のウイルス”過ぎて世間が恐怖にさらされていた、そんなちょうどど真ん中時代“2020”の“外出制限”下の中で撮影が強行されたらしい??
ふーん“コロナ下で撮影された”映画と言えばキャットウーマンとモルドがロックダウン中に強盗に入るその名も「ロックダウン」や同じくロックダウン中に気晴らしにズームやったらなんか呪われた「ズーム」ゼンデイヤ×ジョン・デヴィット・ワシントンの「マルコム&マリー」なんていい映画もありましたね〜。みんなコロナ禍だからって「映画を潰すな!」とばかりにフィルムメイカーたちが“「今」だからこそ撮れる映画”をとアッセンブルしたわけですが、当然そんな危険なウイルスが蔓延してる最中でバイオハザードばりの「ウイルスホラー」を撮ったらどう(世間からバッシングを受ける)なるんだろう、そらりゃ一度は思いついたかもしれません。
しかし「それではあまりに芸(ひねり)がない」皆コロナ禍でも「娯楽」という名の映画を見て楽しみたいわけですよ。「映画を見てコロナを連想させるなんて最悪じゃあないですか?」だからパンデミックという世界観は流用しても、コロナとかウイルスとか、そういったワードを極力控えたりウイルスの恐怖をネタにした内容を控えたり、そこだけは皆ナイーブに扱ってきたわけですよ。ただ本作は違います。
「コロナ禍でコロナの恐怖を煽る映画」を撮ってしまった模様
しかもまだ感染したらゾンビになるとかバケモノになるとかソンゲバソナな「SF」に舵全振りしてくれればいいものを!?今作のあらすじではっきりと「新型コロナ」と断言している!?しかも「感染したら高熱出して死ぬ」……なんだいこの笑えないジョークはよおおおおお!!!?とイワンコフばかりのタチの悪さと来た!?結果「コロナはただの風邪」と冗談を言えるくらいにはマシな環境(それでも感染した時は最大39度くらい熱上がって大変やったけどね…by経験者)で今こうして劇場で本作を鑑賞して“楽しむ余裕”がありますけれど、もしこれからさらにコロナが変異して今作みたいに“致死率56%”感染したら48時間以内にあの世にアボンしてしまうレベルの驚異になることだって充分考えられるわけで、だからこそ未だ油断ならぬ状況の中、当然今もなおコロナで苦しむ人からすれば「不謹慎過ぎんだろ」と批判されるのは“当然の結果”なわけでありまして、コロナの恐怖を利用した最低映画だ、の烙印を押されてしまうのもわからなくもない……。
ただそれでも作品として「面白ければ」まだ、まだですよ?何かしら作品の存在意義があると思うのですが……
結局コロナを煽るだけ煽って「あとは知らん」状態
って言うか?
物語はコロナ免疫を持つ者だけが国から特別に外出が可能な20XXのアメリカ。そこで免疫者でウーバーして生活費を稼ぐ青年ニコとパンデミック後自宅に閉じこもる日々を送る女性サラのジュンジュワ〜な「純愛」だと….!?この2人の出会いのきっかけはニコが偶然配達先を間違えてサラのいる家にピンポンを押したことだそう……つ、つまり出会って“まだ一度も肌を触れたことがない”これがコロナ禍での究極の恋愛……純愛だt…!?
演じるはKJ・アパとソフィア・カーソンの若手俳優&歌手コンビ。こうして見るといや、コロナ流行がまだ今の時代で良かったのかなーと。それはつまり今は会えなくてもスマホのビデオ通話とか遠く離れていても“ある程度は繋がれる”時代じゃないですか?ニコとサラもコロナ禍での出会いという複雑さはあれど、この閉鎖的な世界で癒やし合い励まし合って、心の“支え”としていつしかいなくてはならない存在となった、これは立派な恋愛ですよね。
2人の脇を固める役者たちが大変豪華なんでございまして、ニコがいつも配達する裕福な夫婦にエミー賞やゴールデングローブ賞など賞レース常連のブラッドリー・ウィットフォード、そして全陶芸家があの世でも共にろくろを回したい女優年間No1まんまミーヤデミ・ムーア!?最近大作映画でおめかけすることがなくて個人的に完全に“あの人は今”ジャンルに入れておりました、もうすぐ還暦を迎えるデミ・ムーアに十代の娘がいる設定は少々ムリが……ちなみにその娘役がなんかどっかで見た顔だな〜と思ったら「エターナルズ」の一人“スプライト”リア・マクヒューだったんですね。そして何故か“主役級”のアレクサンドラ・ダダリオが主役じゃないシンガーソングライターの役でいつもカメラの前に向かって美声を披露……タイトルの「Songbird」ってダダリオのこと指してんだと思うんだけど、彼女が主人公ならわかるんだけどイマイチ存在感がないのがこれまた残念なのですよ。
存在感、と言えばこれまた悪役と言ったら名優ピーター・ストーメアが“完全に「レオン」のノーマン・スタンスフィールド”になりきり衛生局の局長と題して影で人殺しを楽しむ謎のサイコパス野郎を演じているのですが、これまた深堀が浅いキャラでなぜそのような悪行に手を染めるのかとか説明が欲しかった。
コロナ禍での撮影ということでキャスト自身が室内でカメラを向けて撮影したりドローンを使った空撮……「アンビュランス」でマイケル・ベイがハマったのか最近映画でドローンの需要がメチャクチャ増えましたよね。後半から“THEご都合主義”でクライマックスもまぁーそうするしかないよねっていう話の運び方で、最後までそのまま立ち止まることなく突っ走る。この辺りを「SF」として楽しんごして下さいってことかい??てかコロナって紫外線で駆除できるんでしたっけ…?(なんかちょっと前に日本の町中で紫外線マシン導入するって話マジでどうなったん…?)全体的な脚本のアラは目立ちますが、コロナ禍で恋愛経験のある、若い世代に向けた映画、刺さる映画かなーと思いました。これを見てこれからのコロナをどう生き抜いていくのかの参考に……ともしお考えの方がいるならば「ご自分の免疫とご相談を」としか言えないってのがね……(汗)
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