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ジェイコブス・ラダー(2019)


【原題】Jacob's Ladder

【監督】デヴィッド・M・ローゼンタール

【出演】マイケル・イーリー ジェシー・ウィリアムズ ニコール・ベハーリーほか

【あらすじ】

アフガニスタンで兄(ニコール・ベハーリー)を亡くしたジェイコブ・シンガー(マイケル・イーリー)は、妻と子供のおかげで立ち直りつつあった。ある日、退役軍人病院で外科医として活躍する彼に見覚えのない男性が近寄り、兄は生きていて、ほかの退役軍人たちと地下シェルターで暮らしていると話す。(Yahoo!映画より)






 
【感想】

『息止め選手権 オリジン→○ リメイク→✕』

 





どーもどーもラーチャえだまめです。「未体験ゾーン」!!!……ついにこの日がやって来てしまいました、個人的に今年の未体験で一番抑えておきたかった1本、鬼才エイドリアン・ライン監督が雨に打たれるのが大好きな名優ティム・ロビンスと組んだ90年公開のホラー映画、別名“静岡”とも呼称されるコナミが生んだジャパニーズホラーゲームの金字塔「サイレントヒル」、その世界観とあまりに類似していることから“「サイレントヒル」の元ネタではないか?”と長らく論争まで巻き起こった映画がまさかマギカ去年アメリカで“リメイク”されていたのをご存知だっただろうか_??聞いたことない?何故そこまで話題にならなかったのか?___と推測してはなりません、つまりはその、“そーゆー事だ(笑)”



【ジェイコブス・ラダー】!!!いやいやブルータスお前もかと言いたくなるついにこんな作品までリメイクのメスが入ってしまうとは……地球温暖化以上にハリウッドの深刻なネタ不足がまたしても浮き彫りになりそうですが、まぁ正直な話このリメイクの話を聞いた時点で「絶対失敗する」と決めつけてしまった自分がいます…(笑)



90年のオリジナル版は今では珍しくもない「実は◯◯◯でした」系映画の代表とも言える、ベトナム帰還兵のジェイコブが遭遇する日常の中に潜む“非日常”の世界、それが徐々にジェイコブの日常を侵食していく、迫りくる恐怖を描いたカルトファンも多い名作。「人は、一日に一歩ずつ『ジェイコブの階段』を登っている__。」



「限りなく人に近い全く人ならざる者」に人間は一番恐怖を感じる、というエイドリアン・ライン監督の提唱する独特のデザイン&世界観が恐ろしく(あと純度100%マコーレカルキンが可愛い)視聴者もジェイコブと共に異世界にトリップした感覚を味わえる、ちょうどその頃“静岡”にドハマリしていた私には“同じ世界線”なのかと疑いたくなるくらいその似ている内容に“静岡”実写版以上にコチラの作品の魅力に取り憑かれてしまいもう何度ティム・ロビンスを氷風呂に沈めてきたことかわかりません。今回そんな私の思い入れが一層激しい分かなり細かい指摘までしてしまう恐れがあることをまずご了承下さい、その上でまず結論から申し上げますと鑑賞して思ったのはやはり

















コレじゃない感






この“違和感”だけは最後まで拭い捨てる事は出来ませんでした。これはもうタイトルこそ同じですが単純に別世界、日本の漫画が海外で実写化されたみたいなノリで楽しむ方がいいかもしれません…。個人的には海外が作った「サイレントヒル ダウンプア」みたいな……て伝わらないかw



地下鉄で遭遇する寝たきりのホームレス、不気味な人の影が映る電車や“追跡者”に車で追われるシーンなどオリジナルをイメージさせるシーンを“そのまま”ぶっかけ飯しちゃっておりますが今作はそれも含め予算の都合なのか全体的な演出が“安っぽい”のは歪ないのも事実。



今作にも「限りなく人に近い全く人ならざる者」が登場します。しかしそのデザインはごくごく我々が“想像の範囲内”で収まってしまうもので、そこらのB級ホラーと寸分違わずな“フェイス”で既視感しかない。恐怖演出も単調で精神に訴えかけてくるようなオリジナルにあった“独特な怖さ”と言ったものがありません。ゆえにやはり今作は“タイトルを借りた別物”という見解が一番しっくりしてしまうのです。



ただ、ただですよ?無礼は承知の上で無名の監督&マイナーなキャスト、ENDロールでやたらキルキル言いまくるラップが流れちゃう「ジェイコブスラダー」、「実は◯◯◯でした」という後半からストーリーがひっくり返る展開こそ同じものの、その“方向性”はオリジナルとは少し違って見えました。



ネタバレは控えますがオリジナルも兵士たちの戦闘能力を上げる為に軍が密かに兵士たちに“麻薬”を使わせて戦場の恐怖を麻痺させていました。しかしその代償、“後遺症”が戦争が終わった後も続き(これを“ラダー症候群”と言った)退役軍人達をずっと苦しめていた、という実際本当にそのような事がベトナム戦争で行われていた事実を描き、当時のアメリカ政府の非人道的な行為に対する猛烈な批判、さらには戦争への皮肉、“反戦”的なテーマ、“麻薬依存”の恐怖などを描いていました。今作では舞台が現代へと変わりジェイコブがアフガン戦争の帰還兵となったものの、帰還兵たちがやはり戦場で植え付けられた「トラウマを消し去ろう」ともがく姿が描かれます。ただその“麻薬依存から逃れられない”という恐怖がオリジナルよりも“より顕著”で、それが作品全体のテーマになっている点がオリジナルと微妙に違っている所でしたねー。



またオリジナルではとても“宗教色”が強い作品でしたが、本作では先に言った“麻薬依存”が大きなテーマですのでそこまで宗教クサいものにはなっておりまません。“兄弟”という新設定が加えられたのも大きなポイントで、容易に想像出来る範囲内でのオチ自体にインパクトはありませんでしたが、“オリジナルとは違うラスト”に変更した点、脚本は思った程悪くはなかったかな、という印象ですね。もう少しマネーをかけて作品全体を包み込む安い感じから脱していればもっと良くなったかもしれない、もしくは海外ドラマならまだ許せたかなー、安易に映像で当時の“懐かしさ”に逃げている部分はあるものの蓋を開ければそこまで全く同じ!!とまではなっていない所は良かったですねッ!!







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