ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021)
- ラーチャえだまめ
- 2022年2月12日
- 読了時間: 8分

【原題】Ghostbusters: Afterlife
【監督】ジェイソン・ライトマン
【出演】 キャリー・クーン フィン・ウルフハード マッケナ・グレイスほか
【あらすじ】
母と兄(フィン・ウォルフハード)と共に田舎に引っ越してきたフィービー(マッケナ・グレイス)は、祖父が遺(のこ)した古い家で暮らし始めるが、街ではおよそ30年にわたり原因不明の地震が続いていた。ある日、フィービーは床下で不思議な装置を見つけ、さらに祖父の遺品を探るうちにゴーストを捕獲するための装置「プロトンパック」を発見。その後、彼女は祖父がかつてゴーストでいっぱいのニューヨークを救った「ゴーストバスターズ」の一員だったことを知るが、街はさらなる異変に見舞われる。(Yahoo!映画より)
【感想】

『全“おじいちゃんっ子”(お父さん子)にぶっ刺さる映画』
どーもどーも先日Spotifyにカラオケ機能があることを知ってから自宅で2時間ぶっ通しで歌ったラーチャえだまめです。そのうち隣から雑音が聞こえてくると隣人からバスターズ!!!されちゃいそうなので程々に……と言うわけで本日はコチラの映画を拝見させて頂きました

【ゴーストバスターズ/アフターライフ】!!!いやー何度公開延期すればコロナの気が済むのかもうすぐ宇宙飛行も控えるトム・クルーズも未だそれより低い高度ですら飛び立てず歯がゆい想いをしているとかいないとか本来ならば遡ること2年前の2020年公開!!……予定のハズが?コロナの影響であれよあれよと先延ばされ……結果日本では2年待たされてしまったテレテレ〜テレ♪ゴ〜ストバスタぁ〜ず!!!の歌でお馴染みすぎるあの不朽の名作「ゴーストバスターズ(1984)」。昔アメリカに一人旅した時にリトグリの出たホテルのシーンで使われた(ほかにも「ビバリーヒルズコップ」とかよく映画に登場している)ホテルに行って、そこに展示ブースがあってビックら屁こいたのですが大ヒットした昭和を代表するSFコメディ映画ですよね。その30年(いや40年か)ぶりの「正当続編」……あれ2016年にも全員女性メンバーでリヴートされなかったっ……なんかもうさぁー、過去の人気にすがりつくハリウッドっていうの?「マトリックス」も何故今更感アリストテレスだったじゃない?今宵ご紹介するこの「アフターライフ」も同じ類だと思っていたのです。今回劇場に足を運んだのも、正直その昔VHSが擦り切れるくらい見たパート1の懐かしさのせいぜい「思い出補正」で楽しめるかな、くらいの期待値で挑んだのですが……
何故サブスクやDVDスルーという今や劇場以外のマルチな方法で公開することもできる手段を取らず、わざわざ2年も寝かせてから劇場公開に踏み切ったのか___。それは本編が始まってすぐに判明してしまうのです。

え、何もかもが懐かしすぎるんですけど……(泣)
まずビックリしたのが「音楽」。いや「そのまんま」じゃんッつ!!!確かにオリジナルスコアから若干の“派生”はしているのだけれど(オリジナルとは作曲者が違う)不思議なことに全く「違和感がない」。もう1作目のはじまりをBGMだけで連想させるという!?いやーマジか、ここまで弁当屋もビックリのオリジンリスペクトしているとは……否?懐かしいのはBGMだけではない
「ゼイリブ」で勝手に拝借されたゴースト探知機や先っぽから発射するビーム銃、はじめはダサいと感じた独特なサイレン音が次第に身に染みてくる「キャディラック ECTO-1」。そして極めつけはレイ・パーカー・ジュニアの“オリジナルスコア”を“そのまま使用”しているという!?16年版のリブートではオリジナルスコアを今の歌手が“今風にカバー”アレンジ、というカタチでバージョンアップ“されてしまった”しかし本作は違う。84年のオリジナルスコアを“そのまま流用”しているということ。何が言いたいかというと

“当時のもの”をイジらず出来るだけ“当時のまま”使う
これこそが!?近年の“オリジナルを継承”と表向きはそう謳っていても現代風に着色、アレンジした結果オリジナルにすら泥を塗り「作らなくて良かったのでは?」と痛感させられた遠い遥か彼方の銀河系しかり仮想現実しかりな、“うん十年ぶりの続編”映画とは明らかにスタンスが異なる??オリジナルを安易にイジクり倒さない。「オリジナルをオリジナルのままにとどめておく」ことを最重要課題としてメチャクチャそこに重きを置いた、実はかなり「慎重に作られた」正統続編!!なのではないでしょうか!?つまり言い換えればこれは近年のリヴート、うん十年ぶり続編映画で

トップレベルに出来が良いのでは?
いやー正直期待していなかったわけじゃないけどここまで面白いとは……だって30年ぶりの続編だよ?どうして今更やるんだよって話じゃないですか?ただの思い出補正したいがために墓場から掘り起こされたシリーズでは断じてない!!これはあとでお伝えしますが何故30年以上経った「今、続編を作るのか?」これですねぇ、まあ後付けっちゃあ後けですが本作には「ちゃんと存在している」のです。30年後この映画を“撮る意味”が、意義が?……あるんですよ!!でねでね、さっき懐かしいって話したでしょ?懐かしいのは単にオリジナルのテイストを踏んでいる……だけではなくてゴーストとのはじめての接触はどこか「ET」のファーストコンタクトを連想させ、キャデラックでゴーストを追いかけるシーンは「グレムリン」の追いかけっこを連想させる……84年のオリジナルだけではない

“昭和映画”がメチャクチャ恋しくなる
そのようにマインドコントロールされてしまうのですよ!!!近年でも「イット」が「スタンド・バイ・ミー」を意識した作りで話題になりました、Netflixの「ストレンジャーシングス」は80年代ポップカルチャーへのオマージュだらけでコチラも大ヒット、本作もそんなオリジナルオマージュだけではなく、それ以上に80年代映画や文化などのオマージュが散りばめられているのです。そしてそれは特撮もそうで、確かに最新技術で産まれた新種のゴースト&マシュマロマン(ベビー)にゴーザといったオリジナルに登場したゴーストたちも新型にブラッシュアップ。しかし例えばゴーザの狛犬的なテラードッグのアップ画では、オリジナルと同じように特撮で顔や首を動かしているのがわかります。さらに今やすっかりシリーズのマスコットキャラ化したマシュマロマンが“親指立てながら炎に溶けていく”あれ、それどこかで見たことあるんでね……?

「gifted/ギフテッド」でキャップを幾度となくキュン死させた天才子役の一人と噂されるマッケナ・グレイスちゃん演じるフィービーは科学オタクの小学生。ある日シングルマザーの母と兄と共に小さな田舎町に住む産まれてから一度も会ったことも顔を見たこともないずっと疎遠だった祖父の死をきっかけに空き家となった祖父の屋敷に引っ越すことに。そこは街の住人からは“ゴースト屋敷”と呼ばれているそうで……まぁその祖父というのがご存知ゴーストバスターズのメンバーの一人“イゴン・スペングラー博士の孫”というのは公式で既に述べられておりますよね。なんかメガネかけた姿がとっても似ているというか、科学オタクな点がまさに祖父の血を受け継いでいるわけですが、それゆえいつもクラスでは浮いた存在で友達もいない……それを見た母親が知らない街に引っ越してそこで心機一転、新しい友達でも作ってほしいという想いもあったんですねー。そして母親はかつてNYの街を救い“ヒーロー”として讃えられた父親のことを嫌ってもいたのです……

「デジャヴュですな。」byデンゼル・ワシントン
フィン・ウルフハードくん!?いやー「ストシン」の“コスプレ”がついに現実のものに…!!!全く違和感ないもんね、だって既に見慣れてるんだもん。あれアントマンちょっと太った?崖の上にも三年の少しポニョポニョ感が増したようなポール・ラット。フィービーの通う学校の先生役で出演、大学の授業で「羅生門」を見せられたことはありましたが、小学校の授業でSキングの「クジョウ」を見せる担任とかサイコーかよ!!ほかにもクレジットに入っているかもわからんJ・Kシモンズにオリヴィア・ワイルドが実は出演しているんですよー!!そしてもう公開からちょっとネタバレ気味に話題になってるらしい(“何が”とは言いませんが)クライマックスが完全に「“欠けた”ドリフの大爆笑」なんですよね。これまた嬉しいサプライズではあるのだけれども、オリジナルからずっと見てきたファンはここで“ハンカチーフのご準備タイム”に突入してしまうかもしれません。オリジナルは「ゴースト映画なのにコミカルで楽しめる」映画でした。では今作はどうなのかと申しますと、ズバリ「ゴースト映画なのに“人間ドラマに泣かされる”」そんな映画だと個人的に思いました!

監督は生みの親アイヴァン・ライトマンの息子、ジェイソン・ライトマン。ジェイソン・ライトマンといえば「マイレージ、マイライフ」や「JUNO/ジュノ」でアカデミー監督賞にノミネートされた実績のある、個人的に人間ドラマに定評のある監督だと思うのですが、先程申した「オリジナルをオリジナルのまま」このスタンスを変えずに、今作でもきちんとジェイソン・ライトマン印の“色”をツケているのもまた驚きなんであります。これってメチャクチャ難しいですよ?リメイク版「サスペリア」や「ブレードランナー2049」とかと比べると監督の“個性”が強すぎて結果オリジナル要素より「監督色」が色濃く出すぎてしまうパターンって珍しくないじゃないですか?アカデミーにもノミネートされる程の監督ならば?余計に“自分の色”に染めたがると言うか。しかし今作ではパパのアイヴァン・ライトマンとほぼ“共作”というスタンスをとっているからか描き方の方向性・作品のイメージがが2人でピタリと一致していたんじゃないか。だから“2人の個性”を出すことができた……これはまさに“父の子”のなせる技以上の何者でもない?さらにはオリジナルでもあまり描かれなかった、そもそも「ゴーストとは何か」これをですねー、この続編で掘り下げている、ここへ着て、ある意味根本を問うているようなことをしているのです。
そしてこれこそが今作の「テーマ」と言いますか「ゴーストとは」これが……30年以上経った「今」だから描ける、アンサーテーマだと思うんですよね。まあもうここまで言ってしまうと……って話ではあるのですが。かつてゴーストを捕獲する側からついに「あっち側」に行ってしまったメンバー。しかしそれは人が誰しもが渡る道であり、死者に対しての敬意と継承、そして何よりも「忘れない」という大切なメッセージが本作に込められている……そんな気が致しました。いやー素晴らしい。実に素晴らSUBARASHI I I I I I Iー!!!
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