エノーラ・ホームズの事件簿(2020)
- ラーチャえだまめ
- 2020年9月27日
- 読了時間: 8分

【原題】Enola Holmes
【監督】ハリー・ブラッドビア
【出演】ミリー・ボビー・ブラウン ヘンリー・カヴィル サム・クラフリンほか
【あらすじ】
推理力と行動力を発揮して、兄シャーロックを出し抜き、行方をくらました母親を捜す16歳のエノーラ・ホームズは、若き侯爵をめぐる陰謀に巻き込まれていく。(Yahoo!映画より)
【感想】

『「ワシら妹いたん知ってた?」「え、それどこのマルチバース?」』
どーもどーも三度の飯より脱衣所で替えのパンツを忘れるラーチャえだまめです。早速ですが今宵はこんな映画を拝見させて頂きました
あの世界的有名な名探偵シャーロック・ホームズには妹がいた!?そうなのかねワトソンくーーーんと耳を疑ってしまいそうな、いやいやダニーオーシャンだってケバい妹がいたんだホームズだって妹の一人や二人いたって何ら不思議ではないにっちゃんの名にかけて!?【エノーラ・ホームズの事件簿】!!!
みんな大好きNetflixからまたまた「これ1本でチケット代巻き上げられるレベル」の大作映画が配信されてしまいました……と思ったらもともと劇場公開予定だったのがコロナの影響により公開挫折→Netflixが配給権を買って配信、という流れだったんですか。いやーまあでもそのまま入れるのは納豆くらいにしてもらいたい“お蔵入り”になるのだけは免れてて良かったのかな?原作はアメリカのナンシー・スプリンガーという作家による2006年からスタートした同名人気小説シリーズらしい。
無論ホームズ自体フィクションのたまものでありますがそこからさらに兄にも負けず劣らずな「頭のキレる16歳の妹がいた!」というフィクションのミルフィーユ仕立てみたいな作品をこれまた“リヴート”大好き生産工業こと我らがレジェンダリーが制作したコチラ

主演を張るのはご存知「世界が認めたサイキック少女」が災いして最近大怪獣総攻撃を食らってしまった今売れに売れている令和のナタリー・ポートマンとの呼び声もあるんだかないんだか天才子役ミリー・ボビー・ブラウン!!皆さんイレブンですよイレブンー!!いやーもうすっかり大きくなっちゃってー(親戚のおじさんver)そんな彼女が史上最年少とも言えるかもしれない??“プロデューサー”として今回制作にも名乗りを上げた「エノーラ・ホームズの事件簿」。一体どんな内容なのか、軽いノリで楽しめる作品かと思いきやシャーロックが活躍していた19世紀、抑圧され何もかもが制限される生き方を強要されていた「全ての女性」を代表して??エノーラがカメラに向かって物申す

「自分らしく生きていく」
コルセットなんてクソ喰らえ!!な今流行りの「ウーマンラッシュ」映画だったんですねー。
ある日杖一つで簡単に失踪出来るだろうと思っていたヘレナ・ボナム=カーター演じる大好きなママンが行方をくらましそれまでせいぜい近所をチャリンコで爆走するくらいしか“外の世界”を知らなんだなエノーラ・ホームズが疾走した母の謎を解くため立ち上がる、、、、という物語なのですが___
まぁーもうOPからエノーラさんガッツリカメラ目線で我々ガヤの人間にしゃべくり倒す特に聞いてもいないのに勝手にベラベラ自分の名前の文字列を変えてもちゃんとエノーラになるっテネッ!!……てならねぇーんかい

エノーラには幼い頃に早々と独立した歳の離れた2人の兄貴がおります。一人はご存知あの名探偵“シャーロック”・ホームズ。気がついたら地下闘技場でインファイトしている方じゃない演じるのは世界で最も「Sが似合う男」としてジャスティスリーグにカムバックが期待されるも今は同じくネトフリの魔物退治で叶いそうにないヘンリー・カヴィル。そしてそのシャーロックの兄に当たる“マイクロフト”・ホームズ??ごめんなさい幼少期にコナンはコナンでも江戸川の方ばかり読んでいたのでちょっと存じ上げませんでした官庁で働く政界にも太いパイプを持つシャーロックとは対称的な政治家スタイルを貫く堅物マイクロフトを演じるのは「あと1センチの恋」や「ハンガーゲーム」などのサム・クラフリン?いやー全然気が付きませんでした逞しいお髭を生やしたまぁー「いやぁーな兄貴」を演じておられるんですよこれが……
19世紀なんて“女性軽視”や男女差別など「当たり前」に行われていた時代。「女性は男性に尽くす“もの”」として徹底的な“偏才教育”を義務付けられていたわけであります。そしてそれは自由奔放な毎日を送っていたエノーラも同じ。母の失踪によりそれまでお盆にすら帰ってこなかった兄貴たちの久しぶりの再開……の感動も乏しく長男のマイクロフトは母から「女性としての“教養”」を全く学んでこなかったエノーラに対し酷くショックを受けます。「お前には教養が足りん!!!」と激怒したマイクロフトはエノーラをめっちゃ厳しいでサカイで有名な名門お嬢様養成学校に強制的に“収容”させようとするんですねー。それに猛反発するエノーラでありますが兄には到底敵うはずもなく、頼みのツナである少しは優しいシャーロック兄さんもスマシカオしたツラで「私には何も出来ない」の一点張りくっそぉぉぉ使っかえねぇぇ兄貴だな畜生おおおおお!!!!!今回あの数々の難事件を解決してきたミステリー界のヒーローでもある?シャーロックホームズでさえ

マジで使えないただの筋肉マン太郎
という!?これはまた意外な一面を垣間見てしまいました。置き手紙もなしに母が突然と消えてしまったというのにまるでお得意の推理を楽しんでいるかの如く?身内の事件簿にも至って平然とした対応を見せる兄貴たちについに居ても立っても居られなくなったエノーラは兄貴からの“脱出”も兼ねて母を探しにロンドンに向かいます。本作はそんな“フェミニズム”を到底許すまじとする徹底的な権力で抑え込もうとするメンズからの「脱獄」、男尊女卑という舐め腐った社会で女性が懸命に立ち上がる姿も力強く描いている映画、なんですねぇー。
いやむしろそれこそが本作の大きな主軸となっていると言っても過言ではないかもしれませんね。やたら男装を好むボーイッシュでタフなオラオラ系のエノーラが旅の途中で出会った貴族すぎる道明寺なイケメンなのに何故かエスパー伊藤を崇拝する伯爵の孫を守りながらどんな権力にも負けない姿に何度もマインドを打たれるかもしれません。そしてこの時代にあったのかさえ疑問の“柔術”を女性たちが会得し“力”でも負けてないんだぞ、というたくましい姿や同じく今よりもずっと差別を受けていたであろう黒人がケーキ屋さんを営んでいるという少々時代錯誤とも思える場面も出てきたり(まぁファンタジーに歴史もクソもあったもんじゃないのでいいんですけどね?)そういった意味で昨今ハリウッドの「流行り」にこれまた乗っかっている作品だな、と思いました。最近この手の映画が本当に多い。ついこの前やった「若草物語」もまさにそうで、特に最近アメリカ映画はそれが顕著過ぎるといいますか

今のアメリカ映画って「黒人」や「女性」などにかなり気を使っているじゃないですか?いやそれがもはや「不自然」とまで感じてしまうほどヤリ過ぎだとかえって意識しすぎてしまうというか、それはそれで本末転倒ではないかと個人的には思うのです。日本映画が「まず主演を決めてからそれに合う原作を見つけて実写化する」のと同様、ミリー・ボビー・ブラウン主演でエノーラホームズという作品の実写化を撮ろう、ではなく「女性がメイン」の作品を撮りたいがゆえにエノーラホームズの作品を「使った」みたいな?ちょっとそんな感じを感じてしまったのです。それくらい本作は“極端に色濃く”描いているというか、原作もきっとそうなのかもしれませんけどね。
しかし見終わってからしばらく考えてみて「これが当たり前」になっていかなきゃ、むしろいけないのではないか?とも思えたのです。我々の「見る目」こそ、時代に沿ったアップグレードが必要なんじゃないか、と。私は男なのでそれまで「何故バットマンやスパイダーマンが男なのか」などとそこに疑問を覚えたことなんてなかったんですよね。「“ヒーロー”は男である必要なんてない」それがここ数年でよくわかってきたじゃないですか。カッコいい女性ヒーローがどんどん爆誕して“男が憧れる女性ヒーロー”の活躍がどんどん見れる時代になりました。それって単純に素晴らしいことですよね。それがMeToo運動のように少し過激化し始めると、観るときにそれを“意識しなければいけない”という強制力が働き作品に「窮屈感」を感じてしまう。それもまたちょっと違うような気がするのです。“誰もが気軽に見れる映画”には、作り手だけではなく我々視聴者も「それが当たり前」になる必要がある。私が不自然に感じてしまったのは、そのような作品がここ最近一気に増えて、それに戸惑ってしまっただけなのかなーと。

少し話が脱線してしまったので回転ドアに入ってやり直しまーすハァーーイ……
中盤から母親より突然伯爵の孫の事件解決を優先するエノーラの急な方向転換に少し戸惑ってしまいましたが、巨大な町並みセットにフルCGで描き出す19世紀感は十分世界観構築を成功させておりましたし、背景にあるテーマ性のほかにもアクションにコメディ、そしてミステリーと全体的にまんべんなくつまみ食い出来るような作品になっているのでそこは楽しめるかと思いますね。エノーラホームズの華麗なる爆誕を描いたシリーズもので言う所の「エノーラホームズ・ビギンズ」に当たる本作。早くもシリーズ化がされそうな感じですし??原作もまだまだ続きがあるようなのでエノーラが“名探偵”として本格始動する姿も拝めるかもしれません。。。。。。
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