インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者(2018)
- ラーチャえだまめ
- 2020年1月7日
- 読了時間: 7分

【原題】Il testimone invisibile
【監督】ステファノ・モルディーニ
【出演】リッカルド・スカマルチョ ミリアム・レオーネ マリア・パイアートほか
【あらすじ】
殺人容疑を掛けられた実業家のアドリアーノの前に、今まで裁判に負けたことがないすご腕の弁護士ヴァージニアが現れる。この状況を覆すのは困難だと思われたが、彼女は無実にすることができると宣言し、アドリアーノに事件の真相を告白させる。(Yahoo!映画より)
【感想(ネタバレなし)】

『2020年度最優秀「どんでん返し」映画が既に爆誕してしまった件』
いやーちょっと待って下さい、こーれーは……ちょっとあまりに予想外といいますか想像の遥か彼方銀河系レベルに予測してしなかった非常事態宣言と言いますか……あ、とりあえずみ、「未体験ゾーン」!!と言うのさえ忘れてしまう程

控え目に言って「騙される」映画は好きですか?
人はこう呼んだ、そう「大どんでん返し」と……。
「スティング」「ユージュアルサスペクツ」「シックスセンス」……これまで数多の「どんでん返し」映画が誕生して参りました、高校2年の時友達にゴリ推しされて見た「セブン」のブラピを見て以来、巷に蔓延る「衝撃の結末」「大どんでん返し」と謳われた数々の作品と戦って参りました、この手の映画には既に鍛えられた自信がありますゆえ自慢ではありませんが「舌は肥えて」いるつもりです……ごめんなさいやっぱりただの自慢でしt、そんな「どんでん返し」映画に、まだ春さえ来ない新年ホヤホヤの1月初旬に舞台はイタリィアァ〜ノのマルゲリィ〜タ!!のはるばるイタリアからとんでもクライシスな「どんでん返し」映画が凱旋してしまいました、いやいや潜る門間違え過ぎだよー!!なーんで「未体験ゾーン」で拾っちゃうんだよー!!これは是が非でも全国的にオヌヌメ出来る超絶弩級のミステリー傑作映画が第2回目の登板でございます【インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者】!!

高層ビルの前に止まる一台の車。降りて来たのは一人の女性弁護士。その道30年のキャリアを持つ凄腕のフェラーラがやって来たのは巷を騒がす「とある事件」の被疑者を弁護する為だ。被疑者のいる部屋の前まで来たフェラーラ。ぴんぽーん。部屋の中から出てきたのはこの男


ジョンウィックの自宅をロケットランチャーで吹き飛ばして粛清された男リッカルド・スカマルチョその人である!!「あら、ジョンウィックの自宅をロケットランチャーで吹き飛ばして粛清されて弁護しろと?」……ではなく彼女を呼んだのは他ならない彼が演じるアドリアーノ・ドリアという実業家は、ある日ホテルで愛人のラウラと一緒にいた所突如部屋からフードを被った見知らぬ人物に顔面を殴られそのまま意識を失い、気がつくとラウラが頭から血を流して死んでいるのを発見、その直後ポリ公が部屋に突撃してきたという、つまりは自分は「無実」でありラウラ殺しの犯人は別にいる__と証言したかったのだ。しかしそれにはあまりに、あまりに話が出木杉くん過ぎている、とフェラーラはドリアに詰め寄った。まず事件後犯人が部屋から出た痕跡が無いこと、凶器にドリアの指紋が残されていたこと、そしてその日愛人と一体部屋で何をしていたのかということ、それらのアリバイが立証されなければとても信憑性に欠ける話だと。フェラーラはバックから1枚の写真を取り出した。そこには「失踪事件」と書かれた文字が。フェラーラは続けた「この事件を知っているか?」するとドリアは語り始めた。ラウラ殺人事件に隠された「もう一つの事件」について_____。
いやーコチラの作品、どうやら2016年のスペイン映画をベースにしたリメイク(?)のようなのですが、まぁーかなり“出来の良いサスペンス”といいますか、完成度が非常に高い。フェラーラがドリアに問い詰めてドリアから徐々に事の真相がボロボロ出てくる……現在と過去を行ったり来たりする「ユージュアル〜」のようなカタチで物語が進んでいきます。「うわぁ〜ややこしい〜」って唸ったそこのアナタ

推理難易度は超親切設計です
途中何度も映像が繰り返してはフェラーラが“司会者”の如く、途中何度も物語の「要点」を抑えて説明してくれるおかげでヒジョーに見やすくなっているのです。それはさながら読んでる途中でページを戻るのではなく話の要点を繰り返し書いてくれる推理小説のように。おかげで途中で「あれ、コイツだれだっけ?」といった置いてけぼりも喰らいにくく「推理」にガッツリ集中出来るわけなのです。しかしそーしてしまうと、複雑でややこしい話にはせず誰もがついて来やすいスピードだと「ストーリーが単調になるのでは?」そう思う方もおるやもしれません

二転三転しまくるストーリー
この映画の良いところ、2つ目は「痒い所まで手を伸ばしてくれる推理力」……一体どうゆうことかと申しますと「いやいやコイツらみんなバカやん!!なんでこう推理しないの?普通◯◯◯なら✕✕✕って推理するだろー!!!」という、オチを最後までひた隠しにするあまり登場人物がバカになる、という現象をご存知だろうか。本作にはソレがない。つまりフェラーラはじめ登場人物たちの“推理力”のキレ味が抜群で、かなり早い段階で我々が想像しうるオチを言い当ててくるのである。そうなるともう先が読めない。「◯◯の線はシロ、では✕✕の可能性は?」フェラーラと共に推理合戦。しかしこれまた厄介なことにドリアが次から次へと「真相を変えて」来るのである。つまりはこの男

超ライアー
な男なのである__。物語が二転三転転びまくる展開も「ユージュアル〜」などを彷彿とさせて面白いですねー。そしてクライマックスの「衝撃的なオチ」ですよ……。当然ここでは申し上げませんが私が一番唸ってしまったのは見事に物語のペースを操られ壮大に“ハメられた”のも突然なのですが本作の最も評価したいのは「はーい今の話は全部ウソでした〜」という某どんでん返し映画とは違う

思いっきり「答え」が画面に映っていた
コレですよコレ!!「“答え”があるのにそれを“見つけられなかった”こと」これこそが「大どんでん返しの真髄」といいますか、ヤラレたぁ〜!!!マジ感服ヒュイGOポンポ〜ン!!しちゃったわけなんであります!!いやー本当にこのオチにはビックリでございます、清々しい程の騙された大賞でしたね〜、あ、劇場内に配布されているポスターチラシはくれぐれも“鑑賞後”に手にとって頂きたい!!まさに他言無用のミステリー、気になる方は劇場へヒュイGOしちゃってポンポポ〜ン!!
【感想(ネタバレ)】
いやーまさか交通事故で死んだ青年の母親がフェラーラだったなんて……「エスター」を見た時の衝撃再び、といいますかそーかそーかだから3時間の“制限時間”があったわけですね?まぁでも話の運び方が上手いですよね、確かに犯人リストの中に両親は挙がっておりました、夫婦揃っての犯行……いやそれはむしろ“フェラーラの口から”挙げられていたわけなんでありますがフェラーラ=母親、とまではわからなかったな〜、いや息子が事件当初はまだ生きてたのに見捨てたドリアの証言を聞いた時に異様に逆上していたから「おやおや、これはもしかして…」とは思ったのですが、「そうなったら面白いのにな」くらいのワガママだと思ったのいたら…。ちゃんと母親の顔だって見てるんですよ?何度も何度も見ているのに……感づかれないよう、うまーく“話を逸らす”匠な演出。父親の方にフォーカスを当て、見事に母親を口数の少ない“影の薄い存在”にすることで自然と思考からフェードアウトさせてるんですよね。上手い!!これは見事だ!!

そうかぁ〜、考えるとラウラの“変装”はもしかしたら伏線だったんじゃないか?だってラウラだってはじめ同一人物だと気づかなかったもんな〜、髪型変えて色も変えれば案外わからんものなのねぇ……というこれぞ“メイクの怖さ?(笑)”“変装ネタは現代でも通用する”ことが改めて判明してしまいましたが、ただその母親の“演技”も、とても同一人物には見えない、これはもう演じるマリア・バイアーロという女優さんの凄腕のタマモノに他なりません。
それにしてもドリアってただのクズよね(笑)最後まで自分の保身の為だけ考える経営力は一流でも人間力は鼻クソレレベル以下、ただ事故をラウラと隠蔽しようとして途中“目撃者”に出会っちゃうわ、故障した車を修理してくれた恩人が亡くなった青年の両親だった、なんてなんとまあ運の悪いこと。ただそこが妙にリアリティがあるというか、悪いことした時に限って不思議とウソみたいなホンマの話ってあるじゃないですか?(経験者は語る)起点を効かせてうまーく隠そうとしても、“ウソの泥沼”に2人がどんどんハマっていって次第に収集が効かなくなっていく様が、ある意味人間らしいというかリアルなところかもしれません。
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