TITANE チタン(2021)
- ラーチャえだまめ
- 2022年4月20日
- 読了時間: 7分

【原題】Titane
【監督】ジュリア・デュクルノー
【出演】ヴァンサン・ランドン アガト・ルセル ギャランス・マリリエほか
【あらすじ】
幼少時に交通事故に遭い、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシア。それ以来、彼女は車に対して異常なほどの執着心を抱き、危険な衝動に駆られるようになってしまう。自身の犯した罪により行き場を失ったアレクシアは、消防士ヴィンセントと出会う。ヴィンセントは10年前に息子が行方不明となり、現在はひとり孤独に暮らしていた。2人は奇妙な共同生活を始めるが、アレクシアの体には重大な秘密があった。(映画.COMより)
【感想】

『仏が「鉄男」をやったら「鉄女」になって結局コメディ映画になったの巻』
どーもどーも先日女優ののんが「もうすぐアラサー」だと語っていて「え、もうそんな歳なの!?」とすぐさまウィキペディアを開いたらいやいやまだ28歳とか全然若いじゃねえかよてか美人!!と、なりましたラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました
【チタン】……!!いやーこれまた大変物騒な腰振り大魔神、あいや気になる映画を発見してしまいました。YouTubeでティザー映像が何故か突然オヌヌメに出て何かと思って見たらばえぇ〜?ゴッツいエロエロ姉ちゃんが車の上で華の舞も勝てない「誘惑の舞」で腰振りダンシーング!!?

からのオヤジの舞
一体全体どんな内容の映画なのだ?調べてビックリ幼少期の事故で頭に「チタンプレート」を埋め込んでから金属アレルギーどころか「車と“肉体的”に交わろうとする」ワイスピのヴィンさんも反応に困る性癖の持ち主になってしまった娘!?監督は「RAW~少女のめざめ~」で目覚たのは姉妹揃ってカニバリズムだった斜め上を行く思春期少女のマインドとボディの変化をオカルティンティンに描いた女流監督ジュリア・デュクルノーと聞いて?一筋縄ではいかない作品なのはなんとなく勘づいておりましたが……いやちょっと話題は逸れるが「RAW」で見せた「思春期の恐れ」をテーマにした映画と聞いて、個人的にヨーロッパ映画のイメージが強く(「RAW」は仏映画)過去にも「ブルーマインド」や「テルマ」とか「獣は月夜に夢を見る」とか2010年代はぶっちゃけ似たような映画が量産された10年で当時「RAW」も「その中の一つ」くらいにしか印象に残らなかったかなー

からのオヤジのボデぇ!!!
その前作を軽く凌駕する衝撃?カンヌ映画祭で途中退席者を出しながら最高峰にあたるパルムドールを受賞、という賛否両論渦巻くタレコミに引かれ劇場に足を運んだ方も多いかもしれません(週末都内劇場はほぼ満席でしたの巻!?)そんな今知る人ぞ知る“異物混入”映画「チタン」

仏版「鉄男」は“コメディ”過ぎる「鉄女」だった!?
いやービーチクに絡まった毛を思いっきり剥がすわ甘噛み以上に引きちぎろうとするわ前作「RAW」の主演女優に人を殺めた代償を次回作で償わせる鬼畜っぷりを披露するデュクルノー監督の開始早々の「容赦なさ」。具体的にあのシーンのここが……と言うより作品全体が「グロテクス」。いい意味で「悪趣味」、非常に毒っけが強く人によっては嫌悪感を抱くかもしれません。ただそれこそがこの監督の特徴というか(人に嫌悪感を抱かせる天才って何やねん)前作でも見せた「心とカラダの変化」を猛烈に(特にカラダの方が)変化させるのが非常にお好きなようで……この“肉体の変化”を俗称「ボディホラー」と呼ぶわけなんですが、それを極めたと言ってもいいデュクルノー監督が先日息子のブランドンの「ボゼッサー」で無事“二世誕生”を確信させられたデヴィッド・クローネンバーグの崇拝者だったという!?そうかそうか何か“生理的に無理ゲー感”はお方の影響を受けていたからなのか!と妙に合点がいってしまうというか

そしてデュクルノー監督の描くボディホラーは“女性ならでは”なもの。たとえば前作が女性の“性”への目覚めを描いたものであるならば、今作はズバリ「妊娠と出産」をテーマにしている。そしてそれを思いっきり「いじくっている」。デュクルノー監督にとって「肉体に限界の二文字なし」が座右の銘なのかは定かではありませんがもういじくりこねくり回しちゃっているのですよ!詳しい内容は伏せましょう!いやもういい!!

イケメンカーとカーセ◯クスしたらカー人間を宿してしまったでミランダ・カー
……最後のは余計でした。激走戦隊カーレンジャー入隊も待ったなしのこれぞ人間と機械の融合?ちなみに人間が人工物と交わる映画として「デモンシード」というSF映画があってですね……
車に異常なまでの“愛”を注ぐダンサーのアレクシアがある晩シャワーを浴びているとガレージからドンドンと音が鳴り響く。「ナニヤツ?」みたいな顔を浮かべながらガレージに向かうとそこには……ビカビカと熱い眼差しという名のカーライトでアレクシアを照らす燃えたぎるような装飾の1台のカーがあった……そんなカーと熱い一夜を共に過ごしたアレクシアの身にある日異変が?……もうぶっ飛んでるでしょ?クローネンバーグって言うよりカーペンターの「クリスティーン」だよ!!意志を持った車とヤッちゃったってか?やっちゃうのはせめて日産だけにしてくr……でも車内が「SMプレイ専用のラブホみたいな仕様」になってるってことは……?

ラストはもう超越し過ぎて完全に「コメディ映画」だと思って見ていました。それくらいぶっ飛んでる。否、一歩間違えればシュールなコメディになる所を3歩進んでコメディ映画に仕立て上げたみたいな?まぁコメディ映画というのが極端な表現でも、しかしティザー映像からは想像出来ないところどころでクスっと笑えるシーンが実は前作より多い。これは完全に我々視聴者を笑わせに来てるな、そんなイメージがある映画だとは
“ボディ”を使った“遊び”。それは“性別の壁”すら超越する。アレクシアは警察から追われる身になると消防士のヴァンサンの行方不明の息子に“なりすまし”男のフリをしてヴァンサンと奇妙な共同生活をはじめます。「Vフォーヴェンデッタ」のナタリー・ポートマン並みの「公開バリカン」よろしくダンサー(女)から息子(男)に見た目を変貌させていく。ここで重要なのがアレクシアはあくまで見た目だけMENに「なりきる」だけで中身はWOMENであるということ。チタンとは文字通り金属元素の一つですが、その語源は古代ギリシャ語の「タイタン」から来ているらしい。故に先に言った妊娠や出産という“生命の神秘”的なものを、一見するとより神秘的に(この場合宗教的な意味で)描いているけど、それがどこか臭いというか深夜帯にやるコントみたいに見えてしまったのです。バカバカしくはないけど、いやその演出絶対遊んでるでしょ?マジな心境でやってないでしょ?みたいな。それをカンヌがバカ真面目に捉えたみたいな。実際出演陣も今作がまさかカンヌで最高賞を獲るだなんて思ってもみなかったそうです。作品には全力投球しても“真面目な映画”には決してカテゴライズされないだろうと。

アレクシアを演じるアガト・ルセルは今作が演技初とは思えぬ体当たりな演技を披露。あまりセリフがない役ではありましたが、立ち振る舞いや独特な存在感を放っていました。モデルさんらしいですがデュクルノー監督がインスタで見つけ声を掛けたという、いやー最近SNSで演技未経験者をいきなり主演に抜擢するパターン多いですよね。何にも染まっていない無垢な演技未経験者を発掘するいいツールなんでしょうか。中盤以降に登場するヴァンサンは逆に生粋のMENなのがアレクシアとの対比なのか、ヴァンサンはヴァンサンで永遠に失いかけた(実際は他人だけど)息子を今度こそは守りきると不器用ながら必死に心を通わせようと努力する、息子に一途過ぎるダディーですが果たしてその真意は如何に……
途中から車あんまり関係なくなってくるのがちょっと残念でした、てゆーか見ていて一つ思ったのが、事故で頭にチタンを埋め込んだ、それはただの“きっかけ”に過ぎなくて、そもそもアレクシアの数々の“奇行”は頭のチタンが原因ではなく生まれ持ったものなのでは…?面白いかどうかと聞かれたら…「わからない。」内容はどうだったかと聞かれても…「わからない。」また見たいかと聞かれたら……「いやそれはない。」けど

「一度でも見たら確実に記憶に残る映画」
ではある、そんな衝撃的な映画でしたねぇ。
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