トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦(2024)
- ラーチャえだまめ
- 2月18日
- 読了時間: 7分

【原題】九龍城寨之圍城
【監督】ソイ・チェン
【出演】ルイス・クー サモ・ハン リッチー・レンほか
【あらすじ】
1980年代。香港に密入国した青年チャンは、黒社会のルールを拒んで己の道を選んだために組織から目をつけられてしまう。追い詰められた彼は運命に導かれるように、黒社会に生きる者たちの野望が渦巻く九龍城砦に逃げ込み、そこで出会った3人の仲間たちと深い友情を育んでいく。しかし九龍城砦を巻き込む抗争は激化の一途をたどり、チャンたちはそれぞれの信念を胸に命をかけた戦いに身を投じる。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『結論:この映画全てが「グー」』
どうも狂ったセブン信者ラーチャえだまめです。川崎のアゼリア地下街に最近できたクラフトビールスタンドのお店に先日ついに念願叶い入店〜♫

横浜の野毛ではよくクラフトビール飲み歩きはするんだけど、川崎にも醸造所が沢山あって、このお店では“東海道BEER 川崎宿工場”さんのおビールが700円台からお手軽に楽しめちゃうんですね〜素晴らしい!!頭上のタップリストを見ながらお店の人に「川崎ビールはどれですか?」と聞くと「全部です!」と言われその多さに驚愕……
ワッタタタタタタタタタタ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ー!!!!!!こ、これは…!?今まで呑んでいたビー……と言うわけで本日はコチラの映画を拝見させて頂きました

【トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦】!!!いやー前から気になっていた1本。カンフー好きの友人から激オシされていたもののなかなか都合が合わず……なんてモタモタしていたら?川崎チネチッタさんで通常上映からLIVEザウンドシアターへ「格上げ」されたと知り人気の高さを伺い知れたと共に今作の舞台が1993年まで台湾に実在した「九龍(クーロン)城砦」という世紀末もビックリな超無法地帯で、同じく無法地……川崎と言えばその九龍城砦をモチーフにした今は無き“ウェアハウス川崎店電脳九龍城”というすこぶる楽しいゲーセンがありましてですね!!昔お世話になっていたのです(深夜すぎてもやってる若者の溜まり場…)そんな縁を感じて先週チネチッタさんに行ってきたわけなんでありますが、いやービックリしました

「ALWAYS 九龍城の夕日」だった件。
正直に言います「大変舐めてました。」そもそも香港映画、カンフー映画なんて小学校に流行った「少林サッカー」くらいしか思い出がない私が、今回「ああ〜、サムハン?」レベルのカンフー知識で見た結果

アクション100点
ストーリー100点
美術100点
気功100万点
普段カンフー映画を見ない方に“こそ”切実にオヌヌメしたい!?ちょっと“カンフー映画とは”の勝手な苦手イメージを180度覆す、とんでもクライシスな映画だったんですね〜!!
①まず人知を超えた「ありえねぇ強人乱舞」。カンフーと言えば拳と拳のぶつかり合い?ワイヤーアクション?何やら凄そうだな…と見る前から身構えてはいたものの、それをはるかに凌駕するSSSS級の怒涛のアクションの連発。“凄い”と一言で言い表すことすら出来ない、おっ始まると止まらぬお口アングリラ状態のもう笑っちゃうレベル。最高のカメラワークと役者のアクロバティックな動きで魅せる技。アクション監督は「るろうに剣心」シリーズでアクションを担当した日本人の谷垣健治。そうカンフー映画なのにアクション監督は日本人なのです!!日本でもお家芸であるワイヤーアクションや殺陣を、海を超えた同じくアクション本場の中国が取り入れるとは、まさに日中脳筋会談……
②本作の「顔」である今は無き九龍城。かつて清朝時代に建てられた軍事施設が無法地帯となり隈研吾も真っ青な無秩序に積み上げられた空を埋め尽くす無数の違法建築と電線により、地上なのに光が刺さない異世界へと変貌。住む場所を失った不法入国者に貧しい者には最後の拠り所として、法を犯した者には隠れ蓑として利用され、いつしか闇組織が牛耳るアングラな巨大都市。それを当時の資料映像や写真を元に「完全再現」(実物知らんけど…)ラーメン博物館の館長もビックリなビッグなセットがもう凄すぎる。YouTubeに当時の九龍城を収めた動画があったのですが……全く同じではないか…!?
グリーンバックでは表現できない“そこにある”質感。売店の冷蔵ケースの中に鎮座するジュース瓶1本1本も全て手作りという??細部にまで徹底して作られた美品の数々。九龍城砦の生活、否80年代当時の“香港の歴史と文化”を無数の小物や装飾品といったアイテムで限りなく再現した、ホントに写真集出しますよね!?プロデューサーのジョン・チョンは幼少期に九龍城に住んでいた経験があるらしい。そりゃ詳しいわけです。当時を生きた観客が“懐かしい”と思わせる努力と、それを知らない若い世代の観客に伝えたいという制作陣の熱い想いが込められている。そして我々“外国人”にはそれがなんともノスタルジックで、「攻殻機動隊」「AKIRA」にも影響を与えたサイバーパンクな独特な世界観に酔いしれてしまう魔力を秘めた……ちなみに本作の楽曲は川井憲次と、いやもう絶対狙ったでしょ!?

③アクション……だけかと思いきや骨太なストーリーが「べらぼうに良すぎる。」まさか脚本がこんなにいいとは。ある事情を抱えた男“陳洛軍(チャン・ロッグワン)”が香港街を牛耳る“大ボス”から逃げた先は九龍城。はじめは地上の異世界に圧倒されるチャンですが初対面が最悪すぎる九龍城の“兄貴”龍捲風(ロン・ギュンフォン)の下で働き始める。すぐに城の“ローカルルール”に順応しはじめ、そこに住む住人やロンの手下の“若手衆”とも意気投合。そして何よりチャンにとって「よそ者でも手を差し伸べる」九龍城にこれまで感じたことのない安らぎを感じ始めていた矢先、チャンを追って大ボス勢が襲来する___。
時代と共に変化する往年のビッグスター×新星スターの涙チョチョぎれ必須な、壮絶な「世代交代劇」。ロンを演じるはルイス・クー。はい全然知りません……と思ったら中国産「実写版・真三国無双」で呂布を演じた方だとわかりビックリ。ほか中国映画界を代表する大御所達が「兄貴」として登場し、彼らは皆“イケオジボス枠”の拳法の達人で、もうみんな強い!強すぎる!!若輩共に負けられるわあ!!とばかりにチャンや若手衆にキバをむく展開が、もう某少年ジャンプのソレ過ぎて(原作小説はコミカライズもされている)熱いったらありゃしない!?そんな兄貴達を前に、ある者は意志を継ぎ、またある者はその地位を狙う。物語後半戦は「弟子」のニュージェネの時代へ……

主人公以外の若手俳優もみんな顔面偏差値高すぎ晋作で、特に日本のSNSでも勝手に二次元化もされている“大バズリ中”の俳優、信一(ソンヤッ)役のテレンス・ラウの甘いマスクに反してキレッキレの“切れたナイフ”っぷりに、本人はバイクに乗れず撮影前に2回練習しただけなのに極狭通路を爆速したり屋根から大ジャンプするなど主人公並の存在感を発揮。他にも漫画のような濃ゆいキャラクターが登場するんですよねー。

あれHKさん
④あとよく知らないんですけど「気功」ってアレが通常運転なんですか?いや気功のステマ過ぎんだろ!?(いやもはやシステマ…)久しぶりに劇場で“リアルに「勝てる気がしねぇ…」”と絶望させられた“最強”のヴィラン。小物のフリして能ある鷹は爪を隠すって?ただ演じる俳優はスタントもこなすゴリゴリのアクション畑出身でこれまた説得力アリストテレスなんだよ……

生きる伝説とその後を追う次世代の若者たち。2世代の移り変わりまで見せることで、九龍城、香港の“時代”を見せる。ラストの夕日はまさに建設途中の東京タワーを見つめる“三丁目の夕日”状態。俺達の戦いはこれからだぜッ!!なんて思っていたら現在続編と前日譚のプロジェクトが進行中。まだまだ九龍城ブームは始まったばかりなのだッ!?ちなみに劇場パンフレットにはキャストスタッフインタビューのほか九龍城の歴史やらなんやら、劇中登場する“叉焼”のレシピまで掲載されてんだから“強の料理”はこれで決まりですね!?香港映画未履修の方に“ココから入門”でもいいでしょう!!そして今月23日には日本での大ヒットを受けキャスト監督の緊急来日も決定!!いやーこれはノーマークだったなー。早くも今年暫定1位だわこれ……
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