top of page

ストップモーション(2023)


【原題】Stopmotion

【監督】ロバート・モーガン

【出演】アシュリン・フランシオーシ トム・ヨーク ケイリン・スプリンゴールほか

【あらすじ】

偉大なストップモーションアニメーターである母スザンヌが病に倒れたため、娘のエラは、制作が中断された作品を完成させようと奮闘していた。しかし、自分ひとりの力では作業は思うように進まない。偶然出会った謎の少女の力を借りて作業を進めていくエラだったが、次第に現実と虚構の壁が崩壊していき、精神的に追い詰められていく。(映画.COMより)






 
【感想(ネタバレなし)】

『職業病は辛いよPart2』

 




どーもどーもラーチャえだまめです。本編が始まってから入場してきて映写機の前でずっと突っ立ってる人、お前を蝋人形にしてやろうかあああ…!!ならぬ本日はお前を“ストップモーションアニメ”にしてやろうかあああ…!!したくなるホラー映画をご紹介。その名も



【ストップモーション】!!!いやー今年は年明け早々“ホラー映画大豊作月間”で早くも詰みだよ詰み!?デンマークからリマスター版「モルグ」に今週から韓国からガチ心霊スポット映画「ヌルボムガーデン」早くも話題沸騰中「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」に「嗤う蟲」「悪鬼のウイルス」「飯沼一家に謝罪します」……和製ホラーの逆襲まで控えていて「未体験」だってまだホラー枠残ってるしなぁ……(汗)そんなわけで休日に詰めに詰め込んで拝見させて頂いております本日は“実写とストップモーション”の二人羽織で織りなす一風変わったホラー映画でコチラも公開前より話題になっておりましたねー。



人形を1ミリずつ動かしてコマ撮りで息を吹き込むストップモーションアニメ。この伝統的な手法は時代と共に忘れ去られたかと思いきや近年「マッドゴッド」「オオカミの家」など(日本では日本人監督堀貴秀の「JUNK HEAD」が異例のロングラン大ヒット)で再び脚光を浴びたばかりかパペットの作り出す独特な動きや世界観が“ホラー”とエラくマッチしていることに気づきそして満を持して“ストップモーションホラーの新作”として世に放たれたわけであります!!ちなみに先日新宿シネマカリテさんで拝見させて頂いたのですが、受付に実際の撮影で使用されたモイキーな人形が展示されていましたよ!!しかも今作は実写との融合。ストップモーションを通してアニメーターの“苦悩”も描いているという!?「BLISS ブリス」「映画検閲」に続く“職業病は辛いよシリーズ”最新作でもあるのです??





 




ストップモーションアニメの第一線で活躍していた母の仕事を受け継ぎ不自由になった母の“手の代わりに”作品を制作中の娘エラ。偉大なる母との二人三脚…と思いきや、母はエラの手を使って“自分の作品”を作り上げたいだけ、あくまでこのアニメは娘のものではない“私の作品”だと主張。故に母はエラの“手”のことしか見ていない。手のことしか指示をしない。そのことにエラはストレスを抱えているんですよね。でも母はエラに言うのです。



「お前には“才能”がない」と。才能のないお前を私が“操っている”だけ。アナタはただ私の“操り人形”になっていれば良いと…。この時点ですでに“二世の苦悩”というか、ただでさえ世間では親と比べられ息苦しいのに、自分には才能がない“凡才”だと一番の理解者で味方であってほしい肉親からそう言い放たれる辛さ?そんなんじゃ当然自己肯定感なんぞ地の底に落ちぶれてしまいますよね??そんな後ろめたさを抱えるエラにある“転機”が訪れます。母がタイミングよく病気でぶっ倒れたことでエラは“母の手”から解放されるのです。そしてその瞬間から母の作品ではなく“自分自身の作品”を作り上げようとするのですが…。



階段から下を覗く、ドアの覗き穴から覗く等、ホラー映画のセオリーをしっかりと踏む反面、作業場に見知らぬ女の子が登場して何故か自分の作品にあれこれ指示だしてきて「あーこの子はきっとエラの目にしか映らない存在なんだな」と一瞬で勘づけるレベルで??ホラー要素としては大体予定調和、先の読める展開。まさしくその娘は“もう一人のエラ”で翌日気づいたら“記憶にない人形とアニメーションが作られていた”……怖いなー怖いなー“社畜”って怖いなー!!??もう末期ですね。記憶にない書類が完成されてたら社畜レベル200だと思って下さい??(私はそこまでなったことはないですが…)やはり母の手から完全に離れられていなかったのです否、母から植え付けられた“お前は凡人”イメージの呪縛からはまだまだ逃れられず、自分に自身がないから今度は女の子の“操り人形”になってしまうという!?



でもわかります。0から1へ、アイデアを生み出さなければならないクリエイター職の苦悩と自分には才能がないと洗脳され自信を打ちのめされたが故に最終的に“指示待ち”社畜になった方が“気が楽”になっちまう恐怖を描いた映画!?「“今度”は私が“操る番”__。」エラは必死に人形の“主導権”を握ろうとします。果たしてエラのアニメは完成するのか。



エラを演じるのはすこぶる前に観た記憶がある「ナイチンゲール」のアシュリン・フランシオーシ。“胸糞”ならぬ「胸騒ぎ」のハリウッドリメイク「スピーク・ノー・イーブル」にも出演しているんですね。徐々に“侵食”されてって顔色が悪くなっていく様子を見事に演じていました。監督はイギリス出身でストップモーションの短編等監督してきたロバート・モーガン。ホラーオムニバス映画「ABC・オブ・デス2」にも参加していたホラーストップモーション界の超新星?劇中登場するストップモーション映像は監督自ら製作しているらしい。



そのストップモーション自体不気味でまさに悪夢そのものなのですが、元から不気味な人形の“皮膚”にステーキの肉、次にキツネの死骸、そして次は……女の子の指示通りにしたらどんどん血生臭い肉の塊になっていく人形。さらにどんどん人形自体も大きく成長していき、等身大サイズにまでデカくなってエラを襲うシーンで反対にエラが人形化する逆転現象が面白かった。“ストップモーションは人形に息を吹きかけることができる”母の教えを拡大解釈しすぎて病院で昏睡状態の母の手を1ミリずつ動かしてカメラでカシャ、のシーンがある意味一番怖かったですね。エラが母をもう人形か肉の塊にしか見ていないということがわかる、とても不気味でしたねー。OPの“ポリゴンショック”と後半の痛々しい描写がちょっとしつこくて余計かな、目を背けたくなるかもしれません。人形が苦手な方にはこの上ない恐怖を味わえる、それだけでも推しポイントですが、ストップモーションの作成工程、そして作り手の苦悩も知ることができる、職業見学的な面白さも兼ね備えた映画だと思いましたねー。ところでOPからちょいちょい出てくる“卵”の正体って何……?(舐めたらあっかぁん〜舐めたらあっかん〜♫)

Comments


bottom of page