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ソイレント・グリーン(1973)

【原題】Soylent Green

【監督】リチャード・フライシャー

【出演】チャールトン・ヘストン リー・テイラー=ヤング チャック・コナーズほか

【あらすじ】

2022年、ニューヨーク。爆発的な人口増加のせいで人々は住む場所を失い食糧難も常態化、さらに急激な気候変動によって街は熱波にさらされていた。超格差社会となった世界では、多くの人々が政府から週に一度配給される栄養食品「ソイレント」を待つだけの無為な日々を過ごしている。そんな中、究極の栄養食をうたう新製品「ソイレント・グリーン」を発表したばかりのソイレント社幹部サイモンソンが何者かに殺害される事件が発生し、殺人課の刑事ソーンが捜査に乗り出すが……(映画.COMより)



 
【感想(ネタバレなし)】

『究極の“地産地消”?』

 




一時期卵の値段が上がって“完全栄養食”の卵に代わりコウロギを流行らせようとしたの、あれなんだったん?ラーチャえだまめです。それじゃなくても近年コンビニで“BASE FOOD”やら某カップ麺が販売する“完全メシ”など手軽に&スピーディに栄養補給できる時間がない忙しい労働者向けかコスパ重視の人向けか、しかし人口増加&物価上昇に伴い卵のような当たり前に食卓に並べられた“食”が?未来永劫食べられる……とは“限らない”かもしれない??そんなドリカムも度肝を抜く“最悪な未来予想図”を今から50年前にスクリーンに既に描いていたとかないとか



【ソイレント・グリーン】!!!……70年代SF映画の代表作。学生時代にずっと見ようと思って忘れていた1本。今回4K版がスクリーンで拝めるということでシネマートさんにお邪魔したわけですが?当日はエレベーターで上がって出て受付からスクリーン入口まで「もう、人がいっぱい…」若い人からリアル世代っぽい人まで、やっぱり映画通の間では有名なんだなーと実感。今から2年前の2022年、人口増加&食糧不足に陥ったアメリカは一部の特急階級の人間を除き食品会社ソイレント社が生成した“ソイレント”と呼ばれる加工された四角い板チョコのような食品を市民に配当するシステムを構築。“ソイレント”とは造語で大豆(soybean)とレンズ豆(Lentil)をくっつけたもの。「大豆の新商品かな?」なんていう感じしません?なんとなく健康に良さそうな……そんなソイレントに新商品として作られたのが?海のプランクトンから作られたらしい”ミラクルフード”と謳い文句の?“謎の完全栄養食”ソイレント・グリーンだったのです……!!



否!!しかし先のコオロギじゃないけどその「原料」というのが……「絶対に【口にしてはいけない】凄惨な結末」って公式さん、もうそんなのアレしかないじゃーん??とまあ、今となっては「猿の惑星」のオチレベルの、見なくてもだいたい「ご想像の通り。」



……そんな衝撃的なオチ“ネタ”よりもですよ?70年の先人たちが考えた「2022年問題」がもう、吉幾三も「ヨシ!未来に行くぞう!!」なんて言えない夢もねぇ希望もねえ自然破壊により緑色の光化学スモッグが漂う街では人口増加で人が溢れかえり、住居は足りず金持ちか政府関係者以外の一般市民は寝床を求め協会には沢山の人人人が押し寄せ牧師は過労でイカれてアボーン状態……あいや、その教会にも入れない者はそこら中で野宿して、そして何より皆「食に飢えている」毎週火曜日に政府から配給されるソイレント・グリーンだけが「口にできる」美食家も廃業必須の、衣食住の「食」と「住」を奪われたディストピアですよ?無気力にフラフラと街を歩く市民はまさに「ゾンビ」。高度経済成長も著しい70年代でもう既に「希望のない未来」を描くなんて?当時としては珍しかったもしれませんが、今この「先の未来」を生きている我々の住む世界はどうでしょう?明るい未来か、それとも……



しかも政治家やら役人著名人その他一部の「富裕層」はそんな貧しい暮らしとは無縁な生活を送り、高級マンションに住み正規ルートでは手に入らない生野菜や生肉を高額な金で入手、自宅に一台ならぬ「1人」のお手伝いさん?なんでもしてくれる人?(含みが…)劇中「家具」と呼ばれる美女が「賃貸と共についてくる」SUUMOもビックリなどんな世界!?でもその家具役の女優さんめっちゃタ……



てもうアレよね、使用人が完全に「専属嬢」でしかも名前が家具って、、、今の時代考えられない「女性搾取」な世界観。しかも「女性富豪家」がいない設定でしょこれ?まあそんな偏った目線の映画でもありますが……その富裕層宅である富豪家が殺害される事件が発生。事件を担当するのは「猿の惑星」よりはまだマシかもしれない?チャールトン・ヘストン演じる警察官のソーン。殺人事件のあった現場品を「私物化」する貪欲な男。現場品ってのは「家具」も含まれてますから?もうやりたい放題だよー!でも口にしたことのないバーボンやら生野菜やら牛肉を自宅に持ち帰って使ったことのないナイフとフォークを使って……「あ〜なんて幸せなんだぁ!」と人生最高レストランの如く幸せを噛み締める姿はなんともコミカルかつ哀しくもある……



彼と同居する「友人」の老人ソルもまた先程の家具と同じ、あらゆる知識を持つインターネットのない時代の「生きたパソコン」、ソーンの良き相棒であり「家電」みたいな存在なのが面白い。(自家発電もするし?)本作の世界では無機質な「もの」のような役割を与えられた人間が登場する。そしてソイレント・グリーンがまさにその代表と言うか、、、、これ以上は言えません。



監督は「ミクロの決死隊」MAXじゃない方の「トラ・トラ・トラ」「レッドソニア」等、SFファンタジー戦争もの何でもござれな名匠リチャード・フライシャー。個人的にはディズニーシーの元ネタ「海底2万マイル」の監督だったんですか。ポスターに映るショベルカー(?)に群衆がまるでゴミのように回収されていく今作イチの衝撃シーンが終盤でちょこっと出るだけとか、インド人もビックリなソーンが職場放棄してまではじまる“唐突なメロドラマ”などツッコミどころは多いが環境破壊、食料問題、格差社会……2022年は問題が山積み?そして「ホーム」と呼ばれる老人の「安楽死制度」も既に導入済みって?玉置浩二じゃない方のベートーヴェンの「田園」と共に大自然の映像が映し出されてご臨終する。幸せなんだかヤバいんだか、これまた強烈なシーンですねぇ〜。(しかもエンドロールで追体験まで出来ちゃうよ!)ある意味“古さがない”ところに、一番の“恐怖”を感じる……そんな映画です。

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