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ロボット・ドリームズ(2023)


【原題】Robot Dreams

【監督】パブロ・ベルヘル

【出演】ドッグ、ロボット、ダッグほか

【あらすじ】

ニューヨーク、マンハッタン。深い孤独を抱えるドッグは自分の友人にするためにロボットを作り、友情を深めていく。夏になるとドッグとロボットは海水浴へ出かけるが、ロボットが錆びついて動けなくなってしまう。どうにかロボットを修理しようとするドッグだったが、海水浴場はロボットを置いたままシーズンオフで閉鎖され、2人は離ればなれになってしまう。(映画.COMより)







 
【感想(ネタバレなし)】

『ロボットはオズの魔法使いの夢を見るか』

 




問題「一度沼ると抜け出せないもの」ってなーんだ??



……正解は「ひとりしんぱち飲み」どーもラーチャえだまめです。ネギトロ90円生ビール150円とか輪廻転生してでも通い詰めたいそんなソロ活に精を出す方もたまには人と一緒に過ごしたい、、、、なんて思う人肌寂しい季節にさらに追い打ちをかける今日ご紹介する映画はコチラ



【ロボット・ドリームズ】…!!おやおや〜奇遇にもタイトルに“夢”のついた映画が2本上映されてますの〜。可愛い絵のロボットの見る夢か変なおじさんの出る夢か














どちらが“癒やされるか”って話ですよ





すまんなケイ……アニメーション作品は今年は「ルックバック」と「ダンダダン」くらいしか見ていない余程気にならないと見ないタチ、、、ひろしなんですが、今月8日に劇場公開されてから現在追加上映が続々決定済みの、シネマ界をジワジワ席巻しているという!?気になって拝見させて頂きました。いやー絵がとっても誰が見ても“優しい絵”って感じで、これはきっと「すみっコぐらし」的な癒し効果が期待できる……なんて思っていたら













あれ今日ドライアイかな……(泣)






 




OPから絶賛ひとりんぼのオレ、あいや“イヌくん”は!?常日頃より孤独な日々を送っていたがある時TVで“友達ロボット”の広告と“遭遇”して居ても立っても居られなくなり早速“注文”することに。



オッポ振って今か今かとロボットが届くのを待つ姿がもう可愛い可愛い可愛い!!本作は同名グラフィックノベル原作の“無声”映画……セリフもナレーションもなし。まさに“絵で語る”映画といいますか、セリフなしで登場“動物”たちの感情を表現している点がまず素晴らしい。それが今言ったオッポを振る行為だったり目や顔の微妙な動きや表情、これがねー“リアル”路線の絵じゃなくて手書きの絵本のようなカートゥーン風だから表現にある程度の限界があるはずなのに、ものすごく繊細に表現しているんですよねー。しかもその感情表現がそのまま“移入”にまでなってくる、まさにこのイヌくん=コンクリートジャングルを生きる全ての独身ヒューマンにぶっ刺さりまくってしまうのですアイタタタタタタ……



本作はスペイン・フランス合作、先ほど言った原作著者はアメリカ人作家サラ・バロン、監督はこれまで実写映画を手掛けてきたスペイン人のパブロ・ベルヘル、そして本作の舞台は80年代のアメリカ、ニューヨーク……とまぁその国籍は大変チグハグっていますが、可愛らしい動物の世界が舞台なのとセリフ・ナレーションの排除、これにより人種やお国柄のイメージそして言葉の壁を完全に撤廃し“誰もが平等に鑑賞できる”何の先入観も持たずに目の前の「物語」に集中させるのにとっても好都合というか、まぁ狙ってやってるんでしょうが“世界共通”の物語として観ることが出来る。そして誰もが抱える“孤独”“友情”を描き感情の“移入”これが余計な情報がないから自然にスッと出来てしまう。これが無声アニメーションの強みなのか。。。。



そんな無声となるとさらに重要になってくるのが劇中流れる「音」。その劇中流れる“音”にもこだわりを感じました!!まず“生活音”道路を走る自動車の音やメトロの環境音、セリフは聞こえないけど賑やかな街の音とか反対に誰もいない静けさなどなど……この音は“リアル”そのもの。さらに実在のロックやジャズ多種多様なミュージックが起用されているのですがこれが音響の良い劇場で最大限に大開花され!?私は渋谷ヒュートラのオデッサスクリーンでしたが、もう全身に浴びましたね!?メトロで演奏するタコドラマーのシーンは「セッション」ばりの迫力でした!!アニメーションだしスマホ片手に見れるような映画かと思いきや意外にも“劇場案件”すぎるという!?これは劇場でその真価を発揮する映画ですよ!!



そして劇場案件であると言えるもう一つの理由、それがまたしても先に言ったセリフの排除。これは無声映画の特徴と言うか“セリフでの説明がないから1.5倍速や飛ばして観ると内容が理解出来ない映画”なのです。ちゃんとOPからENDまで、ながら見せず画面に集中しなくてはならない環境に意図的に仕向けた、そしてその環境に一番適している場所はどこですか??



忙しい現代人にはゆっくり腰を据えて劇場で観てほしい。えなんで?アニメでしょ?私もはじめはそう思っていました。でもはじめに言った通り、とても可愛らしい絵のタッチに反して“内容はむしろ現実的”なんですよね。イヌくんがめっちゃ不器用だったり不公正さや不運だって現実にもあるじゃないですか。でも本作のテーマソングと言っていいアース・ウィンド・アンド・ファイアーの「セプテンバー」。皆さん一度は聴いたことがあるのではないでしょうか。いや〜この曲の使い方が上手いのよ!?歌詞の“覚えているかい?”がそのまま本作のテーマだし、愛しさと切なさと心強さと……ちょっと篠原涼子になっちゃいましたが(汗)でもエンディングはまさにこの3つの感情が入り乱れた、感動的でしたね〜!!個人的に最近ちょっと酒の量も増えてたんですけど、少しだけ心が浄化されました(いやホントに)心のデトックス効果アリアリYO〜!?見た後「セプテンバー」の鼻歌歌いながら帰る人続出してるでしょ!?そうまさにこのロボットみたいに……






 
【感想(ネタバレ)】




最初のロボットもそうだけど結局イヌくんの「買わないと友達作れない」設定が最高に現実チックなんだよなー。まぁ友達を買う、というのはちょっと語弊があるんだけど。リアル友達作りたくてスキーのオフ会みたいなの参加しても意地悪なアリクイ?にいじめられるわ公園で運命的な出会いしたダッグちゃんは「500日のサマー」ばりに向こうにとっちゃ運命じゃなかっただけの呆気ない終わり方で、イヌくんは待っていても“自然発生的に友達が出来ない”常に“孤独”が付きまとうのが、でもTHEリアル人生ライフ過ぎませんか?だから友達を“何かの対価として得る”という選択をせざるを得ないところがまたリアルじゃないですか?



でも本作は別にそんなことはどうでもよくて、むしろどんな方法でもいい「自分で自分の孤独を癒す」その術はなんだっていい、と非常に前向きな捉え方をしているのが本当に素敵なんですよね。それにちゃんとロボットとも「友情」を育んだわけだし……



そしてその友情が“ホンモノ”であるから、ロボットがクライマックスでイヌくんを偶然見つけても「会いに行かなかった」という結果に繋がったわけですよね。自分は会いたい、イヌくんも最初は喜んでくれるだろう、けどその後は?イヌくんと今の友達ロボットは?アライグマ叔父貴は?そしてイヌくんもきっとそのことで後で悩むんじゃないか?会ったことを後悔するかもしれない。自分だけじゃない、自分たちを取り巻く友人“たち”のことも考え、そして何よりも“代えがたいベストフレンド”のためを思い「アナタのことが大切だから“こそ”会わない」という選択。いやーこれはめっちゃ勇気のいることだと思うな〜!!元カノから連絡来ても会わないってことでしょ!?(何故そうなる)結婚した友達に気使ってコッチから連絡しないみたいな、そういうことでしょ!?でもってロボットがイヌくんと出会う夢を一瞬見るわけですよ。イヌくんと出会うのは夢だけに収めておこうと、ここがタイトルの「ロボット・ドリームズ」にまたかかってくると言いますか、ロボット=無機質的なものからは想像できない美しく温かみのある夢をコイツは見るわけですよ……



で最後にロボットが自分のカラダで「セプテンバー」流したらさ、偶然にもイヌくんも同じタイミングで体を動かしたり踊ったりするわけですよ?「セプテンバー」の曲がイヌくんとロボットを永遠に繋ぎ止めているのがわかる……「ラ・ラ・ランド」みたいですなー。別に繋ぎ止めるものってなんだっていいんですよ。「アイツ今何してんのかな……」そんな“もう会わない古き友人を思い出す”ような、だからこの映画は現在進行系でフレンドに囲まれているキッズティーンよりもむしろ友人と疎遠になり始めた以降の世代に向けられた映画なのかなとも思いましたねー。

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