プロジェクト・サイレンス(2023)
- ラーチャえだまめ
- 3月5日
- 読了時間: 5分

【原題】Project Silence
【監督】キム・テゴン
【出演】イ ソンギュン チュ・ジフン キム・ヒウォンほか
【あらすじ】
留学に旅立つ娘を空港へ送るため、海に囲まれた空港へと通じる大橋を渡っていた国家安保室の行政官ジョンウォンは、濃霧による激しい玉突き事故に巻き込まれてしまう。さらにタンクローリーの横転により有毒ガスが蔓延し、電波の喪失で通信障害が発生、救助のヘリコプターも墜落してしまい、その爆発の影響で橋は崩落の危機に陥る。橋の上では116人が孤立状態となるが、そんな最悪な状況の中、国家機密計画「プロジェクト・サイレンス」のために生み出された軍事実験体「エコー」が脱走したことが判明し……。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『……うるさッ』
授業中に前に座る知らない生徒が後ろに振り向いてきて私に話しかけるわけでもなくただ静かにぼーと後ろを見続けた結果先生にソイツと一緒に叱られましたラーチャえだまめです。……そういう実験?そんなわけで早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました

【プロジェクト・サイレンス】!!!霧の中のソ〜ウル〜♫……間違えた今日一日最悪だった方もこれから最悪な日を控える方も「上には上がいる」byクワイガンの教えの通りマンホールに落ちてハッシュなんぞつけてる余裕すらない韓国発、トンデモクライシスな“ブリッジ・ディザスターMOVIE”が凱旋到来。今作は2年前の2023製でありながらつい先月韓国中部で建設中の橋崩落事故が起きたばかりという公開タイミングもこれまた最悪なんでありますが……本作は現実とは違い安心安定の「絶体絶命」。人と観に行く予定だったのであまり期待していなかったのですが、なかなか“セオリー通りのジャンル映画”として面白かったんですねぇー。
その日“偶然”にもソウルの夜一帯を深い霧が覆い海をまたぐ大橋も視界ゼロの最悪な環境の最中、これまた偶然橋を爆走する迷惑ドライバーにより玉突き事件が発生。何十台も車を“ホントに玉突きさせてる”ってのが地味に凄い。逃げ惑う人々そっちのけで横転したトラックがトドメの一撃とばかりにさらにぶつかって、ズズズーと一気に車同士を押し上げていく……あれなんか急に

最近海物語のメダルゲームやってないなー
これもCG使ってないんですね。いやもうこの時点で“割とお腹いっぱい”今作は日本でもヒットした「新感染」のスタッフが関わっているということで?次から次へと雪崩式にパニックスイッチ発動という飽きのこない展開。そこへですよ、またまた“偶然”その時橋の上を走行中の軍のトラックから凶暴な「ナニカ」が脱走して……で最終的に“偶然橋も崩壊”

もう最悪すぎて笑うしかなっ…ファァァー!!(笑)
その橋にこれまた偶然休暇中のオフってた“大統領側近”がいたんですね!!頭が冴えなきゃ大統領の右腕は務まらんぜよ!(なんで土佐弁?)とばかりに最悪の状況下でも冷静沈着に被害の把握と“ナニカ”を移送中の兵隊にも“権力”ゴリ押しで事の真相を突き止めようとしたり、職権乱用して大統領に直電ならぬ“直無線”すりゃどうにもなるじゃん終了ー。これは強い。演じるは「パラサイト」「最後まで行く」のイ・ソンギュン。以前「スリープ」というスリラー映画を劇場で見てオトボケ俳優役をコミカルに演じておりましたが今回は一人娘を育てる堅物官僚役。ちょうど顔も覚えられてきたってのに2年前に他界。今作が遺作だったとは……。

その官僚の周りに偶然集いし生存者たち。事故前のガソスタで偶然揉めたレッカー車のドライバーがどんな車も動かせる万能スペアキーチラつかせればコイツ絶対また出てくるじゃんとなるし、ゴルフプレイヤーが出れば絶対ゴルフクラブ武器に振り回す人じゃんと(そして実際そうなる)ソンゲバソナなミラクルジョブ持ったパーティメンバーによる群像劇は全くリアルではないし非常にご都合がケイン良すぎな所は“ありきたり”と喝を入れたくもなるかもしれません。
しかし逆に「もう皆さんこの先どうなるかわかりますよね?」と“お決まり”の展開だからこそ安心して見れるというか、作家性出したくて既定路線から変に脱線させるイミフ展開じゃなくてしっかり既定路線で楽しませてくれるというか??パニック映画として、このわざとらしさはそりゃ狙ってやってるでしょと腑に落ちるし、むしろ大地真央……間違えた「愛」を感じましたね。これでいいんですよ感。
予告では伏せられてるっぽいネタバレ厳禁?“ナニカ”の正体。いやもっとSFチックなものかと思っていたが廃棄物・ゾンビときて次は◯◯◯ですか…?こちらは全てフルCGで若干のチャチさはあるもののまぁ許容範囲内。本作のタイトル“プロジェクト・サイレンス”とはこの“ナニカ”の実験のことで(深い霧の中に潜みながら静かにジリジリと人間に近寄ってきて一瞬で襲いかかる習性)ドンパチばかりの本作のテーマとはあまり合っていない。宣伝では伏せられているものの本編では序盤にあっさり正体がわかるので「ミスト」のようなミステリー要素もない。いやそこだけリアル設定かよ!!

ちなみに作った科学者の男がポン・ジュノ監督に激似なのはもう確信犯すぎる。そして性格がう◯こレベルに終わってるという、、、、群像劇ゆえにみんながみんないいヤツではない。それは官僚の男も。娘への愛情はあるがはじめは他人そっちのけで逃げようとする「これだから役人は…」の悪い面が見えるのが良い(そこを娘に叱られ他人との接し方、娘との絆も修復していくわけで)官僚の成長ぶりもわかるし、人と人との繋がりが生存率をあげるディザスター映画として実に真っ当な“共生”がテーマ。他にも権威・金・政治、、、、と「人命」が天秤にかけられるこれまたディザスターでよくあるシーンが目立つ。特に人命そっちのけで事件を隠蔽しようとする“政治的判断”とやらのアホらしさをよく描いておりますね。堅物政人の裏の顔が暴かれるスカッとコリアン。どこの国も政治は真っ黒クロスケってか…?
総じて骨の髄までハラハラ展開で楽しませてくれる安定のポプコーンMOVIEとしてカップルや友人同士で見るには非常に盛り上がれる映画かもしれません!?
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