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サクッとレビューその32「ポゼッション」


『大事な話中にミートすな』

 
【サクッとレビュー(ネタバレなし)】




どーもどーも健康志向で醤油スプレーを小松菜のおひたしにプッシュしたら上のカツオ節が吹き飛んじまったよ畜生おおおおおおー!!!!……本日はそんな奥様の“絶叫タイム”が長すぎて近所から









本気で通報されるかとタ◯キンがヒヤッた





【ポゼッション】…!!!いやーなぜもっと早く観なかったのか、。70年代〜80年代初期のアメリカンじゃないヨーロッパホラー、アルジェントにしろルチオ・フルチにしろ全体的に「古臭い」と一刀両断するくらい全然刺さらなくって。だから81年にフランスと西ドイツ合作の本作も、とっても地味なイメージを勝手に持って拒絶していたんですけども……



「すんごい“斬新”」。映像は確かに古臭いですよ、でも物語と“カメラワーク”がもうとにかく22世紀(…行き過ぎた)令和新選組みたいな古いけど全然新しいみたいな!?(あってんのコレ?)第一テイスティングはそんな“前衛的”だなーという印象、というか“ナンチュウ”世界観!?こんなにカオスヘッドな映画とは思ってもいませんでした……汗最近見つけた近所の廃盤在庫アリストテレスな超貴重TSUTAYAの「ドラマ」棚に置いてあってジャンルも知らぬ状態で見たのが功を奏したのか



初っ端から幼い息子そっちのけで口論勃発しまくりの超キレイなんだけどカンヌでパパラッチのカメラをぶっ壊した逸話もある私生活でもキレやすいフランスの至宝イザベル・アジャーニ演じる“アンナ”とよく見たら“若い時の恐竜博士”だったサム・ニール演じる夫の“マルク”。夫婦のもつれ、というか9:1でマルクが悪いんとちゃう?そりゃあ仕事から帰ってこない息子の面倒も見ない家事全般やらないダメ夫なら美しい妻は“浮気”でもなんでもして家から飛び出したくもなりますわな!?夫婦間から生じた亀裂。昔も今も変わらない現代でも通じる問題。全く古臭くない。でもなんかもうエスカレートし過ぎて完全に“アタマがイカれちゃってる”アンナ、いやーイザベル・アジャーニの完全に憑依した“怪演”とはまさにこのこと










オ〜オ〜、さぁ発狂して踊ろぉ〜♪




ラララララ~♪すぐにわか……わかんねえわ!!みなさんリモコンを握りしめましょうそしていつでもボリュームを下げれる準備をするのです!?私の代わりに今年1年分のストレスでもぶっ放して下さったのかと思うくらい自宅のみならず市街地の誰もいない地下鉄で牛乳ぶん回しながらまるで“何かに取り憑かれた”ように異様なまでに発狂しながら狂って舞う。こんなに発狂するニンゲンを映画で見たことあっただろうか!?本作イチ印象に残るあまりの感極まる発狂に思わず笑みがこぼれてしまう。今作イチ衝撃的シーンかつもうお腹いっぱい。こんな“ニンゲンやめちゃった”奥さんだったら余生は恐竜の化石にのめり込む気持ちもわからんでもない



……ってそういやアンタも「マウス・オブ・マッドネス」や「イベント・ホライゾン」で変なオジサン演じたサム・ニールも幾分イカれてるわ!?「夫婦揃って狂人」ってのがなかなか珍しくないですか?まあ夫のマルクがイカレる理由がアンナが「何故自分から離れようとするのかが理解できないから」なんですけど(え、あんなにDV振るっといて?)今作の監督アンジェイ・ズラウスキーが私生活で奥さんに浮気され作中にある「女性が男性を裏切る」「不幸な子どもがいる」って要素はまんま“実体験”から着想を得たらしいのよ。まぁでもさ、まず女性に裏切られたと思う時点で?実は裏切ったんじゃなくて夫の“所有物からの開放”なんじゃないかと。そして本作はそれがテーマだと思うんですよねー。



あとカメラワークも斬新、というか演者の動きに「長回し」でずっとついていく、からの突然のトラック横転のアクションシーンとか、米国とは違ったヨーロピアンな建造物が「インセプション」みたいに無限に並んでるのかってくらい先が見えなくて、高くそびえ立つ建物をより強調させる為にポツンと演者を小さく映す引きの構図で“威圧感”と“幻想感”を醸し出す、コゴナダ監督じゃなくても全国の建造物ファンは必見かもしれません??



…そんな具合でずっとこの2人の想像を絶する“ヒートアップする夫婦ゲンカ”かと思ったら「前半と後半でガラリと“ジャンル”そのものが変わる」まさに“ジャンル不明”と言っても過言ではない??詳しくは書きませんが「ええー醤油ことぉー!?」個人的にはこれまた「大当たり」。なんでも日本の葛飾北斎の絵をネタにしたらしい描写もあり(どゆこと?)これがかなりグロテクスかつ美しい。突然デヴィッド・クローネンバーグやブライアン・ユズナ系の「ボディホラー」になるんですよ。ただ81年製と思えないエラくクオリティ高くないか!?そんなショッキングな展開に当事者の心情をそのまま音で表現するかのような激しいBGMが被さり、さらにおどろおどろしさに磨きがかかっている。



アンナを尾行する探偵が全然忍ぶ気ゼロカロリーだの「疫病があるから神を信じるのさ」とカッコつける「不倫は文化」系出来の悪い息子の「僕の博愛主義」は理解する気も失せるレベルで意外とコメディ要素も多いのですが、「肉体は魂を入れる器である」という理念を持った監督なので(?)正直表現内容は難しいし宗教的なメタファーもアリストテレスなのに一切説明はなくアンナと瓜二つ(というか一人二役)な小学校の教員とかラストの意味とかもっと考察……したいけどここでお時間が来てしまいましたッ!!時折西と東を隔てる壁にいる兵士から部屋を覗かれる、向こうからまるで“占有”されているような、ただでさえ何も起きなくても不穏でピりついた空気感が漂う中、怒り狂った夫婦と次元を超えた世界……独特な世界観が中毒性を生み「なんかよくわからんけど凄かった」とその衝撃の高さに今観ても身震いしてしまう映画でした…!!

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