Kfc(2017)
- ラーチャえだまめ
- 2024年7月24日
- 読了時間: 6分

【原題】Kfc
【監督】レ・ビン・ザン
【出演】グエン・トニー タ・クアン・チエン ホアン・バー・ソンほか
【あらすじ】
ベトナム・ハノイを舞台に救急車で人間狩りにいそしむ医師、人肉中毒のその息子、 医者の犠牲になった売春婦の娘らが狂気と復讐の連鎖に陥いっていく様を、容赦ないゴア描写と共に描いた衝撃のカニバルリベンジ・ホラー。
【感想(ネタバレなし)】

『ペプシとコーラ、割って飲んだら理解できるってホント?』
どーもどーも昔「某フライドチキン店」が大量の鳥を仕入れるのに品種改良した4本脚の鳥を育てている……なんて都市伝説が流行りましたが??そんなイメージダウンなどこれに比べれば屁でもないカーネルサンダースも風評被害で墓場から蘇るレベルの“残虐記念パック”すぎる
【Kfc】!!!はいアウトー!!!誰がどう読んでもケンタッキーフライドチ……それともカニバルフ〇ッキンチョリソーの略だとでも言うのかい?これは言い逃れ出来ない、否せめて宣伝の相乗効果にさえなっていれば良いのですが……本作は「ベトナムで未だ公開禁止のR18グロテクスホラー」……あ、無理だわ
というわけでみんな大好き「カニバルホラー」!!??これがデビュー作のレ・ビン・ザン監督は元々大学の卒業制作として作った本作を理由に大学から「停学処分」を受けた模様……教養にカニバルは勝てなかったか…否!この日は夜にゴリラゲウ雨予報でしたが(そして上映後ピッタシに直撃)「カニバル」「R18」の餌に釣られた猛者共でごった返す劇場入口を見て改めて“食人”への注目度の高さが伺えたわけでありますが……

理解が追いつかないよドラえも〜ん泣
グッシャグッシャグッシャ……大柄の男を中華包丁のような刃物で思いっきり切り刻む「音」からはじまるOPクレジット。いやーこれは「関心領域」の次に劇場案件かもしれませんよ??てかOPからモロ「KFCの帽子と制服を着た女性が某チキン店で閉店作業に勤しむ」もう隠す気すらないじゃない!?ヴィゴ・モーテンセンも流石に右フックのアップをはじめましt……物語はとあるカップルが2ケツしながら帰宅中、個人救急車(?)と事故って意識不明の重体になってしまうのですが、なんとその救急車から降りてきた男に2人はそのまま拉致られてしまうという2人のクリスマスは今年はやってきませんでしたか〜残念!!ところ変わってズッコケ三人組の物語にシフトしていき…?

18禁「カニバリズム」を謳い文句にしている割には?作中のゴアゴアシーンは実はそんなに多くはない。まあ少ない手出しのその一つ一つが強烈ではあるのですが…。予算のほぼ全て特殊メイクに費やしたのか低予算でもゴア描写はなかなか頑張っている。特に「タン」がよく出ます。あと「脇毛」ハイこれテストに出るよー。
ちなみに「フュリオサ」でもあった傷口にウジ虫塗る件はですね、ウジ虫は腐った肉だけ食べてくれるからドクターフィッシュ並に傷口を「清潔」に保ってくれるという、つまりはあれは「武士の情け」シーンだなんですよ皆さんー!?とまあ監督自身も前提にまずグロがあったのではなく「人間の生活を描こうとしたら結果グロになった」と言っているようで。まさしく本作のテーマはグロホラー、というよりベトナムの「“日常”を生きる人間の恐ろしさ」これだと思いましたね。普段は人通りのあって夜になると人気がなくなる場所、少し路地に入った場所、そんな身近な場所でとんでもねえ「非道」な行為が「平然」と行われている恐怖、また生まれた環境によっては同族である人間をフライヤーで揚がった鶏肉と同じ感覚で貪り食うことのできる恐ろしさ?そういった人間の怖さを描いたヒューマンだなぁ〜映画だと思いました!!
また迫力あるカメラワークで不良の抗争、子役同士が殴り合い街中で逃走中……アクションシーンが多いのが意外でしたが、これも日常的に存在する「暴力」を強調している。同時にベトナムという国の恐ろしさも感じましたねぇ……。

故に「人間ドラマ」が実は主軸にあって、ある一人の男の「愛と復讐の物語」という!?キワモノだけが売りのストーリー皆無なアトラクション的映画とは打って変わって、意外にも熱いドラマが用意されている。がそれが「あまりにもワケワカメ」過ぎて意味不明、という!?登場人物の名前はおろか相互関係も不明のまま話は進み、段々と見ているうちにどうやら本作が「現在と過去」二つの時系列を交互に重ねた重箱映画だったことにようやく気づく……。
無駄なシーンも正直多く、時より実験的に「こういう画を試したかった」だけに思えるシーンが大学の自主制作映画みたいで愛着さえ湧いてしまう。そんな「作者のオ◯ニー映画」と一言で言ってしまえばそれまでだが、にしても物語を理解させる上での「最低限の説明」?それはちょっと欲しかったかな。けど「2、3巡目くらいしてようやく物語の全体像が掴めたらめっさ面白くなるのでは?」というとんでもないスルメ映画の可能性も秘めていると思います!!
あと何度も登場するフランドチキン!!やっぱありゃ魔物だよ!?食欲減退するかと思ったら風評被害の筈が結果的に「ケンタッキーって美味いよね」の感想を抱いて終わるという??もしや黙認してい……
というわけで結果的に帰りにKFCを買って帰ろうという欲に駆られるもレイト1本のみで上映後は買って帰れないから仕方なく己の腕をかじるえだであった……
↓【感想(ネタバレあり)】でストーリーの解説↓
【感想(ネタバレ・考察)】
ジッポ少年→青年で「もしや…?」と思ったが、まんじゅうくんの「ペプシとコーラの発言」ではっきりと本作が「過去」と「現在」を交互に描いていたことにようやく気付きました…。

ラスト、トラファルガーローにイメチェンした“Mrヘッドフォン”がケンタをお供えした後、コーラを飲もうとしてうえ〜って吐き出したら、カップの中に舌が入っていてそれをムシャムシャするシーン。あの舌は「自分」の舌だったのでは?(変色していたからホルマリン漬けで保存されていたとか)おそらく過去編で医者と共謀していた目玉のオヤジが?死んだMrヘッドフォンの彼女の命日を知っていて、その命日にKFCを彼女の住んでいた住所に届けた→そこに住んでいるMrヘッドフォンが送り人である目玉のオヤジの住所を特定→家族団らんのすき焼きパーティ中にピンポーン……そんなオチだったのではないでしょうか。目玉のオヤジはMrヘッドフォンが生きているのを知っていて、彼女が生前働いていた“KFC”と彼の“舌”を送り付けることで、挑発行為に及んだとも考えられる。Mrヘッドフォンが自分の“舌”を噛みしめながら涙を浮かばせるあの表情は、ようやく最後の生き残りの居所を掴み彼女の無念を晴らすことができる、という復讐に燃える顔か…??
そう考えると帰ってきた自分の舌を食べてるだけですから?ラストシーンは実は食人行為ではない。てかMrヘッドフォンは唯一?タバコの根性焼きはしても人肉は食してない“正常”な人間として描かれているわけ。でもジッポ青年を火だるまにしたのって誰だっけ?あれはまんじゅうくんだったわ……
てかあの仲違いした3人は、正直なところ“あまり本筋とは無関係では?”Mrヘッドフォンが彼らとつるむ理由はあっても、彼らのドラマはそもそも必要だったか?話をややこしくしている原因でもあるし(監督が意図して難解にしているなら別だが)Mrヘッドフォンにだけスポットを当ててもう少し壮大に復讐するシーンなんかをやってくれたら、かなりスッキリして見やすくて初見殺しも回避できたのかなと…。上でも書きましたが、これは舌を噛めば噛むほど味が出る“スルメ映画”の部類。期待していたのはちょっと違ったかな!とそっぽを向こうとして解説なんかで物語を紐解いてみたら、後からジワる……なんとも憎むにも憎めない映画ですねぇー。
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