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アンデッド 愛しき者の不在(2024)


【原題】Handtering av udode

【監督】テア・ビスタンダル

【出演】レナーテ・レインスヴェ アンデルシュ・ダニエルセン・リー ビヨーン・スンクェストほか

【あらすじ】

現代のオスロ。最愛の息子を亡くしたばかりのアナとその父マーラーは、悲しみに暮れる日々を送っていた。そんな中、墓地で小さな音を聞いたマーラーは墓を掘り起こし、孫の身体を家に連れて帰る。うつ状態だったアナは生気を取り戻し、人目につかない山荘に親子で隠れ住むようになるが、還ってきた息子は瞬きや呼吸はするものの全く言葉を発しない。やがて、招かれざる訪問者が山荘にやって来る。同じ頃、別の家族にも悲劇と歓喜が訪れていた。(映画.COMより)



 
【感想(ネタバレなし)】

『残酷なまでに「ゾンビ」。』

 




どーもどーもラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きましたー



【アンデッド/愛しき者の不在】!!!いやー未体験ゾーンの裏で似たような映画が公開されてると思ったら冬の日本にピッタリの?ノルウェー・スウェーデン・ギリシャ合作の“北欧ホラー”最新作。寒々しいヨーロッパの景色とそこに住む住人たちの“晴れない”感情がリンクしたような曇り空のモヤッと感がなんとも独特な美しさを醸し出す、今でこそ北欧ホラーという一つのジャンル映画のように売り文句にも使われ映画ファンなら「ああなるほどああいう感じか」とイメージできる程の認知度ですが、本作はその日本の北欧ブームの火付け役とも言える「ぼくのエリ」「ボーダー」で原作脚本を手がけたヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストの最新作、ということで??なんとなく両者に似た雰囲気の映画なのかなと、そうなると“アンデッド”なんてB級ゾンビ映画みたいなタイトルつけたら勘違いする観客が続出してしまうのではないか“美しい北欧ホラー”でしょとか思ったら











割と普通に「ゾンビ」映画でした…。





 




いやーこれは終始鬱映画ならぬ「鬱ゾンビ」ってか…!?OPから暗転のまま讃美歌流れちゃって深い悲しみと喪失感を抱えながら屍のように生きる、ある3組の“当事者”たち……て暗すぎるわ!!しかもしばらくセリフがなくて我々は彼らの行動や画面に映る情報からなんとなく状況を理解していくのだけれど



老人が同じアパートに住んでるけど別居している一回り若い女性の部屋に入って、床に転がったクマの人形をソファに戻す仕草を見てですよ、老人と女性は親子でクマの人形は娘の子ども、つまり孫のものなのだろうな。でも見た感じ孫の姿はない→きっともう既に亡くなっている、だから二人はずっと親子なのに会話もせず暗い顔しながら生きてるんだ……とわかるわけです。本作は様々なカタチで“愛する人”を失った、残された人の“ありのままの状況”をセリフを使わずに見せることでリアリティを追求。また1組ではなく異なる年代、境遇、そして家族構成の異なる3組にわけて我々視聴者がその中で誰か一人にでも感情移入できるような、“重なる”ようにしたかったのだそう。それだけ本作はスーパーナチュラルな展開に反してより身近に、現実的なものとして受け取って欲しいという思いを感じました。まぁ“死”というものは誰にとっても身近なものですからね…。



そこへある時何の因果か突然神様が思いついたように電気ショックならぬロメロアタック改め“電波ショック”!!を街中に放ったことで?棺に眠るホントの屍(=アンデッド)達が一斉に目覚めてしまうという!?中には本編開始時はまだ生きている者もいてですね、妻が事故で亡くなってすぐ復活……旦那としちゃあもう気持ちの整理がつきません。え、亡くなったの!?でまた生き返ったの!?死んではいないんだよね…??アンデッドとなりて死から復活した愛する人。ただ彼らは姿カタチは同じでも中身は“あの頃”とは違う。何かが決定的に違う。特に今言った妻なんて生前と復活後の“違い”が観客にも明確にわかるようにしている親切設計。違うとはわかっている、わかっているのだけれど



「それでもアナタは“再び愛せますか”?」いやー中身が違っていてもそれでも愛する人の姿カタチしてればですよ、まずは全力で“愛そうとする”のが人間の性といいますか、人間は“「違う」と本能ではわかっていてもその本能を無視してまで愛そうとする”まさに“愛に囚われる”生き物だよな…と思えちゃう。でそんな囚われて幸せになれるのか



早い話が「たとえ死した人が蘇っても誰も幸せにはなれません」って話。これをメチャクチャ丁寧に時間をかけて見せる映画。先ほども言ったセリフではなく映像で“魅せる”映画なのでとにかくその映像に関しては、カメラアングルとか毎シーンこだわり様が凄くて、どのシーンを切り取ってもポストカードにして売る気かよ!ってくらい美しい。ただコレだけのテーマにしてはちょっと丁寧すぎるかな〜。全体的に引き伸ばしてる感も歪めませんでした。これまで死体の山ほど量産されてきたゾンビ映画で、本作のようなゾンビになっても愛し続けるか否かをテーマにした映画って「ありそうでなかった」のか?いや似たような映画あるんじゃないか??例えば「ペット・セメタリー」……ってくらい、決して新しいことをやっているわけではないので新鮮味を感じず、またこれといった捻りもなく大体予想通りの展開なので意外性もない。だからテンポの遅さが悪目立ちする形で正直「このままスローペースで最後まで尺足りるんだろうか…?」変なところでブツ切りして突然THE ENDって出して逃げ終わりはしないよな〜、なんて不安させ感じてしまいました。まあ一応キリよくは終わりはするんだけど。無駄とまでは言いませんが全体的に余白が多いと言うか、雰囲気作りのためにその余白が、リズムが逆に大事なんだよという感想もわかるんですけどねー。私にはちょっと退屈に感じてしまいました。



あと普通に人肉喰うし??最後のほうに出る腐ったゾンビはまさに…って感じで、ロメロ等のゾンビ映画のオマージュは結構強めだなーと思いました。あれ、意外とこれちゃんとしたゾンビ映画じゃんっていう…。これをハリウッドがやったらドーンパチ映画になるところ、北欧が撮るとやっぱ全然違う映画になるんだな〜と思いましたねぇ。

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