【原題】Furiosa: A Mad Max Saga
【監督】ジョージ・ミラー
【出演】アニャ・テイラー=ジョイ クリス・ヘムズワース トム・バークほか
【あらすじ】
世界の崩壊から45年。暴君ディメンタス将軍の率いるバイカー軍団の手に落ち、故郷や家族、すべてを奪われたフュリオサは、ディメンタス将軍と鉄壁の要塞を牛耳るイモータン・ジョーが土地の覇権を争う、狂気に満ちた世界と対峙することになる。狂ったものだけが生き残れる過酷な世界で、フュリオサは復讐のため、そして故郷に帰るため、人生を懸けて修羅の道を歩む。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】
『今回はアクション“控えめ”(これでも?)』
どーもどーもラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました
V8を讃えよ!!!マッドマァーーーーーックス!!!先日池袋のグラシネで初日に堪能させて頂いた【マッドマックス フュリオサ】!!!いやー9年の月日はあまりにも長かった。オーストラリアがヴァイオレンスでMADだった時代に生まれた「マッドマックス」シリーズ。日本でも社会現象になった前作、2015年に公開されたシリーズ4作目「怒りのデスロード」で主人公マックスと“ごぶごぶ”の活躍を見せたセロン姉さん演じる女戦士“フュリオサ”の前日譚を描いたという、てっきりストシンのミリボブがそのままスキンヘッドで演じるのかと思ったら砂ぼこりと油汚れとは一生縁がなさそうな妖精アニャ・テイラー=ジョイ嬢が!?若き日のフュリオサを演じるということで……監督は前作に引き続き“舐めてたお爺さんがMAXでした”でおなじみジョージ・ミラー。ほか“俺様神様”まで出演しているとは、ということで早速OPからた、大変だぁ〜!!!
セリフがあるぞおおおおおお!?
今作は、、、、、あえて言わせて下さい。
「アクション映画」と思わないで下さい。
今作はタイトルの「サーガ」にある通り?フュリオサの想像を絶する「下済み時代」を描いた「ヒストリー映画」だったんですねー。いやー今回めちゃくちゃ「語る」じゃん!?前作「怒りのデスロード」はニワトリ脳でもわかる「行って帰る」だけのシンプルなストーリー、かつたった数日間の出来事でその「瞬間」瞬間で起きる展開を怒涛のアクションでブイブイいわせていた、そんなイメージでしたが…??
今作はフュリオサの幼少期〜成人期の実に長きに渡る旅路を全5章の「章立てて」描いております。感覚的にはミラー監督が直近で撮った「アラビアンナイト」にむしろ作風が近いかもしれません?物語は各章ごとにタイトルがつけられ区切られる。これがOPからほぼずっとアクセルベタ踏みで展開される「エンドレスアクション」だった前作との「大きな違い。」
はっきり言うと前半〜中盤までは派手なアクションもない。なんなら主演のアニャ様すら出ません。フュリオサの幼少期はなんとなく肌感覚ですが劇場内は「う、うーん?こんな筈では??」みたいな、ちょっと動揺した雰囲気が漂っていたというか……前作では考えられなかった「ダラダラ感」を少し感じてしまいました。中盤〜後半でアニャ様が登場してからは盛り上がりを見せるものの、本作を見た方ならばきっと皆同じ感想を抱くのではないでしょうか。
「今回はアクションメインではない。」と
これが?最も賛否両論別れるんじゃないですかね?前作の途切れなきアクションの雨を身体全身で浴びたい層には「物足りなさ」は避けられないでしょう。しかしこれは監督のミラーが当然「狙った方向転換」。ミラー監督は前作「怒りのデスロード」の「マネごと」だけは避けた感じです。それだけ前作がシリーズとはいえ1本の映画として完成され尽くされた作品で、自身の予想を遥かに超える記録的大ヒットを打ち出した前作を「超えよう」とはせず、今作のエンドクレジットを見てもわかりますが、むしろ前作を「もっと楽しめるように」補完作品として作ったのが本作なのです。
ですから本作を見るときっと前作を見たくなるはず。フュリオサだけではない前作で語られなかったいくつもの「ヒストリー」が今作で「語られる」から。
前作から登場するイモータン・ジョーや童子系きんにくんに地獄の指揮奏者、腐ったデカ鼻ビーチクの愉快な家族たちにもスポットを当て、フュリオサを通して彼らの住処である岩の要塞「シタデル」の「内部事情」も描かれます。前作では物語のスタート地点でありゴール地点でもあった「シタデル」、そしてほぼ名前だけだった「ガスタウン」等、より世界観の広がりを堪能できる。
そのイモータンやウォーボーイズといった強烈なインパクトある前作キャラを前にして、彼らと対等できるだけの強烈な爪痕を残せるか少し不安だったクリス・ヘムズワースが付け鼻つけてまで演じたnewキャラクター、「認知症」の異名をもつ「ディメンタス将軍」。実はゲーム版「マッドマックス」やコミック版で既に名前が出ていたらしいですが、いやー初登場から見た目以上に「ヤバい人」で、ちょっとイモータンとはまた違うサイコパスなキャラクターでした。彼が考えつくエンタメチックな「拷問」はまるでホラー映画を見ているかのような恐怖すら覚える。今作はイメージで言うと前作より「陰険」。そんな前作にはなかった「ホラー要素」があるところもポイントです。
またこのディメンタスのヒストリーも同時に描かれていると言いますか?今作の「裏主人公」は間違いなく彼。地元のヤンキー集団の総長が政界に進出して成り上がるみたいな?クライマックスのフュリオサとの対等シーンはインパクトに残ると同時に、彼にもフュリオサに出会うまでに色んなことがあったんだろなー。と感じさせる。まさにダークサイドに堕ちたソー、、、、次回作はディメンタスのヒストリーもどうですか?そんな気分にさせてくれるってことは、雷神から脱却したかったクリヘムの完全勝利か?
おそらく2回目の方が楽しめると思います。公開されてしばらく経ってから再評価されるタイプの映画なんじゃですかね?ちなみにパンフレットは余計な評論家や著名人のコメントを全カットしたキャスト監督その他制作スタッフの濃ゆいコメントでびっしり埋め尽くされている超満足仕様ゆえ、本作の虜になった方は購入をオヌヌメしたします!
【感想(ネタバレ)】
前作でフュリオサが会ったばかりのマックスを何故味方に引き入れたのか、その理由が今回なんとなくわかったような気が。ジャック=マックスに見えたわけだよね。卓越したドライバーテクに「俺が行きたい場所に連れて行ってやる」なんて甲斐アリストテレスなセリフをフュリオサに言うナイスガイなジャック。格好もマックスに似てるしフュリオサが唯一家族や同胞以外で心を開いたのが彼だった。しかしMADな世界にロマンスはご法度、今回もフュリオサと結ばれる前にワンコの餌となる最期は悲惨そのものでした……。ちなみにマックスも劇中ちょこっとだけ出てましたね。
ガスタウンの経営も民衆を束ねることも出来ないディメンタスと違い、ディメンタスとの交渉時にフュリオサと前作にも登場する医者の2人を交換条件にする、先見の目を持ったシタデルを統治する「経営者」としての腕前も、ウォーボーイズを心底屈服させ意のままに操る「カリスマ性」も窺えるイモータンの見方が今回少し変わったという方も多いのではないでしょうか?
フュリオサは「私を覚えてる?」の決め台詞でディメンタスやイモータンを倒してるのよね。この台詞だけでフュリオサが女性を見下し支配欲の塊である両者に対して、並々ならぬ怒りと憎しみを抱き続けていたのがわかる。お前らおち◯ぽ野郎には女なんて皆同じ顔に見えるだろう自分の子孫繁栄の道具でしかないのだろう、その「復讐心」がこのセリフに込められているように感じました。
「怒りのデスロード」ではそんな性奴隷の女性達を腐った野郎から解放し楽園に導こうとするフュリオサの姿が描かれますが、今作でも既にその決心はついており「緑の地を目指す」ことが彼女の長年の使命であったことがわかる。それを知った上で前作を見ると、その「緑の地」が汚染され完全に消え去った絶望感、砂漠の上で崩れ落ち泣き叫ぶ姿がより一層重たいものに目に映りますねぇー。
シタデルを潤す緑の根源がディメンタスの男根だったとは……いやその木で育ったリンゴとか食べれます!?いやまさか「緑の地」に生えた木々も?もしかしたらあの土地の下はたくさんの男の死体で埋め尽くされていたとか!?これこそ「孕ませる」側が「孕ませられる」側へ、前作から描かれた「男性へのリベンジ」の集大成??
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