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邪悪なるもの(2023)


【原題】Cuando acecha la maldad

【監督】デミアン・ルグナ

【出演】ロドリゲス エセキエル エミリオ・ボダノビッチ デミアン・サロモンほか

【あらすじ】

悪魔に魂を乗っ取られて身体が腐敗する「悪魔憑き」の存在が、人々の生活に暗い影を落としている世界。悪魔憑きは処理人によって適切に処理されなければならず、古くから伝わる7つのルールを守らなければ、悪魔の力が伝染病のように広がって世界は終わりを迎えるという。ある日、ペドロとジミーの兄弟は村外れで変死体を発見し、さらに近隣の住民が家族に出た悪魔憑きを隠していることに気づく。兄弟は7つのルールに従って対処しようとするが、伝承を信じない人々の無謀な行動によってタブーが犯され、周囲は悪魔憑きで溢れかえってしまう。(映画.COMより)

 
【感想(ネタバレなし)】

『スーパーラテンブラザーズvs鬼畜悪魔』

 




どーもどーも最近フジテレビをよく見ますラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました



【邪悪なるもの】!!!1月から怒涛のホラー映画ラッシュが止まらない!?今度は某トメェイトォメーターで96フレッシュを獲得、というシネマファンには有益な情報でも?本日は1日につき、しかし“こんな映画”でも9割近く埋まるなんてことあるんですかい…汗とミニシアター系でひっそり公開されてそうなB級ホラー感アリストテレスなんでありますが……シネコンでも現在公開中のコチラ



公式の「神なき世界で悪魔憑き」の語呂ゴロゴの滑らかさでもわかる序盤からスイスイ滑らかに話が進む「テンポの良さ」。さらに「斜め上をいく非情なヴァイオレンス描写」が展開!?「お、これは意外な掘り出し物か??」と、アルゼンチンタンゴばりに心踊られたホラー映画、だったんですねー。





 




村に住む配管工だと嬉しい兄“ペドロ”と弟“ジミー”が自宅近くで見るも無惨な“変死体”を発見したかと思えば?近隣住民が“悪魔憑き”と呼ばれる感染症?のようなものに侵された家族を実に1年以上も村に隠していたことを知る。ゾンビゲーにいそうなブヨブヨに膨れ上がった悪魔憑き?悪魔に侵食されアンデット化した人間。悪魔×ウイルスパニックのダブルパンチ。ただ悪魔なんで法則に囚われない故に感染するか否かは悪魔の“気分次第”という!?作り手にとっては非常に都合のいい設定。反面“噛まれたら感染”みたいな規則性が見えづらく感染するのかしないのか……いやせえへんのかい



いや一応ありました一応ルール?え、7つもあるとか大罪過ぎんだろおお!?そんなの守れるわけないやんけとばかりにとにかくラテンブラザーズが壮大に「破りまくる。」そりゃ悲惨になるよぉー!!とまぁマンマミーヤな地獄絵図が展開されてしまうという??



今作は「人々が信仰心を失い、それにより神がいなくなった世界」が舞台。悪魔ものとしては珍しい劇中一度も“協会を出さない”という徹底っぷりなのですが、それがものすごく“恐ろしい世界”であるということを??宗教的な観点から訴えているような、そんな布教映画でもあるんですねぇー。村の住人たちは信仰心を失ったことがまるで大罪とばかりに、突如忍び寄る悪魔の手に侵され、しかし“神のお導き”というチートが使えず、結果人間たちの力だけでことを解決しようとするが、人智を超えた存在に勝てるわけないじゃんアホじゃんという絶望だけを突きつけられる。終始“救済処置ゼロ”の“生きてるだけで絶望”(あれどこかで聞いたようn…)初めからケンシロウもビックリな「お前はもう詰んでいる」状態なのです??



この終始救いようのない展開はアリ・アスター作品やアニャジョイの「ウィッチ」、「ダーク・アンド・ウィケッド」に近いものを感じました。ただ一番醜いのは子どもを盾にする邪悪な悪魔よりも、信仰心を失い神を見捨てた我々人間の方なのかも…??



監督はすこぶる前の「未体験」で見た「テリファイド」で国内外からも脚光を浴びたアルゼンチンの新生デミアン・ルグナ。あれハリウッドでリメイクされるって話はどうなったんで?ポスターのインパクトだけ覚えているのに内容は完全に忘れていたのですが、その「テリファイド」で見せたトリアーの「ハウス・ジャック・ビルド」ばりに「子どもの死体蹴り」という不謹慎さを?今作でも貫いているといいますか



誰であろうとも容赦なく「暴力」の連鎖反応、という尖った演出が目立つのも、監督の性格の悪さが露見しているのか、いやそんな道徳心の欠如、身勝手さを露わにした人間の醜い一面をあえて露骨に見せることで、信仰を捨てたことをより強調したかった狙いも感じました。特撮レベルも高くゴア描写愛好家の方にも安心して(?)ご覧いただけるかと……。



みんな発狂するのが好きで静かなるドン田舎が徐々に騒がしくなる。演じる役者も叫びまくりで大変だったことでしょう。ちょっとよくわからんのがこの映画の住人達に悪魔憑きと言えば「はいはい悪魔ね」ばりにすんなり話が通じるところ。アルゼンチンの田舎じゃ悪魔は身近な存在なのか?(そんなわけ)しかも悪魔に憑依された人を“救う”為の、処刑人ならぬ“処理人”というジョブまで存在するセーフティネット……は当然機能不全ですが。ただ田舎から少し離れた郊外にある住宅地ではそうじゃないっぽい?この辺の設定がややガバガバなのと、ラストに向かうにつれ着地点を見失いダラダラ続けていつの間にか終わってた……結局真相は全投げパターン。この辺りがちょっと残念でした。中盤までの話の運び方と暴力描写は良かったんですけどねー。終盤が本当に勿体無い。



ただ最後まで笑っちゃうくらい本当に“全く救いがない”ルグナ監督のこの貫き様は見事ですし、「タブー」をあえてやるど根性ガエルよりもなかなか根性が座ってる監督だなーと。これからも怯えることなくジャンジャン挑戦的な作品を見てみたいですねぇ。

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