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映画検閲(2021)


【原題】Censor

【監督】プラノ・ベイリー=ボンド

【出演】ニアフ・アルガー ニコラス・バーンズ ヴィンセント・フランクリンほか

【あらすじ】

ビデオ・ナスティに対する論争が巻き起こっていた1980年代のイギリス。映画検閲官のイーニッドは、それが正しいことだと信じ、暴力的な映画の過激なシーンを容赦なくカットする毎日を送っている。その揺るぎない姿勢で周囲から「リトル・ミス・パーフェクト」と呼ばれている彼女だったが、ある時、とあるベテラン監督の旧作ホラー映画に登場するヒロインが、幼いころに行方不明になり、法的には死亡が認められた妹ニーナに似ていることに気が付き……。(映画.COMより)





 
【感想(ネタバレなし)】

『職業病はつらいよ』

 




どーもどーもインスタで筋トレ動画をお気に入りしまくっていたらいつの間にかスポブラのどエロい女性ばかりになっていましたラーチャえだまめです。本日はそんな「検閲」してみたら色んな意味でアウトすぎるホラーMOVIEにいつ間にか「取り込まれて」しまった働き過ぎ注意!!なコチラ



【映画検閲】……!!!今年で見納めとなってしまった新宿シネマカリテのゲテモノ映画の祭典「カリコレ」で限定上映されたのは知っていたんですが、他の劇場でも拡大上映されると知り首を長くして待っておりました、いやーホラー映画ファンの間ではかなりの話題(?)作なんですか?気づいたら悪夢やホラー映画の世界に入り込んじゃう系という公私混同も甚だしい「ミスト」でスカッとジャパンしてくれたスーパーのおいちゃんが主役の「バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所」って映画を彷彿とさせるいいますか、どちらも「映画」をジョブに絡ませた結果職業病に狂わされるお話なのですが___



OPから昭和ホラーの血生臭い歴史が映されるOPでど根性ガエルもひっくりカエル「ドリラー・キラー」を流す根性!?フルチやアルジェント等、昭和ホラーを築いた賢人たちへのラブコール映画ですか?ブラウン管の画面越しから流れる1本のビデオ映像かのような荒さを演出した「エモい」演出も炸裂。



舞台は80年代のイギリス。当時世界で一番「VHS映画の数が多い」らしい??中には一般ピーポーには見向きも直視もされない極々一部の血みどろの“癖”者向けのエゲツナイ映画も沢山流通され、日本でいう「映倫」にあたる作品の過激さや悪影響を鑑みて、視聴年齢に制限をかける「映画検閲官」なるジョブに就いたお人のお話なんですねー。



映画検閲官の“イーニッド”は感情を表に出さない“無”ですよ“無”!!寡黙なシュワちゃんタイプで淡々と薄暗い社内で数名の社員と共に過激なビデオテープを一つ一つチェックしていく日々。デカフチメガネ?「ゴーストバスターズ」の受付嬢がかけてるメガネみたいなインテリメガネかけて「リトル・ミス・パーフェクト」なんて呼び名までつくほどTHE完璧人間を貫き通す。が、堅物で終始寝不足っぽくて色白で不健康そうにも見えるという、まずこのキャラクターに惹かれてしまいました。



そんなスンッとした態度で感情的にならないイーニッドですが、唯一感情が“揺さぶられる”ことがあるんですね。彼女には数年前に行方不明となった“ニーナ”という妹がいました。両親はもうこの世にはいないだろうとニーナを法的に死亡認定しようとしますがイーニッドはそれだけは絶対に認めない模様。今でもどこでも生きている。彼女はずっと信じているんですね。そんなある日、そのニーナに面影がソックリな女優が出演するスプラッター映画を発見して……



……まぁー日々のストレスですよね(まとめるの雑かよ!!)実際に80年代のイギリスでは政府による映像の規制強化が行われ「ビデオ・ナスティ」と呼ばれるスプラッター、スラッシャーのような暴力的・低俗的表現のあるVHS映画を?検閲官がチェックしてアウトなシーンを製作者の意図なく“カット”したり「発禁」処置を施していたそう。本作は作品の意図も主張も全て“なかった”ことにするこのカット、こそ映像に対する“暴力”行為ではないか?“暴力”的映像を政府が“暴力”でもって制圧させるという、「暴力」がテーマになっているんですね。だからスプラッター映画なのか



そして映像をジャッジする検閲官に「なぜこの映像をカットしなかったのか」と、視聴者に悪影響を及ぼすような「悪」に対して、それを見過ごした検閲官に対する市民の“暴力”、「怒り」が向けられる恐怖。いやいや怒りの矛先はまずはその映画の生みの親の監督スタッフキャストじゃないの??とは思いましたが……



今作で一番恐ろしかったのはイーニッドへ心無い罵声を浴びせる“外野の声”。彼女が検閲してOKを出した、とある作品が原因で殺人事件を起きた?というニュースが飛び込んできます。ゲームで言えば「グラセフ」を作ったロックスター社が訴えられるようなものですかね、世論は彼女のせいで犯罪者が生まれ事件が起きたと決めつけ、その責任、罪の意識はないのか?となぜかイーニッドに責め立てる。彼女には重い重圧が伸し掛かる。そんな最中で見つけた1本のビデオテープ。そこから次第に現実と“妄想”の区別がつかなくなっていく。



ほかにもセクハラプロデューサーに襲われそうになったり、“女性”に対する暴力が社会に内在している怖さもありましたねぇ。深堀して見ればいくらでもメッセージを発見できる「考察型」タイプの映画、かもしれません。が、マイナスなことを言えば「ホラー映画の検閲官」という意外性のある面白そうなテーマ性に反して、ホラーの演出面はそこまで独創性が追いついてない、そんな印象を受けました。終盤までフラットに淡々と進んでいくので人によっては少々オネムーワールドが展開されてしまうかもしれません。ラストの着地もお粗末、というかもう一捻り、二捻りくらいほしかった。でもあのラストは個人的にとってもB級チックで好きでした。ラストにVHSのテープが出てくるシーンを“撮りたいが故に”あのオチにした感すらある。そういう意味では本作は「暴力反対!」運動したいわけではなくて、いやむしろしっかりホラー映画楽しんごして撮ってんじゃん!というのが伝わってくるのでホラーファンにはむしろウケはいいかもしれません??

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