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11人の賊軍(2024)


【原題】11人の賊軍

【監督】白石和彌

【出演】山田孝之 仲野太賀 尾上右近ほか

【あらすじ】

江戸幕府から明治政府へと政権が移りかわる中で起こった戊辰戦争を背景に、11人の罪人たちが藩の命令により決死の任に就く姿を描いた時代劇アクション(映画.COMより)











 
【感想(ネタバレなし)】

『“幕末スーサイドスクワッド”は情け容赦無さ過ぎてやっべぇぞ?』

 




先日「風の谷のナウシカ」のBlu-rayを購入して20年越しに謎が解けました「ナウシカはノーパンじゃない」どーもラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました



【十一人の賊軍】!!!斬って斬って斬りまくれぇーい!!……間違えましたそんなタイトルから私は真っ先に三池監督の「13人の刺客」を連想してしまったのですが??「11」と聞いて皆さんは何を連想しますでしょうか。やはりオーシャンズ??あるいはセブン……



「日本侠客伝」「仁義なき戦い」シリーズなどで知られる脚本家の笠原和夫が生前書いたオリジナル脚本がベースになっているらしいのですが?当時東映側が映像化を却下したことに腹を立てた笠原氏により300枚あった脚本自体は破り去られてしまったらしい。ゆえにそのプロットだけを頼りに「孤狼の血」シリーズで知られる白石和彌監督の熱烈オファーにより今回東映で実写化が実現したという。白石監督と言うと個人的には直近だとアマプラでやった「仮面ライダーBLACK SUN」でお世話になりました。主演は山田孝之と仲野太賀。どうやら山田孝之演じる“一般市民”の男が??妻を犯され「許ッさん……!!」と復讐して立派な“罪人”となったがゆえに?他の罪人と合わせて何の因果か「幕末スーサイドスクワッド」を結成してしまう……??なんて想像していたらですよ、まぁだいたい合ってるのですがDCと比べて












“情け容赦無さすぎ”てやっべえぞ?





 




いやー「侍タイムスリッパー」がまだまだ勢い衰え知らずな好調っぷりを見せておりますが、「八犬伝」といい来年も大泉洋の「室町無頼」といい“大作時代劇”が続くのは嬉しい限りですね〜。しかも今作も時代劇の堅苦しさはあまり感じずに楽しめる、普段あまり時代劇を見ない方にもぶっ刺さる“アクションエンタメ”要素引田天功モリモリでお送りしているのであまり難しく考えずに「ちょっと面白そう」なら迷わずGO!してください!?特に爆破や銃声の“音”、サウンドが割れるんじゃないかってくらい結構なデカい音が劇場に響き渡る、ドルビーシネマとか爆音で見たらやっべえぞ…!?(しつこい)



そんなわけで(時代劇なので)まず物語を簡単にご説明しますと、時は薩摩・長州藩が“旧幕府軍”に反旗を翻し“官軍”(新政府軍)を名乗り旧幕府軍と対立を極め始まった“戊辰戦争”真っ只中の1868年。新発田と書いて“シバタ”と読むんですねー、現在の新潟県新発田市にあった“新発田藩”が官軍と敵対する“奥羽越列藩”“同盟”関係にあったんだけど、内部で官軍の方が強そうだから寝返ろうという動きが強まっていたんですね。そこへ奥羽越列藩の軍勢が新発田城に出兵を求めて来ちゃうわけです。新発田藩としては官軍に寝返りたいから出兵したくない、でも奥羽越列藩に今それを悟られるわけにはいかない、さらに官軍もどうやらコチラに向かって侵攻して来ている!?このままではこの場で奥羽越列藩と官軍の戦闘が始まってしまうばかりか?完全に“板挟み”状態の新発田藩。さあどうする!?



で思い立ったのが“官軍の到着を遅らせつつ、奥羽越列藩には帰ってもらう”という作戦だった!!奥羽越列藩にはとりあえず“殿様が病で倒れた”的なウソをついて出兵できない素振りを見せ、その間に新発田に入る道中にある“砦”で官軍の侵入を防げばよい……ただし藩内の兵力を砦に割いてしまえば藩の防備が手薄になってしまう。そこで“罪人”たちをかき集めて彼らに砦を守らせよう、となったわけです。彼らには“官軍から砦を守りきれば無罪放免にする”と約束をして……



今作は新発田藩の裏切りエピソードという史実の上に罪人が砦を守るというフィクション。新発田藩の城代家老、阿部サダヲ演じる溝口内匠(みぞぐちたくみ)は手始めに藩で随一の剣術使い、仲野演じる鷲尾兵士郎(わしおへいしろう)を説得し、ほか藩士数名を入れた決死隊に罪人を加えて寄せ集めの“消耗品軍団”を結成させるのですが、罪人側は皆罪状も違えば戦闘能力もバラバラ。はっきり言って官軍相手に“勝ち目ゼロ”なのはもう見え見えなのであります。しかもみんな同じ牢屋にぶち込まれてるんだけど、初登場シーンなんて暗がりで全員ほとんど顔見えないし?唯一わかったのはなんかヤバそうな坊主……ジュニア?あ、兄ちゃんの方か……の千原せいじくらいしか誰だかわからない。みんな誰?影の薄い“雑魚モブ”の集まりにしか見えんですよ!?(言っちゃった…)侍道を極めた一匹狼の集まり的な「7人の侍」「13人の刺客」のような“カッコよさ”は初めは皆無で「え、コイツらが主役…?」という、とても主役“じゃない方”の顔っていうか実に華がなく(※褒めてます)顔もみんな小汚くて(※褒めてます)それで罪人だから、まさしくこれは東映版「スーサイドスクワッド」。藩士で決死隊隊長の野村周平なんて完全にジョエル・キナマンじゃねーかよ!!



そんな奴らが当然はじめから“チームプレー”なんて出来やしませんし、喧嘩したり時に◯し合いまでおっ始めちゃうんだけど、それでも無謀とも言える官軍との死闘で“意外と勝てちゃう”っていうね!?この番狂わせ感がちょっとご都合すぎ(官軍弱すぎだろ!)感は歪めませんが、やがて一人一人“活躍の場”を広げていって各キャラクターに“色がつき始める”。この過程、コレが見ていて最高に楽しい。ただの罪人が本来無縁な“正義”という名の研磨剤に磨かれて次第に故郷を命懸けで守ろうとするヒーローのように輝き始める。「そういえばアイツってどうなったんだっけ?」みたいな後半影が薄くなるようなキャラは一人もいない。むしろみんなモブから“主人公格”に昇格していく過程を、きっとご自分の胸の内で感じることが出来ると思いますよ!?私は特に“爺っつぁん”が良かったなー。“能ある鷹は爪を隠す”タイプの実は強者でした感がカッコケイン良すぎで演じる本山力という俳優さんは存じ上げなかったのですが、よく時代劇の斬られ役を演じている方らしく要は“出来る”人なので殺陣さばきがとにかく素晴らしい。他にもきっと一人くらいは“推し罪人”が見つかるかもしれません!?(推し罪人ってなんだよ)



でね、序盤〜中盤は来たるべき官軍との大決戦に向けての“準備期間”をひたすら描くのかな、なんて思っていたのですが“何回も戦闘シーンが続く”ってのがいい意味で裏切られました。特に邦画って予算ないから初っ端はケチったりしそうじゃん?「7人の侍」も前半は仲間集めだけで終わるし、それをパ◯ったザック・スナイダーの「レベルムーン」だって後半の最後で、一気にそれまで溜め込んだ花火を一斉にドカンとぶっ放すスタイルだったけど。今作は砦に到着早々小規模ですがドンパチやっちゃえ日産、この調子で飛ばして大丈夫?なんて不安にもなっちゃいましたが、その後も第二戦、第三戦と……砦の死守ってラウンド制だったの!?だから155分という長編ながら










飽きる暇がない




アクションエンタメとしてこれは大成功してるんじゃないか??ずっとヒートアップするわけじゃないけどテンポ感もよくて私は最後までダレずに完走できました。ただ飽きないけど最後まで見終わると“結構「ドッと」疲れる”かもしれません(汗)



というのもまぁ早い話がアクションとかエンタメ要素は強いけど「話自体が重い」。先に言った東映側が企画を却下したのがまさにその理由で、なんだか途中まで盛り上がっていたのに終盤で現実を突きつけられるというか、どんなに頑張っても“所詮罪人は罪人”という夢から覚めちゃうというか、同時にまぁそうだよねと納得も出来てしまうのですが……本作を見ると「スースク」がヴィラン達にどんだけ情けがあったか逆に目立って見えてしまう??なので終盤は盛り上がるどころか失速。この辺りは好き嫌いが別れそう。あとダブル主演の“政”演じる山田孝之が今回は“あんまりいい役じゃない”と感じてしまった。カッコいい役じゃないんですよ。罪人側のリーダー的ポジションかと思ったらそうでもなくて、むしろ誰よりも非協力的で常に逃げ腰でとっても自分勝手なヤツなんですね。つまり彼が一番“ヒーローから遠い存在”なのです。



でもそれは命を捨ててでも藩のため、武士として生きる仲野演じる兵士郎との“対比”というか、わざとそのように演出したのかなとも思えたり。政は武士じゃないから行動やら思考やらが我々視聴者と同じ“市民”サイドなんですよ。だからダサい。“生き方がダサい”。でも実際いきなり戦場に駆り出されたら、んなお国のために心臓を捧げろとかバッカじゃねえのって中指立てるし仲間がどうのメンツがどうのとかそんなの関係ねえってその場から逃げ出そうとする(少なくとも私はそうします)命あっての幸せだろうがああーい!!ってなりますよね??そんな“生に貪欲”な彼こそが青春日本代表、間違えた“一般人代表”みたいな、だからイイ役じゃないけど、誰よりも人間臭く必要なキャラではあったかな。それを山田孝之でやるのがちょっと勿体ないという感じ。そんな山田とは反対に











今作のMVP(なんの?)がナダルって一番アンビリバボーだわ




あとはねえ、PG12の基準がよくわかないんですけど指は飛ぶわ首は飛ぶわ“ゴア描写”野村満載で、勿論断面図をマジマジと見せるなんていう悪趣味なことはしないけど、北野武の「首」より首を含めた部位破壊はよっぽど本作の方が多くないか!?当時の生々しさを描きたかったんだろうけど、その辺りもファンタジーにするんじゃなくリアル路線で攻めております。まぁ色々言いましたが総評的に“満足度はとっても高い”少なくともチケット代の元は取れたかな?という感想です。155分の長さにうろたえるには勿体無い!時代劇アクションを是非是非。






 
【感想(ネタバレ)】







腹でも下した?




刀相手に拳銃て……それやっていいのは体調不良のトヨエツじゃない方のハリソンだよ!!銃は剣よりも強し……誰の名言でしたっけ??あの戦い方からしても阿部サダヲの役は古き良きあの時代を生きる者の“意”には反してても、非常に合理的なお考えの人なんだなーと。大勢の命を守るために少数の犠牲は厭わない。んな情に流されてその他大勢の市民を危険にさらすわけにはいきませんから?なんて客観視すれば納得できるキャラなんだけどね(それでも悪人だけどね)あのラストの泥試合感。結局一番可哀想だった山田孝之。はじめから死ぬ気の仲野太賀と違って「こんな所で死んでたまるか…」っ最後まで死にたくないって思いながら死ぬのとでは全然違います。その辺がリアルすぎ救い無さすぎ嗚呼「BLACK SUN」のラストを思い出してしまった。あのハイハイみんな死ぬんでしょ……てわかっててそのままやっぱりかぁ〜、ってなるあのなんとも言えない微妙な盛り下げ感と反対に戦を回避した街はお祭りムードに浮かれて終わるENDがさらに虚しさを強調している。でも罪人達の最後まで抗って見せる漢気というか魂の叫びというか、そんな力強さを持った映画でしたねー。

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