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MEN 同じ顔の男たち(2022)


【原題】Men

【監督】アレックス・ガーランド

【出演】 ジェシー・バックリー ロリー・キニア パーパ・エッシードゥほか

【あらすじ】

夫の死を目撃してしまったハーパーは、心の傷を癒すためイギリスの田舎町へやって来る。彼女は豪華なカントリーハウスの管理人ジェフリーと出会うが、街へ出かけると少年や牧師、警官に至るまで出会う男すべてがジェフリーと全く同じ顔だった。さらに廃トンネルから謎の影がついてきたり、木から大量の林檎が落下したり、夫の死がフラッシュバックするなど不穏な出来事が続発。ハーパーを襲う得体の知れない恐怖は、徐々にその正体を現し始める。(映画.COMより)




 
感想(ネタバレなし)】

『「どーも征服者カーンです」』

 




どーもどーも先日下を向きながら歩いていたら黒い革靴の先っぽがゴキブリに見えましたラーチャえだまめですぅ〜パチパチパチぃ〜♫……と言うわけで本日はある女性が遭遇するおそ松さんもビックリな未確認男性“MEN”共が「みんな同じ顔に見えてしまう」世の中の男がみんな平野紫耀くんならいいのにちょい小太りのオッサンとか驚愕のホラー映画を拝見させて頂きました



【MEN 同じ顔の男たち】アレックス・ガーランド!!!!の頭の中は一体どうガーランド……いやーついに今年大注目していた1本が公開されてしまいましたでございまして??アリシア・ヴィキャンデルのアリシアがヴィキャン………「密室系SF」の大傑作映画「エクス・マキナ」でアカデミー視覚効果賞と脚本賞を「これがデビュー作」で受賞、続く2作目「アナイアレイション」でナタリー・ポートマンのマネキンを出現させるどころか毒々しいほどの世界観でこれまた視聴者を熱狂させた、えぇまだ3作目なんですかぁ殿ぉぉぉぉおおーーー!?最新作「MEN」では従来のSFホラーから「ホラー」にギュッと的を絞り、何の因果か同じ顔のMENにストーキングされてしまうという、あまりにもブキミーかつ“生理的に無理ゲー”すぎる、なんかまーた面白そうな映画ブチかましてやんねぇ〜!!しかも彼の変態性に一役買ったフィルム界で今最も“攻めに攻めまくる猪突猛進”A24スタジオと「エクス・マキナ」以来の再タッグを組んじゃったらもうワケワカメな怪物映画が爆誕してしまった可能性も…!?私すっかりガーランド監督の虜の一人となってしまいました



元々小説家だったガーランド監督は20代でヒット作を書いた後、映画の脚本家に転向。そして同じイギリス出身ダニー・ボイル監督作で多くの脚本を担当するようになります。ゆえに監督としてのキャリアは浅いものの脚本家“書き物”のキャリアはもうかれこれ20年以上あるベテラン勢。自身の撮ったこれまでの作品の脚本も勿論のこと本作でも脚本を兼任。それだからか非常に作家性の強い作品、簡単に言えば「一筋縄では行かせねえよ」系の映画を撮るお人なんですが……今回もそれは決して例外ではありませんでした















コレ観た人の9割わからんでしょ…(汗)






夫の死の瞬間を間近で見たショックを癒やすため田舎町の屋敷に2週間滞在することにしたハーパー“婦人”……おっと名前はまだ変えそびれていたようです。演じるはアイルランド女優ジェシー・バックリー。スミマセンはじめましてでしたペコリ。そこへ屋敷の管理人がやってきます。ジェフリーと名乗る管理人の“MEN”を演じるのはダニエルクレイグ兄やんの「007」シリーズに出演するロリー・キニア。スミマセンこちらの方も私今回がハジメマシテぇーなんですけども














ほぼ「2人芝居」なんだよね。







いやーすごいんですよこの2人の演技が。まずハーパー役のジェシー・バックリー。夫亡き後はすっかり気分爽快いやいや長年連れ添った爺さんが天に召された後返ってストレスフリーになった結果未だ元気いっぱいピンピンな婆さんどころの話ではない夫から卑劣な“DV”を受けていたハーパー。そんな夫がいなくなって気分はルンルン屋敷近くのジブリがいっぱいコレクション(いや「犬鳴村」か)森のトンネルで「ホォー、ホォー!!」こだまでしょうかいいえ……やっぱりこだまでした__時より少女のような無垢な表情すら見せる。しかしその表情のウラに見え隠れする死んだ後も彼女を苦しめる夫の存在“苦しみから開放されたい”その一心で、彼女はひとり安泰という心の拠り所を求め、そしてたどり着いたのがこの自然尾崎豊かなオアシス=おいでよ田舎生活、だったわけなんですねぇ。しかし彼女はここでも「さらなる苦痛」を受けることになる___??














今すぐてめぇの顔面引っ叩きたい






なんだコイツぅ〜〜〜〜!!!!!(byジョイマン)ハーパーが屋敷の敷地に生えた木から生ったリンゴを一つかじっただけで「“女性”は食すのを禁ずる」的な発言でさっそくフェミニスト大噴火の誠に遺憾である!!ハーパーの前に現れる多種多様な“MEN”。でもって皆“顔が同じ”と言うことで一丁前に言うことも皆同じという……つまり彼らが共通するのはその顔面だけではない時代を逆行する「男性優位」な思想を持ち、その発言一つ一つがOUTー!!!なものばかり……。いや正直MENな私でも嫌悪感を抱きましたよ。これは女性にとって親の仇以上に「敵視」するのは当然の結果?こんな恨まれ役よく承諾してくれたなぁーこの俳優さん。でも上手いのよ「不気味」な演技が。しかも一人で何役も買って出て顔は同じなのに全員「違う人」に見える二重の不思議!?それで全員が不気味ってすごくない??全員が「違ったMENの不気味さ」を持っている。



そんな謎のMENが突然フッと現れる。何の前触れもなく。物語はとってもゆっくり丁寧に進んでいきます。人によっては若干の睡魔メーンにやられてしまうかも…。しかし物語の舞台がほぼ屋敷の敷地内という「限られた空間」で展開される「エクス・マキナ」と同様の戦法で、つまりは鳥かごのような閉鎖された空間でジワジワと主人公をいたぶるという…。



本作には“赤”と“緑”……カップ麺を連想させる……否2つの特徴的な色がありまして、森、ハーパーの心を癒やす“自然の力”が緑なら赤は攻撃的な色、つまりハーパーが追い込まれていく様を映像で徐々に赤が増していくことで表現する、脚本だけではなく映像面でもガーランド監督の匠な才がまたしても露見してしまっているんですねー。



そしてクライマックスで待ち受ける“賛否両論”絶対あるだろっていうシーン。いやー相変わらず容赦情けとは無縁すぎる、攻めたな〜。いやこれは“大問題”映画じゃないですか?今年ももう残す所あとパンくずちょっとって所でナンバーワン“大波乱”映画をぶっ込んでくるこの後味の悪さ……今年の感じは“戦”だそうですね?男女間の戦いは2022年になった今でも?終焉を迎えることはない……?(そうそう「エクス・マキナ」に出演したソノヤ・ミズノさんが意外な形で出演しているよ!)







 
【感想(ネタバレ&考察)】





「自殺に追い込んだワレの罪を一生償え。」だってさ……もう北島康介じゃなくてもなんも言えねえわ!!!!この映画は未だ社会にこびりついた時代遅れの「男性優位思想」を「激しく嫌悪」しているのは一目瞭然だとは思いますが、とにかく「意味がありそう」でいて難解なシーンが多くて……初見では四苦八苦するまでが必須なのではないかとさえ思ってしまいます。



まず劇中何度も登場する二つの彫刻。大半の人は「なんぞや」と思います(私も当然知りませんでした)一つは裸の女が股を開き陰部を見せている姿を掘った「シーラ・ナ・ギグ」。もう一つは男の象徴である「グリーンマン」という彫刻らしい。この対称的な二つの彫刻が意味するものはなんなのか。まずグリーンマン……というかこのグリーンマンの彫刻は中世ヨーロッパが起源とされているものの、これがどういう目的で作られたのかきちんとした意味が未だ解明されていないらしく?したがって今作に登場した明確な意味もまたあるとは言い難い。そこは観客各々で捉えてくれと言わんばかりですね。



ただこのグリーンマンが“男の象徴”と“自然の象徴”という2つの意味を孕んでいるのは確かで、ハーパーがトンネルで「カサカサ肌・森男」に遭遇するのは、自然の中に存在するトンネルの中にいる森男=グリーンマンを呼び覚ましてしまった!!ってこと?あと屋敷の庭にあるリンゴの木……リンゴと言うとアダムとイヴを連想させますよね。ハーパーが口にしたリンゴは“禁断の果実”で、それによりアダム=グリーンマンが“異性”に目覚めて(食べてはないけど)ハーパーをストーキングした?と私は解釈しました。



本作が面白いのは序盤から終盤にかけて「徐々に恐怖心が薄れていく」ホラー映画史に残る逆転の発想!!それはハーパーの表情を観ても一目瞭然で、序盤は男に得体のしれない最大規模の恐怖心を抱きていたのが、終盤になると男がだんだん「哀れな姿」に見えてきたのか、最後なんてもうハーパー目座ってるやん!?まるで「汚い汚物」を見るような彼女の眼差しがこれまた印象的でございます。



クライマックスの衝撃の出産シーンは男が女さん=子供を産む機械、みたいな一部の男のあまりに馬鹿げた単細胞バカさ加減を表現している?もう全てのシーンに意味があると考え始めると、やい2回目の出産はなんで胸部からなんだとか3回目の出産はなんで口からなのかとか完全に沼にハマる。そんな「アナイアレイション」でも見せたVXFを使ったグロテクスな演出に今回さらに磨きがかかったなぁーという感心、いやあまりに奇妙で気味が悪く異様な出産シーンでしたが、「出産」という行為によってすべての人間が等しく産まれてきているという事実は切り離せません。ちなみに今回はSFではないのであまりVFXが使われるシーンはありませんでしたが、夜空だけめちゃくちゃなんであんなキレイなん?



本作で最も忘れてはならない“重要なポイント”、それはハーパーと我々視聴者との「認知のズレ」、言い換えれば「ハーパーは男が皆同じ顔であることを意識していない」という点です。「我々視聴者の目にしか同じ顔に写っていなかったのか?」これは一体何を意味しているか。このことについて明確な答えは劇中明かされていません(ガーランド監督もあえて答えを出さずに見るもの各々の考察に任せている感じ)というわけで私イチ見解としまして、おかしいのは同じ顔の男ではなくハーパーの方。ハーパーの見た男は全て幻想ではないか説。そもそもクライマックスで男の片腕が裂けるチーズ化したり片足が折れたり徐々に死んだ夫の遺体と同じ状態になる=男はハーパーにとって“トラウマ”以上の何者でもない=トラウマと妄想は密に関係しているじゃないですか?ただモデルとなった男は現実に存在していて(我々はハーパーの視点から観た男のイメージでしか捉えることが出来ないので実際の男の風貌はわからないが)ハーパには近づいてくる男共が皆“最低最悪”の男に見えたのではないか。



そして片手にナイフ、血のついた服で庭に座り込み訪れた友人を見つけて笑顔を見せるあのラスト。あの血は一体誰のものだったのか?ナイフを振りかざしていたのは、もしかしたら無関係の男たちを「被害妄想」の名のものに出会い頭に殺害し屋敷の中にでも隠していたんじゃないか……と私は思ってしまいましたね。「男なんて、みんな同じようなもの」というハーパーの諦めの現れが具現化したのかも?彼女にとって男とは腐っても女より格上の存在であると信じてやまない、どうしようもなく救いようのない生き物、として捉えていたから同じ顔として雑に扱ったんじゃないか。女を“性の対象”一括でしか見れない男が、男を“一括”でしか見れなくなった女を産む負の連鎖……同じ顔の男が襲ってくるというシンプルな設定でここまで我々に深く追求させようとしてくるガーランドの作風が、もうすぐ監督業を引退するらしく見れなくなるのはなんだか残念ですね〜。



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