M3GAN ミーガン(2023)
- ラーチャえだまめ
- 2023年6月22日
- 読了時間: 6分

【原題】M3GAN
【監督】ジェラード・ジョンストーン
【出演】アリソン・ウィリアムズ ヴァイオレット・マッグロウ エイミー・ドナルドほか
【あらすじ】
おもちゃ会社の研究者ジェマは、まるで人間のようなAI人形「M3GAN(ミーガン)」を開発している。ミーガンは子どもにとっては最高の友だち、そして親にとっては最大の協力者となるようプログラムされていた。交通事故で両親を亡くした姪ケイディを引き取ることになったジェマは、あらゆる出来事からケイディを守るようミーガンに指示する。しかし、ミーガンの行き過ぎた愛情は思わぬ事態を招いてしまう。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『「はいお前が負けぇ〜!!!!」』
サンリオのウィッシュミーメルの「いろんな所でステップふんでみた!」動画がかなりシュールだと思った皆さまコンニチワー。本日はそんな死霊も盆踊りどころの騒ぎではない「ホラー映画」なのにブキミーな踊りのつもりが日本でも何故かシュールで“怖カワイイ”とプチバズり中?

それニーガン
【M3GAN ミーガン】!!!いつの間にか「死霊館」シリーズの“顔”こと“アナベル”を生み出した我らがジェームズ・ワンさんがアトランティスで撮影中のウラでまたしても??“令和の呪いの人形”を生み出してしまった!?と公開前から話題になっていた1本。おいおい忘れてねえよな?ワンさんと言えば過去にも“昭和の呪いの人形”をリヴートさせた張本人でもあっt

選手交代ですか?
え「チャッキーVSアナベル」やるんじゃないの!?と生まれ変わったチャキ夫が世間にはイマイチな浸透率で現在放送中のHuluドラマ版も親しみのあるオリジンタイプのまま……のタイミングで「人形シリーズ」第3弾(M3GANの3ってそういう意味……おっと誰か来たようd、)これはこれは先輩チャキ夫の“公開OP成績を軽々と凌駕し”早くも“続編”まで決定している超新星ミーガンちゃんに急遽“死霊館ユニバース”に加わるカタチでアナベルの対戦相手として白羽の矢が立つ可能性も??(児童を奪い合う“母性”の闘い‥!?)
そんなミーガン人形ですが、かつて先輩がピクサーイチの「ドル箱トイ物語」に大胆不敵なポスターで喧嘩を売りつけた悪態に習い今度は世界のマテル社の生んだ「女の子の憧れ人形」にまたしてもポスターで喧嘩を売る(奇しくも両者同時期公開という悪魔のタイアップ)気合の入れように加え、世界アイ“スクリーム”売上高No1「いやぁあ〜!!(泣)ゲンダッツ」社長ジェイソン・ブラムも加わった本作はかなり期待値の高いホラー、と言った感じですが?このジェイソン・ブラム×ジェームズ・ワンの黄金比率は実は「インシディアス」以来……なのが既に別の意味で怖すぎる「M3GAN ミーガン」

全ては“クネクネダンス”のおかげ?
交通事故で両親を失ったケイティが引き取られたのは母方の叔母型アンドロイ……一流玩具メーカーの開発部門で働くジェマだった____

“ここからケイティの運命の歯車が大きく狂い始める”…と言っても過言ではない??会社の全財産を使い天才的な発明家としての腕を独断で思う存分進めた結果“玩具の定義を揺るがしかねない”ペッパーくんも苦笑いの“究極のAI人形”を生み出したジェマですが、当然完全受注生産製のベンツが一台買える金額のAI人形など子どもの玩具として売り出せるかああ!!と上層部からの反感を買っていたところ?失意喪失中のケイティがうちに転がり込んで(親権にサインしたのは自分だが)早速棚の上の「コレクション」をただの玩具として触れようとしたケイティに頭を悩ませたジェマは?あろうことかまだ試作品の「ミーガン」と名付けたAI人形に「一生ケイティをお世話をする」ことをプログラムしてケイティにプレゼントしてしまう!!…と言う流れなのですが
「一生ケイティをお世話をする」ことに没頭するあまり“ケイティの教育上の邪魔者=惨殺対象”と見なして?次第に暴走を始めるミーガン。これには“第二ユーザー”のジェマもタジタジです。しかしそのミーガンの血みどろの惨劇の“肝心のシーン”はあえて画面に映さず「え、もしかして監督ホラー苦手なの?」とさえ思えてくる今作は“ブラムハウスとしては全年齢対象レベル”のグロさ控えめの「だいぶ優しめなホラー」ゆえ、正直な話ホラーを期待して見ると「え、これだけ?」とホラーファンには物足りなさは感じずにはいられない。(まぁそもそも人形系ってそんなにグロいのないよね)普段からホラーが生活の一部ではない、あまり見ないよーという方には「人形型ホラー入門編」としての座敷の低さ+CMでも散々流れる「クネクネダンス」がバズったからここまでヒットしたのかなと。そのクネクネダンスを見事にキメている劇中素顔を見せずともミーガンの中を演じたダンサーの子役の功績が何よりも一番だったような気がしましたねー。
そのミーガンの暴走もケイティが悲惨な目に遭うのも事の発端、つまり全てはジェマの「仕事中毒のワタシの代わりに子育てしてくれる」ネコ型ロボットも泣いて未来へ帰る超ワガママ願望のなにものでもなかった!?自身も可愛い妹を失ったと言うのにさほど感情的にならずに冷静沈着、ケイティに対して「さっ、明日から私と頑張りましょうねッ!」的な軽いノリで接してくる様は、まだケイティに病的にまで“寄り添う”ミーガンの方がよっぽど人間らしく?むしろロボットなのはジェマの方なのでは?とさえ目には映る。「人間みたいな機械」と「機械みたいな人間」というこのミーガンとジェマの対比、これがなかなか皮肉が効いていると言いますか“次世代”の弊害、と言ったらなんですが

思いっきり「育児放棄」が今作のテーマ、なんですよねぇ。一応ジェマは「親戚の叔母」という設定でマイルドにはしておりますが、はじめからケイティの面倒が見きれないなら両親に預けるという選択肢もあったはずなのに、ケイティを引き取るサインを自ら進んで行っている時点で「親になる」選択をしているわけで。そしてその「責任」を軽く見ていた、子育てはロボットに全任させ、何ならケイティをミーガンの「プロモーション」に利用したり?「ケイティの為」とは表向きで、本当は全て「自分の為」の行動であることに気づきもしない。だから序盤〜前作は“親切心”と言う名の「間違った正義」に浸るジェマに対して、ほとんどの人は「嫌なヤツ」と感じるでしょう。
面白いのがミーガンのやってることはアウトーですが「言ってることはあらかた間違っていない」という所。ミーガンの問いにジェマは半分以上図星を喰らってしまいます。ミーガンには何も言い返せないのです。便利な世の中になった反面、子どもにタブレットだけ渡して自分は他人と夢中……なんていう光景も、もはや珍しくもない残念な時代に突入してしまったが故に、もしかしたらミーガンは産まれたのかもしれません。そう人間が子育てを完全に“忘れてしまう”前に……。
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