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ANNA/アナ(2019)


【原題】ANИA

【監督】リュック・ベッソン

【出演】サッシャ・ルス ヘレン・ミレン ルーク・エヴァンスほか

【あらすじ】

1990年、ソ連の諜報(ちょうほう)機関KGBで国家にとって危険な人物を抹殺するため育成された殺し屋のアナ(サッシャ・ルス)は、モデル、コールガールなど複数の顔を使い分け明晰(めいせき)な頭脳と抜群の身体能力を駆使し、腕利きの暗殺者に成長する。あるとき、CIAのわなにはめられたアナは、捜査官のレナード(キリアン・マーフィ)から信じがたい取引を迫られる。(Yahoo!映画より)




 
【感想(ネタバレなし)】

『すこーしも痛くないわ?』

 





幼い頃いつもOPだけ見ていた私はずっと耳が聞こえないトヨエツはイケメンなカッパだと思っていましたラーチャえだまめです。早速ではございますが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました、いやー危うく見逃す所でしたよフランス映画界屈指の“鬼才”の最新作が、このご時世にこれまたサラッと公開されちゃってるんだものー!?そう我らがリュック・ベッソン監督による大好評“名字シリーズ”否「ガールズアサシン」シリーズ最新作!!JALではありません【ANNA/アナ】!!



リュック・ベッソンと言えば以前「サブウェイ」でもご紹介した「“駄作”を生み出せる程“名作”を生み出してきた男」と私がそう勝手に呼んでいるだけのことだったワケなんでありますが、これまで「ニキータ」「レオン」といった名だたる名作たちを生み出した全盛期の裏で何かとスクリーンに女の殺し屋が出たら影でベッソンがスカウトしていた、なんていうこれまで幾度となく主演女優を食ってきた女好きが露見してしまうばかりか近年ではブラック・ウィドウを「ニキータ」を彷彿とさせる勢いで最終的にUSBチップにしてしまうというどうぶつも奇想天外すぎて逃げ出す「ルーシー」が駄目ならばと??「フィフス・エレメント」を凌駕する“仏版遥か彼方の銀河系”の一大SF巨編を生み出したらば今度は自分の映画会社を破産寸前にまで追い込んでしまうという??そんな最近不調続きな彼についに転機が訪れたかもしれない??



モスクワの露天商でチェブラーシカ!!…見間違えました“マトリョーシカ売りをする少女”アナ。ある日パリのスカウトマンにその容姿端麗な姿形を絶賛されモデルとしてスカウトされたアナは、あれよあれよとトップモデルとして成長していった。しかし彼女には“ウラの顔”があった……



という所のロシアの“KGBのスパイだった”という、ベッソン監督のOPからあれよあれよとアップテンポに流れるようなカット割りの上手さに脱糞しつつ華麗な変身を遂げるアナを演じるは、トップモデルとして活躍しながら「ヴァレリアン」で特殊メイクにより異星人としても登場していた新人女優サッシャ・ルス。いやー横から見たらシャーペンより細いんじゃねえかってレベルの超絶スタイルでまぁ実際にモデルさんってのもあるけどポージングやらがもう「キマってるぜ!!」な誰がどー見ても“THEパリコレ”のソレなんでありますが、そんな彼女がひとたび“ガン”を一丁持った暁にはですよ?アクロバティックなデーハーなアクションをどんどん決めてしまうという!?個人的には「トランスポーター」のステイサム兄が見たら思わず真似しそうなフランスだけど「お皿カッター!!」なシーンはカッコよかったですねー。いや〜キャシャーンなカラダでよくあんな戦えますこと……それでも翌日にはアザ一つ付けずに再びカメラの前に立つまさに「モデル」×「スパイ」という長靴とビーサン並に対照的な二足のわらじ状態を糸も簡単にこなすアナ。



そんなこんなで何が言いたいかと申しますとこれはさながら“21世紀版「ニキータ」”なのではないかと、初任務でワザと「異常事態」に追い込むやり口さえも「ニキータ」のソレなのだから無論アナにも“壮絶な過去”があるわけで、、、ちなみにアナの元カレ役に去年日本でも空前絶後の大ヒットを飛ばしたロシア産戦争アクション「T-34」で主演を務めたアレクサンダー・ペトロフが出演していたのはビックリでしたね〜。彼は2017年のロシア映画サイトで“ロシアで最も有名な俳優”として選ばれた、世界でも今注目される俳優として今後の活躍がヒジョーに気になるところでございm……



彼女が“アサシン”として否“女”として見間違えるほどの成長ぶりを見せる所も、言ってしまえばそのまんまヤク中少女から“アダルトな女性”へと成長していくニキータのソレでございましてベッソン監督の18番ネタと言った所でしょうか??しかしながら今作はより“スパイ要素”すなわち「騙し合い」に重点が置かれており、よって「ニキータ」以上に二転三転するような展開が楽しめる、そんな映画となっているワケなんですねー。



なのでアナの成長ぶりの“過程”こそ細かく描かれないものの、過去と現在(とは言っても90年代)を行ったり来たりする、話がトビマストビマスする所が少し把握しずらいかもしれませんが場面が飛ぶ度にその“仕掛け”に驚かされる、これぞまさにスパイ映画といった感じでしょうか??そんなアナの指導員として「ニキータ」の笑わない長官かと思ったらただの女好きだったルーク・エヴァンスと黒髪の最初だれだかわからなかったヘレン・ミレンの何故かやたらと英語を喋りまくるKGBサイドについにCノーラン最新作に呼ばれなかったキリアン・マーフィー扮するCIAサイドとの既に「コードネーム U.N.C.L.E.」で終戦したかに思われた米露2大スパイ紛争の“板挟み”に巻き込まれるアナ。しかしアナには最強の武器、女さんしか持てないとっておきの“リーサルウェポン”を隠し持っていた…!?



彼が製作した全盛期の作品たちの背景には当時フランスのバブル経済の痛烈な批判が込められていて、そんなダークな世界観が“ハードボイルド”とフュージョンしたことで世界中で大ヒットしたとも見れるワケなんでありますが、その後彼はハードボイルドなスタイルからファミリー向けにシフトチェンジ、娯楽映画ばかり撮るようになります。個人的には「ニキータ」と比較されがちな「ルーシー」は、あれは“「ニキータ」の皮を被った全くテイストの異なる娯楽作”として作られたように思えます。真似ているだけで中身は違う。しかし今回この「ANNA/アナ」を見て思ったのは、ベッソン監督の全盛期にどこか“作風が戻った”ように感じたのです。



当然スパイアクションエンターテイメントとしての娯楽要素も大きいですが、今作のテーマはズバリ「自由」。自由を掴み取ろうとする女性の物語なんですよね。自由を奪われ様々な“仮面”を被るようになってどんどん“中身”が自分でもわからなくなっていくアナの姿は、さながらマトリョーシカそのもの。偽りの自分をいつまで“演じて”いなきゃならんのだと、“自由”がいまだに抑圧され奪われる世の中になっていないか?フェミニズム作品、と言うとちょっと大げさなような気もしますが、何かそんなメッセージ性があるような気がするんですよねー。まぁそこまでダークな話ではありませんが。しかしそのような社会的なアンチテーゼを含めた彼の作品の方が圧倒的に「面白い。」つまりそれは逆に言えば世界が平和になればなるほど彼の撮る作品は実に味気のないものになり得る、とも見れるわけで……うーん実にもどかしい!!







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