返校 言葉が消えた日(2019)
- ラーチャえだまめ
- 2021年8月9日
- 読了時間: 8分

【原題】返校
【監督】ジョン・スー
【出演】ワン・ジン ツォン・ジンファ フー・モンボーほか
【あらすじ】
台湾にある翠華高校。放課後の教室で眠ってしまった女子高生のファン・レイシン(ワン・ジン)が目を覚ますと、校内に人の気配は無く、いつもと違った異様な雰囲気に満ちていた。自分が参加している読書会のメンバーでひそかに思いを寄せる男子学生ウェイ・ジョンティン(ツォン・ジンファ)を見つけた彼女は、外へ出ることのできない校舎から抜け出そうとするが、廊下の先の扉の向こうに広がる悪夢のような光景を目にする。(Yahoo!映画より)
【感想(ネタバレなし)】

『ジパングなう』
どーもどーもラーチャえだまめと申します。いやー参った。実に参りました。先日いきなりPC立ち上げようとしたら電源つかないでやんの!何度試すも起動しないもんだからもう楽天で新しいPC買っちゃったもんねッ!!めちゃくちゃ安いやつ。ホントにちょー安いんですよ!!知ってるかな〜、ソイツの名はレノ……というわけで1週間ほど更新が途絶えましたが早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました

【返校 言葉が消えた日】…!!いやーホラ“ゲー”原作のホラ“エー”ですよ皆さん!!え、興奮しない?大丈夫!?ホラゲー原作のホラエー……と言って思いつくのはやはりミラさんの蛇口がジョボジョボビッチの「バイオハザード」か本物の“静岡”はあんな霧がかってない「サイレントヒル」くらいでしょうか?私「バイオ」は1作目の洋館のヤツしかやったことないんですけど「サイレントヒル」はもうPS1の初代以外は全てプレイ済みであります。いやー面白い。シナリオがメチャクチャいいんですよねー、設定や世界観が非常によく作り込まれているっていうか、ラストのドンデン返しとかもう映画じゃんって(だからハマったんよね)あとは同スタジオの「サイレン」だね。いやーあれもかなりやり込んだな〜。斎藤工主演でいつ公開してくれるんですかー?だからホラゲー原作のホラエーってなんか勝手に「原作のシナリオが良いから実写化も期待できる」って思っちゃうんですよねー。あ、島に取り残された阿部寛、アンタはダメだ
で今作は台湾のインディーゲームスタジオ「Red Candle Games」がリリースした同名のホラーアドベンチャーゲームをゲームの実写化として台湾では初?映像化、2019年台湾で公開されるなり大ヒットしたらしいんですよ。ほらねーやっぱり「原作のシナリオが良いから実写化も期待できる」当たってるじゃあないですか!!あ、プレイしたことはないんですけど
でも知ってます知ってます知ってますよ〜!!ホラゲー実況とか見てましたからね。なんだか凄い怖そうなだ〜って、なんだか中国では政治的理由とかなんとかで発禁?食らって日本ではもう購入することが出来なくなったって聞きましたよ……

あれ全然違うゲームだったわ
あっれぇ〜?おっかしいなぁ〜?映画見ながら「あれこれ全然知らないぞ?」って勘違いが明るみになりました豆粒ほどの脳みそしか詰まっておりませんラーチャえだまめです。まぁまぁしかし、しかしですよ?そんな原作未プレイな方、原作を全く知らないよ、という方でも全く問題ありません。というより「えこれホントにゲーム原作なの?」と疑いを持ってしまう可能性すらある?実際の事件とファンタジーの見事な融合と言う他ない、ヒジョーに奥深いシナリオ、そしてヒジョーに考えさせられるホラエー……だったんですねー。
■「ホラー」と言うより「ホラーっぽい時代劇」?&台湾の歴史から見る“悲痛な叫び”
何も知らないで本予告をご覧になった方には最後の方で「これホラーなんだ」と気付かされた方もいるのではないでしょうか??ゲームそして本作の舞台は中国国民党が政治的弾圧を行っていた1960年代の台湾。1947年の二・二八事件から1987年までの38年間「白色テロ」と呼ばれる国民には相互監視と密告が強制され、国民党に反抗、もしくはその疑いがある者には投獄、処刑の刑罰が行われていた……いやぁー歴史の教科書で知ってる程度の知識しか持ち合わせていなかったのが非常に情けなく感じてしまった、OPからガッツリ弾圧時代の厳しさがヒシヒシと伝わってくる、ホラー映画である以前に「時代劇」として非常によく出来ているな〜という印象を受けましたね。

学校の校舎の前の“検問”に引っかかったとある男子生徒。「カバンの中身を見せろ!」軍服を着た指導教官に言われ渋々カバンから出したのは……パペットマペット。人形ですよ…!?いや現代でもダメじゃねーか。でもそれで刑務所行きですか?処刑されちゃうんですかい…!?禁止されているのは他にも色々ありました、たとえばとある魔術なんて書いてない“禁書”。国民党が市民が読むことで反社会的思想を生みかねないと見なされた海外の小説や詩を読むことを禁じていたのです。“好きな本を読む自由すらない”当時の学生たちにはあまりに辛すぎる世界がそこに広がっていたのです。校舎の真ん中で生徒が列をなし国家を歌うすぐ横で“反社”と見なされ刑務所に連行される先生。「国に殺される!!」そう叫んだ後棍棒で殴られ顔にボロ袋を被せられトラックに乗せられる光景……それが“当たり前”に行われていた時代。いやーなんとも言葉が出てこない。
この白色テロを扱った映像作品としては89年の「悲情城市(ひじょうじょうし)」、91年のエドワード・ヤン監督の「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」などがありますが、ゲームとして扱ったのは今作が初であり、また近年映像化もされていなかったらしい。そういった意味でも、本作でこの悲惨な時代を描くということだけでも、非常に意味のある作品なんじゃないかな〜。しかしそんな時代背景を知らなかったという方でも、序盤でしっかりと描かれているので問題なく楽しめると思います。いやまぁ楽しめる、というコトバ自体に語弊があるんじゃないか、なんて言われるかもしれません。しかし今作が実に面白いのは、そんな歴史的背景とオカルトなファンタジー要素の

見事な「融合」
■台湾版“静岡”すぎる世界観&自由を奪われた世界こそが“異界”な件
そこから物語はガラリと変わり先程言った“禁書”を学校で秘密裏に所持し読んでいた“読書会”のメンバーの一人、男子生徒のウェイが何故か廃墟となっていた夜の学校で同じく校内の机で目覚めたJKのレイと共になぜ学校が廃校になっているのか、そして消えた読書会のほかのメンバーたちの謎を追う……という流れに突然シフトチェンジ!!ああーもういきなりJKのレイの後ろに霊がぁ…!?自分はなぜ学校で居眠りしてしまっていたのか?偶然居合わせたウェイと共に何が起きているのかさっぱりわからずとりあえず気味が悪いからと校舎から外へ出よう門の外を出たところで

あれサイレンってもう鳴っちゃいました?
赤い血の海で道が塞がってんじゃねーか!!そして校内には「異型の存在」がウヨウヨといるではないかー!!いあぁ〜もうなんの因果か突然迷いこんじまった「異界」な世界観はまさしくアジア版「サイレン」もしくは「サイレントヒル」と言ったところでしょうか!?つまりはその2作品が好きな方ならばこのブキミーな世界観に思わずウットリ♡してしまうかもしれません!!
実際の学校とスタジオによって撮影された廃校の雰囲気はかなり気に入りましたね。正直ホラー描写はそこまでなくて(あると言ってもかなりショボい)「異型の存在」も出てくるのは出てくるのですが1種類だけだしなんかネトフリの「ロスト・イン・スペース」のロボットみたいな?デザインに関してはう〜んな感じは歪めませんが、ダンジョンのように入り組んだ校内での追いかけっこ、各ステージで起こる恐怖イベント、鍵という名のアイテムを入手して先に進むと言ったハラハラ展開がまさしく“ホラゲー”のそれだな感というか、実際のプレイもこんな感じなんだろうなーとわかりますし、異界パートは非常に取っつきやすい流れで見やすかったですね。

異界パートと言いましたが、本作は章ごとに異界パートと現実パートが交互に展開され、そして異界パートの謎が現実パートで徐々に明らかになっていく感じです。ミステリー要素もあるんですよねー。
詳細は伏せますがレイと高橋一生似の高校教師との禁断の……恋!?おいおい返校じゃなくて援交かよ!!…いえいえ純粋すぎる少女の恋物語がそこには広がっていたんでありますよー!!しかーしそんな2人にはあまりにもこの世界は生きるには合わなすぎた、その恋が“さらなる悲劇”を生む火種になってしまうのです。。。。。少女と教師の恋愛こそまさしく見つかったらアウト!なワケでありますが(今でもアウトだけど)禁止禁止禁止……なんでも禁止即アウトの処刑される世界。そんな「自由を奪われた」世界こそが、まさしく悪夢のような“異界そのもの”ではないか、と見ることもできる。「現世では駄目だった。来世では結ばれよう」……このコトバに私心打たれてしまいました。非常に悲しい映画です。そしてホラー映画である以前に、決して忘れてはならない歴史を描いた映画でもあると思います。時代が変わり数十年経った後も、こうして映画として公開され今の若者たちに語り継がれる……
「国に殺される」……決して他人事のように私は思えませんでしたねー。なぁ兄弟?ちなみに現在任天堂Switch版が777円という非常に縁起のいい値段で販売されているんですよね。気になる方はプレイしてみてはいかがでしょうか。
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